<おかえり>
「あー、楽しかった!!」
名前は寝る前の準備をしながら、先にベッドに入ったローに話しかける。
つい数時間前、「船長!用意できましたよ!」ローにドレス姿を見せたすぐ後に、ペンギンが部屋に訪れた。
ハートの海賊団船員たちが、おかえりの宴を開いてくれるらしく、その準備が整ったという連絡。
2年ぶりの再会に心は弾み、たくさんの美味しい料理とともに、名前はハートの海賊団の居心地を思いっきり楽しんだ。
「明日にでも礼を言ってやれ。きっと喜ぶだろう。」
「うん、そうするっ!」
不意に見たローの顔に、名前はドキっとして動きが止まる。
じっと見つめてくる瞳。すっとローの口角が上がる。小さく開かれた唇が、ゆっくりと動く。
「名前、おかえり。」
「...ロー。」
「こっちこい。」
服を纏わぬ上半身。彼はいつも寝る時には服を脱いでいて名前も見慣れていたのだが、この時ばかりは違った。
セクシー。
この言葉が彼にはよく似合う。鍛えあげられた身体に、きゅっとくびれた腰が目を引き付ける。
胸に大きく描かれた刺青が、彼の人生の重みを訴えてくるようで、海賊であることの覚悟を感じさせた。
海の上で生きている限り、いつも死とは隣り合わせだ。
彼が言ったhurt、痛みの意味にはそんな意味も込められているのだろう。
「私にもローの痛みを背負わせて。」
どうして身体に大きく刻み込んでまで背負わなければならなかったのか、過去に何があったのか、いつか教えてくれるのだろうか。
引き寄せられるように伸ばされた彼の腕に、名前はそっと手を伸ばした。
ギシ――ッと鳴るベッドのスプリング。
ローに導かれるまま、名前はローを背もたれにするような形で彼の前に座った。
胸の前にまわされた腕と、背中に感じる温かみ。
それが帰ってきたんだということを、名前に強く実感させる。
「...シャンクス寂しがってるかな。」
ローと一緒にいたい。ハート海賊団のみんなも大好きだ。だが、赤髪海賊団は家族。
その中でもシャンクスは特別だ。
離れるということが、寂しい気持ちも名前にはあった。
不意に出た言葉にしばらく沈黙が続く。
「......。」
目線を落とした名前にローの刺青が目に入った。すると、きゅっとローの腕に力が入る。
「あいつのことなんか気にするな。」
耳元で囁かれる言葉。少し甘えたような声は、どこか彼らしく無い。
「ふふ、.....嫉妬?」
「うるせェ...」
「私が好きなのはローだよ。大好き。」
名前が軽く後ろを振り向くと、ローの頬が赤くなっているのが見えた。
二人は見つめ合うと、微笑み合い唇を重ねた。
甘く幸せな時間―――。
「ね、これからどこへ向かうの?」
「...パンクハザード。」
「少し聞いたことがある。確かそこは誰も入っちゃいけない島なんじゃ...?」
「だから、その前にやらなきゃならねェことがある。目的は王下七武海に入ることだ。そして俺は......!」
淡々と話すローの声はどこか重く、俺は...と言ったまま、彼は言葉を発さなくなった。
きっとまた何か一人で背負っているのだろう。
刺青のことにしてもそうだ。傍にいるのに、どこか彼は遠い。
もっと私を頼って、と言いたかったがローのことを思うと名前は言うことができなかった。
「またいつか話す。今はそれより...。」
ローが名前にキスを落とす。優しくそっと。
「...っ、ロー。」
「名前...。」
吐息を吐くために開かれた口に、ローの舌が入り込む。
小さな穴をこじ開けるように侵入してきた舌は、名前の舌を上手く絡めとる。
「っん、...ハァハァ。」
優しい甘いキスは、徐々に息を吸うのも困難になるくらいの激しいキスに変わっていく。
貪るような舌使いが、名前の身体を弛緩させていった。
何も考えずにローに応えるように舌を絡め合い、身体を預ける。
「あ...っ!」
胸の前にまわされていた手が名前の膨らみを掴むと、名前から声が漏れた。
男とは異なる柔らかい女の肌。その弾力を楽しむように、ローの長い指が動く。
時折、ローの指が硬くなった小さな突起に触れるたび名前の身体が、ピクンと跳ねた。
「ん...あっ....!」
秘部が濡れていくのを感じながらローに身体を預け、名前は甘い吐息を漏らし続ける。
「....ロー。」
「お前を感じたい。」