* 倦怠疲労
行かなかった理由は人混み……ポケモン混みが嫌だったから。
1度行ったことがあったが、すぐに酔ってしまった。それから俺は混んでいる場所が大嫌いだ。酔った後は気持ちが悪い。
おそらく過去の俺はそんな混んでいる場所に行かなかったんだろうな。
「……しっかし、星雨祭≠ヒ」
そんな名前、聞いた事もない。
記憶喪失である俺だが、一般常識は残っている。おそらく俺の世界には星雨祭≠ネんてものはなかったんだろう。この世界特有の、特別なものに違いない。だから聞いたことがないんだ。
星雨祭≠ニいうより、星雨には興味がある。別に星雨祭≠ノ行かなくても星雨が見れないわけではない。
だから残ったのだが……けっこう暇だ。掃除は終わった。
「星雨が見れるのはまだまだか。……少し寝るかな…………」
そう言うと、何だか眠気が襲ってくる。
近くにあった毛布を引っ張り、適当に自分の体にかける。そして暫くして微睡んでいると
「……準備はきちんとできてんな?」
「オッケーです! 盗んだ景品を運ぶ道具もしっかり手配してあります!」
「よし、星雨祭≠ナポケモンは沢山いる。油断すんじゃねぇぞ」
なーんて会話が聞こえてきた。
まあ此処は宿の1階だから、大方宿に張り付いて作戦会議でもしてたんだろうな。宿にいる奴らも星雨祭≠ノ行ったと思って。
……残念、俺は行っていない。
しばらくすると足音が聞こえ、それはどんどん小さくなっていった。
「…………。」
むくりと起き上がる。
本当は放って寝たいし、人っていうかポケモンが沢山いる星雨祭≠ノは行きたくない。それにシィーナやリフィネ、加えてあの翡翠もいるんだ。大丈夫だろう。
そうは思うんだが。
……聞いてしまった以上、放っておくわけには行かないんだよな……。
「面倒くさい」という体を叱咤して、何とか起こす。
今日は厄日だ。そんなことを思いながら、渋々と宿を出るのだった。
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