大好きな姉へ
「春樹ちゃん?」
「え、あぁ…何?」
「大丈夫?さっきからボーッとしてるけど…」
「大丈夫、ありがとう秋音」
春樹ちゃんが私の頭を優しく撫でる。
よくお父さんもこうして私達の頭を撫でてくれていた。
榊先生に会ってから春樹ちゃんはボーッとしている。何を考えているのかわからない。
春樹ちゃんはずっと自分の事を責めている。
お父さんが死んでしまったのは自分のせいだと思ってる。そんな事誰も思ってないのに。
仕事であまり家にいないお母さんの代わりに、家事をするようになった春樹ちゃん。
いなくなってしまったお父さんの代わりに頭を撫でてくれるようになった春樹ちゃん。
お父さんが死んでしまってから春樹ちゃんは、私達を置いてどんどん大きくなっていってしまった。
私達にお母さんとお父さんの代わりに愛情を注いでくれた。
一番泣き虫だった春樹ちゃんが、あれから一回も泣いている所を私は見た事がない。
「春樹ちゃんのせいじゃないよ」
「え、何が?」
「何でもない。」
いつか春樹ちゃんが安心して泣けますように。
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