驚き

俺たちが恋人同士になったのは、ちょうど今頃だった気がする



俺は練習のときに少し足を捻った。
しかもその時名前が不在で手当てもできなかった。
大して痛いものではなかったから誰にも言わずに部活に参加した








練習のとき、チームメイトの気がつかなかった俺の足の捻挫に名前だけが気づいた


『鬼道君…?』


鬼「なんだ?名字」


『足痛いの?歩き方がおかしい…』


鬼「…」



びっくりした


そんなに変な歩き方をしていたのか、俺は…






いや、変な歩き方をするほど痛くはないし、そんなことしたら源田たちが気づく…


『とりあえず、手当てしよう。』






手当てをしている名前に何で捻挫してるとわかった?と聞いたら


『う〜ん…勘…かな?』


といわれた。









『鬼道君。本当は痛かったでしょ?足』




鬼「なっ…っ」





『言っていいんだよ?サッカーしてるんだもん。怪我して当然だよ。

それに、練習中の怪我ってことは、鬼道君が一生懸命にボールを追いかけていたって証拠でしょ?

格好いいじゃん、なんにも恥ずかしいことなんてないよ。』


鬼「…」








名前の言葉をきいた瞬間
手当てしてもらった足がズキンと痛んだ。




そうか…


俺は、格好つけていただけだったのか

名前に転んだなんて知られたくなくて、チームメイトに心配させたくなくて…





急に痛み出した足をさすり、
名前にありがとうと伝えると、



『無理しないでね』


と、笑って言ってくれた。





それ以来俺の心を動かした名前に俺は好意を持ち始めた



名前は俺にないものをたくさん持っていた。

サッカー部の部員だけでなく、クラスメートをも明るく照らす笑顔…


誰かを笑顔にできる話…



彼女を見ていると俺の過去はすべて洗い流されるのではないかという錯覚に陥る。


温かいんだ…とても

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