星雨祭♀J催




 沢山の屋台に、大量のポケモン。街はイルミネーションで輝いている。

「わっはー。盛り上がってるねぇ」

 目を無邪気な子どものように輝かせながら、ほんの少し声の調子をあげて先頭にいるシィーナがそう言う。
 でもシィーナ、屋台しか見てないよね……。
 後ろを見ると初めてなためか、キョロキョロと辺りを見渡しているカイア。そしてその後ろには笑顔の翡翠がいた。私はシィーナとカイアの間にいる。
 色々な屋台に目を移しながら、シィーナが喋った。

「こんなに楽しそうなのにさ、来ないとか蒼輝は損してるよー」

「蒼輝さんはポケモンが多いところが苦手ですから、仕方ありませんよ」

「でも許可してくれたのは、正直ありがたいよね。こうやってお祭りを楽しめるわけだし」

 そう、リーダーの蒼輝は祭りにいくことを許可したものの、「宿に残る」と言った。
 何度も「行こうよ」と誘ったんだけど、やっぱり混んでいる場所は嫌みたいで。結局シィーナに急かされて、宿に置いてきたんだよね。因みに翡翠は蒼輝に「悪いがカイアに付き添ってやってくれるか?」と言われて付いて来てる。
 でもカイアが来るのは意外だったなぁ。蒼輝が来ないなら残ると思ってたのに。
 そんなことを考えていると、いつの間にかシィーナが目の前から消えていた。

「あれっ!? シィーナは!?」

「シィーナさんならあそこにいますよ、リフィネさん」

 翡翠に言われてその方向に見ると、嬉しそうにわた飴を買うシィーナの姿。
 ……やっぱりシィーナは食べ物が目当てなんだね。少しくらい、食べ物以外の屋台に目を向けてほしいかな!?
 すると翡翠がカイアに尋ねていた。

「カイアさんは何か屋台で気になるものはありますか?」

「…………あれ、」

 カイアが指さしたものを見ると……お、お面!?
 な、何か意外だな……。いや、祭りに来るってことだけで驚きなのに、いきなり興味をもったのがお面!?
 それを聞いた翡翠は私に「ちょっと行って来ますね」と言って、カイアとともにお面の屋台に向かっていってしまった。見事な保護者っぷり。
 するとわた飴を6コも持ったシィーナが戻ってきた。

「あれー? カイアと翡翠はー?」

「お面を買いに行ったよ」

「お面? そりゃまた変わってるねー。あ、はいー。これリフィネの分」

 ほい、と渡されたのは6つのうち1コのわた飴。断る理由もないので「ありがとう」と言って受け取る。
 しかし何かに気付いたのか、シィーナがオロオロしながら聞いてきた。

「リ、リフィネはそういう甘い物苦手だったかなー……?」

「え、ううん。そんなことないよ。コレがあるし」

 常備しているリフィネ特性ソースを出すと、「デスヨネー」と片言で冷たい目で見られた。
 ど、どうしたんだろう……? 欲しいのかな?
 そんなことを思いながらソースをかけて、わた飴を食べる。そりゃドバドバかけないよ? ちょこっとだけ! ほんのちょっとだけ。
 わた飴を味わっていると、翡翠と、ミズゴロウのお面をつけたカイアが戻ってきた。

「あ、やっぱミズゴロウなんだ……」

 蒼輝だよね。うん、わかるよ。
 シィーナは特に気にした様子もなく、カイアと翡翠にわた飴を渡す。2匹とも断らず、素直に受け取っていた。シィーナの手元には2コあるけど、どうせ自分で2つ食べるんだろう。
 あ。因みにポケは蒼輝から貰った。行く前に3000ポケ、蒼輝が翡翠が渡してた。買うときは翡翠に言ってから、らしい。

「あっ、焼きそばはっけーん! ちょいと行ってくるよ!」

「転ばないようにしてくださいね」

 ……翡翠はあらかじめシィーナに幾らか渡したみたいだけど。ていうかいつのまにわた飴1コになってるんだろう。
 シィーナが戻るまで動けないなぁ、なんて考えているとふと疑問が浮かんだ。

「星雨祭≠フ最大の目玉の星雨はいつ見られるんだろう?」

「23時から見られるらしいですよ。1時間の間だけ、らしいですが」

「1時間だけかぁ……」

 何かそれも寂しい気がするけど、仕方ないかな。自然現象だもん。
 しかし時間はまだまだある。折角の大きなお祭りだし、思いっきり楽しまなくちゃ。蒼輝の分まで。
 すると「リフィネー!」と嬉しそうに焼きそばを持ったシィーナが駆け寄ってきた。


「この星雨祭=A大食い大会あるらしいよー!!」


 ……何か、面倒くさいことになりそうだなぁ。


 



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