舌打ちを心の中で
「今日転校生が来るんだってよ!!!」
向日が叫ぶ。俺の耳にもまったく入っていない話に、少しだけ興味が沸いた。
先週あった入学式。
半端すぎるこの時期に転校生なんて珍しい。
「しかも四人!!」
「四人もおるんか。しかもこの半端な時期に?」
「おう!!」
四人…。それはまた多いな。兄弟か何かか?
「跡部何も聞いてないのかよ!!」
「あぁ。俺様の耳にも入っていない。」
「珍しいこともあるもんやなぁ」
今日は全校朝礼の日。そのため朝練をいつもよりも10分近く早く切り上げ、俺たちは体育館へと向かった。
今日の体育館はいつもよりも騒がしかった。
転校生が来るという噂は、体育館中をすごいスピードで駆け抜け、すでにこの場所でその情報を知らない奴はいないというような雰囲気だった。
本来なら自分のクラスの列に並ばなければならないが、俺は生徒会長だ。
特別席ってのがある。俺はそこに座る。
「おはようございます、跡部君」
うるせぇんだよ。ハゲ教師共が。
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