名前が指差したのは観覧車。
観覧車って…カップルみたいじゃねぇか!!!
いや、そうなりたいとは思うんだけどな…
簡単にはいかねぇんだよ。
名前の提案を断る事もできず、観覧車に乗るために列に並んだ。
やっべ、緊張する…
だってあの狭い空間で二人きりだろ?
話続くか?
そんなことを延々考えていたら順番が来た。
「では、次カップルさんどうぞ〜」
カップルじゃねぇええええ!!!
でも、悪くないな。
ゴンドラの中で、俺の向かい側に座った名前は楽しそうに外を見ていた。
『カップルさんだって〜』
「あぁ」
『いつかそうなれたらいいね』
「あぁ…………………え?」
『私、幸次郎の事好きだよ』
俺今変な顔してるな。
景色を見るのをやめて名前が俺の隣に座った。
『ごめんね、急に
でも、言いたくなっちゃったんだ』
「俺も………」
『ん?』
「俺も名前が好きだ」
そう言いながら隣の名前を抱き寄せた。
そしたら名前も腕をまわしてくれた。
やっと言えた。
12年分の気持ちが全部。
「名前が好きだ」
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