閑話C
「さあ、こっからが正念場だぜ」


《RR−ファイナル・フォートレス・ファルコン》 は《RR》エクシーズモンスターをオーバーレイユニットとしている場合、他のカードの効果を受けない。しかもこのカードの攻撃でモンスターを破壊した時、
自分の墓地の《RR》エクシーズモンスター1体を除外して続けて1ターンに2度まで連続で攻撃できる効果を持っているのだ。しかも攻撃力は3800、破格である。


「俺は《召喚僧サモンプリースト》 を攻撃表示で召喚するぜ!このカードが召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にして、1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する!俺は《ライトロード・マジシャン ライラ》 を攻撃表示で特殊召喚!自分メインフェイズに相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。自分フィールドの表側攻撃表示のこのカードを守備表示にし、対象の相手のカードを破壊する!さあ、その伏せカードを破壊してもらおうか!」

「さあ、いくぜ!レベル4 《召喚僧サモンプリースト》とレベル4《ライトロード ・マジシャン ライラ》でオーバーレイネットワークを構築!こい、ランク4《ライトロード・セイント ミネルバ》 !このカードは1ターンに1度エクシーズユニットを1つ取り除いて、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る!」


ざっと確認した城前は笑った。


「このカードが《ライトロード》モンスターの効果でデッキから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから《裁きの龍》1体を手札に加える!」


城前の手札に《裁きの龍》が加わる。


「その中に《ライトロード》カードがあった場合、その数だけ自分はデッキからドローするぜ」



城前は1枚ドローした。


「このカードは自分の墓地の《ライトロード》モンスターが4種類以上の場合のみ特殊召喚できる。1000LPを払って発動できる。このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する!」

「ぐっ」

「さあ、フィールドをすべて破壊してもらおうか!」


白亜のドラゴンの咆哮が響き渡る。一瞬の出来事だった。城前も黒咲もフィールドが《裁きの竜》以外粉砕されてしまう。


「勝負は決したな、黒咲。さあ、《裁きの竜》!黒咲にとどめをさせ!」


全てが白に塗りつぶされた。


「……?」


黒咲が目を開けると、白亜の世界が広がっている。


純白の光彩を浴びているみたいに夕顔の花のように儚げな色合いである。ロウのように生っ白く、キメが細かい空間。幸薄い感じがするが輝きはない。ちらりと雛鶴のように白く細い。てらてらした白い輝きが黒咲の目の前を通り過ぎていった。冴え冴えとした透き通るような白磁のような抜けるような白だった。色が抜けたみたいな白濁している色合いである。ぞわぞわした悪寒が黒咲を襲う。すべてが沈んだ色調の中、自分の服装が浮かんでいるように見えた。



見渡す限り砂浜みたいに白が広がっている。薄い雪化粧の山みたいにぼんやりと夜にもう一重ねした激しい雪のように一段と白い。すべてを白紙に返してしまうような真っ白。吹きすさぶ刃物のような白い風となる。


ただ潔いほどの空白がそこにあるだけだ。白い壁の部屋がいっそう真っ白に見えた。白紙に戻す、の「白紙」にふさわしい白さだった。


自分の呼吸の微かな音さえ騒がしく聞こえる。異様な物静かさが支配していた。白亜の世界は静まり返っている。氷の詰まった部屋のように冷ややかに、氷の世界に閉ざされたように凍りついて静まり返る。しんとした部屋で波と風の音を聞いていると、孤独を痛いように覚える。透明にしんしんと時間が、一滴一滴落ちてきた。静寂が、重くるしくあたりを支配する。

空間はどこまでもしんとしていた。耳を澄ませると、その静寂にはいくつかの意味あいが含まれているように感じられた。ただ物音ひとつしないというだけではない。沈黙自体が自らについて何かを語っているようだった。静まりかえった部屋の中では、自分の頭が回転している音が聞こえそうだった。深く静まりかえり、誰かが唾を飲み込む音まではっきりと聞こえるほどだった。反応はまったくない。彼の発した声は束の間空気を震わせたあと、空間にしっかりと腰を据えた空白の中に跡形もなく吸い込まれていった。


静寂が、部屋の広さを助長していくようだった。


「……城前?」


黒咲の言葉は静寂に溶けて行った。


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bkm
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