しかし少年は




『じゅ、準太…?』



準太に抱きしめられた。職員室に行こうとしただけなのに、辛そうな顔をして準太は私の首に回している腕に力を入れた。


『準太、どうしたの?』

「…く、な……」

『え?』

「…行、くな………」

『え、何で?』

「俺、を…ひとり、に………しないで………」

『準太!!!』



訳のわからない事をつぶやく準太に聞こえているのかは分からないが、返事をしていた。
そしたら急に彼の体から力が抜け、床に崩れ落ちた。

倒れた準太の傍に座り、準太の名前を呼ぶ。そこではっとしたのは、準太が泣いていたから。

準太をクラスの子に任せて、私は走って教室を出る。

向かったのはカズさんの所。教室に行ったけどいなかったから多分部室。
部室まで走って思い切り扉を開けた。

中には慎吾さん達と話すカズさんがいた。


『カズさん!!!』

「どうした名前」

『準太が…、急に倒れて…助けて下さいカズさんっ!!!』

「………!!わかった行こう。悪い慎吾、山ちゃんとかと協力して部活やっといてくれ。」

「わ、分かった…」

「俺達も行こうか?」

「いや、来るな。部活は任せたぞ」

『カズさん!!』

「悪いな二人とも」



カズさんをつれて私は教室に向かった。
教室では少し騒ぎになっていた。私と準太と同じ掃除当番の子達がおろおろしている。

カズさんは準太に駆け寄った。準太が泣いているのにカズさんも気付いたのか、舌打ちをした。



「名前、準太を保健室に運ぶぞ」

『は、はい…!!』




準太を抱えて私とカズさんは保健室に向かった。