揺るがない




『繰り返します! 星雨祭大食い大会≠フ予選が行います! エントリーされている方はこのステージまで集まってくださーい!!』

 そんなアナウンスを聞きながら、私は口にあったたこ焼きを嚥下する。隣にいるカイアはリンゴ飴をちょびちょび食べており、翡翠は何も口にしていなかった。
 何でシィーナがいないかって? まあ、想像は大抵の場合ついちゃうよね……。

「大食い大会の直前まで大量に食べてたけど大丈夫かな、シィーナ……」

「だ、大丈夫じゃないんですかね……多分」

 星雨祭大食い大会≠ノエントリーして、ステージに行っちゃいました。
 まあ無料で食べられるなら食いつくよね、シィーナだもん。
 あと1位は10万ポケももらえるんだって。それを知ったシィーナが「2位がいいけど1位をとったら蒼輝も文句いわないよねぇ……」と呟いてた。因みに2位は100コの木の実。
 シィーナもそれなりに蒼輝を気遣ってるのかな。……それともただ1日の木の実を摂取量を増やしてほしいだけか。
 そんなこんなでシィーナは「大食い大会にでてくる!」と元気よく飛び出して行ってしまった。

「2位になったら絶対に蒼輝が怒るよ……」

「シィーナさんのことですから、大丈夫だと思いますよ」

 ……まあそうだけどね。だってシィーナの胃はブラックホールだもん。限界とか見たことない。
 星雨祭≠ヘ本当に大きなお祭りみたいで、沢山のポケモンがいる。だから大食い大会にもいっぱいエントリーしてくるポケモンがいるから、予選をして8匹に絞るんだって。予選はテントの中で行われているらしいから、見れないけど。
 なので私たちは大食い大会が始まるまでぶらぶらするしかないんだよなぁ。

「翡翠は何かやりたいこととかないの? ずっと私とカイアに連れられっぱなしじゃん」

「僕は特に……。リフィネさんやカイアさんやシィーナさんが楽しんでいれば、それでいいですよ」

 謙虚すぎるよ! もうちょっと我侭いってもいいと思うんだけど!!
 ……こういう点は蒼輝も見習うべきだよね。私やシィーナもだけど、絶対に見習うべきだ。いつか翡翠に恩返ししなくちゃならないなぁ。
 そんなことを思いながら、最後のたこ焼きを口に入れた。もちろん特性ソースはかけている。

「んむむ……。そういえば、蒼輝に何か買っておくべきかな?」

「僕もそれを思ってあらかじめ蒼輝さんに「何かいりませんか?」と聞いたんですが、「必要ない」と仰っていましたから、大丈夫だと思いますよ」

「さすが翡翠、準備いいね……」

 あらかじめ聞いているとは。
 まあ翡翠は蒼輝が1番だもんね。そりゃ聞いておくよね。時々ツッコミたくなるんだよ、「蒼輝の従者か!?」って。シィーナは「似たようなもんでしょー」って言ってたけど。
 たこ焼きも食べ終わり、ゴミをゴミ箱に捨てに行く。
 とにかくポケモンが多いからゴミ箱を探すのも一苦労だけど、そこまで行くのも大変なんだよね。

 すると、元気なアナウンスが響いた。


『もうすぐ星雨祭大食い大会≠ェ始まります! 場所は中央ステージです! ぜひ見に来てくださいね!!』


 (シィーナだけだけど)勝負の火蓋が、きられる。


 



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