* 1104~0107
「おい、リフィネにシィーナ。それ以上この家を汚すようなら追い出すぞ」
「細かいっての!! 何なの、ホント! 鬱陶しいよ潔癖症!!」
「郷に入っては郷に従え」
「蒼輝、ボクはこの家を汚してない。ただ、本能のままにお菓子を食べてるだけさー!」
「だから綺麗に食べろっつってんだろうが!!」
今日は久々に救助隊の活動を休もう、とリフィネが提案し、今日は中止になった。そして『ベテルギウス』のメンバーが集まっているのは蒼輝の家である。
冒頭の会話の通り、今はお菓子を食べているのだ。
リフィネとシィーナの食べ方について蒼輝が怒り、リフィネは言い返し、シィーナは天然な発言が絶えない。そして翡翠はそれを苦笑いで見ていた。
「翡翠を見習え、翡翠を!! 全面的に見習えリフィネ!!」
「何で私だけ!?」
「とりあえず蒼輝さん、落ち着きましょうよ。リフィネさんもシィーナさんもゆっくり食べましょう?」
苦笑いしながら翡翠が注意するが、それを聞いているのか聞いていないのかまた騒ぎ始めた。
「見ろあの礼儀正しさを! 見習え、マジで見習え!!」
「それは蒼輝もでしょうが!!」
「翡翠、ゆっくり食べたら時間が過ぎて食べる量が減ってしまうじゃないかー」
「えぇっと……」
蒼輝とリフィネは言い合いを始め、翡翠はシィーナの言い分にどう返答しようか悩んでいる。
とりあえず何とかシィーナを交わした翡翠は、次は蒼輝とリフィネの喧嘩を止めにかかる。翡翠は一応あの2匹の止め方を知っている。
「蒼輝さん、落ち着きましょう。このままでは埒があきませんし、とりあえずお菓子を食べましょう。リフィネさんも、早く食べないとシィーナさんに食べられてしまいますよ?」
「それはダメ! まだリフィネ特性ソースがこんなにあるのに……!」
リフィネが見せた真っ赤なソースを見て、蒼輝があからさまにゲッという顔をした。しかしリフィネはそれに気付いていないようで、そのままお菓子にかけて食べ始めた。横ではそれを見ないようにシィーナが凄い速さでお菓子を食べている。
翡翠はその光景にも苦笑いしながら、1つ菓子をとってゆっくり食べる。蒼輝もはぁ、と溜息をついてから菓子を食べ始めた。
「……つーか、持って来た翡翠はあんま食ってねぇじゃねぇか。このままじゃ大食いバカと味覚音痴バカに全て食われるぞ」
「大食いは認めても、バカは納得がいかないなー」
「ていうか何で私が味覚音痴バカな訳!?」
「……リフィネ、それに関してはボクも蒼輝と同じ考えだよー…………」
「あ、あれ!?」
何で!? とリフィネが言っているが、蒼輝は無視である。シィーナもスルーしていた。
それに本気で苦笑いしかできない翡翠は「大丈夫です」と蒼輝の言葉に返答した。
「量が多くて困って蒼輝さん達の所まで持ってきたんですから。沢山 食べてくださった方が助かりますよ」
「……無理しなくていいぞ? 別にこのバカ2匹を庇うことはねぇ」
「ねぇ、ちょっと蒼輝は一体なんなの。本気でアンタ何なの」
「だからバカは納得がいかないのさー。阿呆の方がいいー」
「じゃあ部屋を汚すな阿呆」
「やっぱり遠慮するよー」
そしてまた蒼輝が怒鳴りだし、リフィネとシィーナが言い返し、翡翠が何とかそれを止めようと苦笑いしながら仲裁に入る。
今日も今日とて、『ベテルギウス』は賑やかであった。
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