酔っ払い

2012/05/20 22:17







『ん〜』

「…起きろ、帰るぞ」

『やら!!だっこして!!』

「………」

『くにみつ怒った?ごめんね…ごめ、っ』

「泣くな。怒ってないから」

『ほんと?』

「あぁ。さ、こっちに来い」

『うんっ』


俺より一回りは小さい彼女の体を胸に抱きとめる。
すっぽりと俺の腕にはまってしまって安心したのか、彼女は寝息を立てて寝始めた。

今の時刻は夜10時。
こいつの帰りが遅くて心配していた俺の携帯が震えた。
彼女からの電話だった。

しかし電話口の相手は知らない女で、それはどうやらこいつの友達で。
酒にすっかり酔ってしまった彼女を迎えに来て欲しいとのことだった。あれほど酒を飲みすぎるなと言ったのに。

こいつは酒に弱い。
ほんの少し飲んだだけで酔っ払ってしまう。しかし味が好きなのか飲んでしまう。
まったく、酔うと何をしでかすかわからないからな、こいつは。


『くにみつ…』

「何だ?」

『今くるま?』

「あぁ。俺のマンションに今日は泊まれ。明日家に送ってってやるから」

『ん〜…』

「どうした?」

『………あつい』

「は?お、おいこんな所で服を脱ぐな!!」

『やら!!』

「もうすぐでつくから暑いのくらい我慢しろ!!」

『くるまうねうねしてるー!!』

「誰のせいだと…っ!!!」


すでに下着姿になって眠ってしまっている彼女にため息をつき、俺は駐車場に車を止めた。
自分の着ていたシャツを脱いで彼女に掛けてやり、車内に散乱した衣服を回収して彼女を横抱きにして部屋に向かった。

部屋についてすぐベッドに彼女を横たわらせため息をついた。
依然として彼女は気持ちよさそうに眠りながら俺の名前を時々つぶやく。

本当は今すぐに叩き起こして説教をかましてやりたいところだが、まぁ今日の所は免除してやろう。









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