四姉妹、転校前
「今回はどんな学校かしらねっ」
夏美が楽しそうに天然パーマの髪を風になびかせて私に聞いた。
私達は所謂転勤族というもので、昨日まで通っていた高校を辞め、これから通う新しい学校の門をくぐった。
「門は立派」
「そうだね」
秋音、冬香も楽しそうに話をしている。
普段あまり感情が表情に出にくい秋音が楽しそうに微笑んでいるのを見ていると、私もこの後のことが楽しみで仕方ない。
「ねぇ、春樹ちゃん」
「何、夏美」
「この学校はブレザーにネクタイなのね。」
「そうみたいだな。私達目立つね。」
私達は今、昨日辞めた高校の制服を着ている。そこの制服はセーラー服で、夏美は可愛いと言って喜んでいた。
「桜が綺麗だ。」
「そうね。もう入学式から大分経つでしょうけど、ここの桜はまだ綺麗に咲いてる」
夏美は手に取った桜の花びらを私に手渡した。
確かに、一般的に入学式と言われる頃からもう大分日が経っている。
それでもこれだけ綺麗に咲き誇っているのだ。しっかり手入れされた桜なのだろう。
「春樹ちゃんはスカート短くしないの?」
「しない。制服は学校の象徴だ。崩すなんて学校に対して失礼だと思わないか?
冬香、スカート短いぞ。」
「今時の女の子はこの位だよ。それに夏美ちゃんのほうが私は短いと思うな〜」
「夏美…」
「え〜!!秋音、春樹ちゃんが怒った!!」
「知らない」
秋音にも、冬香にも見放された夏美は一段だけスカートを下ろした。
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