懐かしい再会
「失礼します」
「うむ。よくきたな転校生。」
「榊先生…ですよね?」
「あぁ。」
夏美は入部届けを本当に出してくれたようで、その日の放課後に私達四人はテニス部の顧問である榊先生に呼ばれた。
音楽室に入るとバラの匂いが漂う。
なんだかこの匂い嗅いだ事あるなぁ…。
「覚えているかね、私のことを」
「…もしかして、太郎おじさん?」
「あぁ。さすが長女の春樹だな。記憶力がいい。」
「やっぱり。この匂いどこかで嗅いだ事があると思ったんです。
お久し振りです、太郎おじさん。」
「うむ、久しぶりだな。もう君達も高校生か…」
「ちょ、春樹ちゃん…。誰?私知らないよ…?」
「父さんの高校時代からの友人だよ。何回か家に来たことがあったんだ。
その度に鼻を刺すようなバラの匂いがしてた。」
「お父さんのこと…本当に残念だった。彼とは唯一無二の親友だったのに…」
「はい…。でも、もう乗り越えました。いろんな人達が私達四人が離れ離れにならないようにこうして支えてくれています。
もちろん太郎おじさんも。
感謝しても感謝しきれません。父にいつか会うとき、私が私の使命をしっかり果たして会いたいと思っています。」
「本当に君はお父さんに似ているな。その目。あいつもよくしていた。
よし、四人とも入部は歓迎だ!!今から部室へ行ってよし!!!」
「おじさんその口癖もかわってない。」
「人はそう簡単には変われんよ。私も、君達も。辛くなったらいつでも周りに相談するんだ。君達の周りには君達を愛し、考えてくれる人がたくさんいる事を忘れてはならんぞ。」
「はい。ありがとうございます。失礼しました。榊先生。」
「うむ、行ってよし!!!」
人は簡単には変われない、か…。
父さん…。私は今、ちゃんと長女として家族を支えられているかな?
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