スケール24-2 デュエリストアドベント2
城前は墓地に送ったモンスターたちを再びエクストラデッキに戻しつつ、次のターンに向けてペンデュラム召喚の布石を整えていく。まずまずの初動といっていいだろう。遊矢は待ち受ける布陣をどう突破しようか考えながら、ターン終了を待った。


「へへ、このターンのアクションカードはいただくぜ」

「先攻もらった方がアクションカードもらえるのは当たり前だよね!モンスターいないのにどうやってとれっていうんだよ!しかもどこに出現するかわかってるパターンだろ、これー!城前大人げないね!?」

「うるせえ、本来来ちゃいけないところにきちまったのはお前だろ、遊矢。問答無用でデリートしないだけましだと思え」

「うーん、正論過ぎて理不尽だ!」

「なんだ、この程度で屈するのかよ?あんだけアクションデュエルしろってうるさかったくせに?」

「そんなわけないだろ!でも文句言うくらいは許されてもいいと思うんだよね!」

「は、いってみろよ。減らず口たたく暇があるなら、なにか手はあるんだろうな?」


にひ、と意地悪く笑う城前に遊矢は楽しんでるなあと思うのだ。城前がアクションカードを真っ先に獲得したのは痛いが、実はどうやって出現するのか皆目見当がつかなかったのだ。まさか一番星よりまぶしい光に向かって突撃したら、光が砕け散ってアクションカードが出てくるなんて思わないだろう。てっきり足場にでもしたら出現するのかと思ったが、大型モンスターでもなければ破壊できそうにない。それともモンスターによる攻撃が前提なのだろうか。遊矢や城前が蹴ったりするにはあまりにもまぶしすぎて目がしばしばしてしまいそうである。


『まさか、城前、お手本見せてるつもりなのか?』

「まっさかー、城前思いっきり地の利を有効活用してるじゃん。おれに勝たせる気全然ないよね!?」

『いや、でも、それならもっと有用なカードを狙いに行かないか?わざわざ近場のアクションカードをとったぞ?』

「ランダムなんじゃないの、出現率」

『城前がアクションカード取らなかったら遊矢わかったか?』

「いや、全然?」

『なら少しは好意的に見たらどうだ』

「いやー、あの笑顔みてから素直に受け止められるほど、オレは素直じゃないよ」

遊矢の見上げる先には、アクションカードを見て、お目当てのカードじゃなかったのかちょっと残念そうな城前が見えた。


「これでオレのターンは終わりだぜ。さあ、こいよ挑戦者!エンタメデュエルってやつを見せてくれ」

「いってくれるじゃん!期待されたなら、答えないわけにはいかないよね!オレのターン、ドロー!」


遊矢はさっそく巻き返しの準備に入る。エクストラゾーンにペンデュラムモンスターを貯めていく。そして動いた。


「オレは魔法カード《テラ・フォーミング》の効果を発動!デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加えるよ。もちろん、オレが手札に加えるのは《天空の虹彩》!」

「ミラーマッチか!」

「オレ流の《オッドアイズ》を見せてやるよ!」


遊矢の手には城前と同じフィールド魔法がある。


「《天空の虹彩》の効果を発動!城前も知ってるとは思うけど、このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分のペンデュラム ゾーンの《魔術師》カード、《EM》カード、《オッドアイズ》カードは相手の効果の対象にならない。それと1ターンに1度このカード以外の自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、デッキから《オッドアイズ》カード1枚を手札に加える。オレはライトペンデュラムゾーンに《オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン》、レフトペンデュラム ゾーンに《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》をセッティング!そして《天空の虹彩》の効果で《オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン》を破壊し、《オッドアイズ・フュージョン》をサーチ!そして《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》のペンデュラム 効果を発動!1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の《オッドアイズ》ペンデュラム モンスターが戦闘・効果で破壊された場合、自分のペンデュラム ゾーンのカード1枚を選んで破壊し、自分のエクストラデッキから《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》以外の表側表示の《オッドアイズ》ペンデュラム モンスター1体を選び、自分のPゾーンに置く。オレが効果の対象に選択するのはもちろん《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》!そして……!」


遊矢の口元は大きく弧を描いた。


『…?!お、おい、遊矢、そのカードは!まさかもう使うのか?』

「あったりまえだろ、城前とアクションデュエルするときには使うんだって決めてたんだよ!」

『でも、そのカードは』

「残念でした、もう遅い!」

『おまえな……』


あきれかえるユートだが、言葉尻は優しい。遊矢が城前とアクションデュエルをするときはいつだって楽しそうだったが、同じ《オッドアイズ》や《EM》のデッキを持ってると知ったあたりから勧誘はそれはもう毎日のように行われていた。城前は広告塔としての仕事や高校生の行事が忙しいとだいたい塩対応で、結局顔を合わせる機会は多くてもデュエルができた回数は実は少ない。ほとんど城前は《カオスライロ》のデッキ調整に遊矢を誘うくらいだったのだ。まさか互いにライディングデュエルを勉強している半年間だったとは思わなかった。ライディングデュエルで先にデュエルができた時点で、はやくアクションデュエルがやりたいと遊矢はうるさかったのである。

今の遊矢は間違いなくデュエルを楽しんでいる。


「オレはライトペンデュラムゾーンにスケール3《EMビッグバイトタートル》とスケール12《超天新龍オッドアイズ・レヴォリューション・ドラゴン》レフトペンデュラムゾーンにセッティング!《EMビッグバイトタートル》のペンデュラム効果を発動!手札の《EM》モンスターあるいは《オッドアイズ》モンスターを相手に見せて、このターン、そのモンスターおよび自分の手札の同名モンスターのレベルを1下げることができる!オレが見せるのは二枚目の《超天新龍オッドアイズ・レヴォリューション・ドラゴン》だよ!」


遊矢のペンデュラムゾーンに巨大なホログラムが出現する。光の支柱となった2体のモンスターが遊矢の背後にそびえ立つ。その姿を見た城前は、さっきの遊矢のように驚愕のあまり固まっている。背中に乗せている《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》がしっかりしろと鳴くものだから、はたと我に返った城前は大声を響かせた。宇宙空間ならまず音は響かないが、リアルソリッドヴィジョンは設定でいくらでもファンタジーのような空間を可能とする。よって、遊矢は思わずうるさああい!と叫び返した。お前の方がうるさいぞとユートに突っ込まれたのはご愛敬である。


「な、なんだよ、このドラゴン!?まーたおれの知らない新規オッドアイズなんかだしやがって!こないだデュエルしたときはんなカードなかったじゃねーか!!まだまだカードプール未公開なのかよ、このやろー!!」

「当たり前だろ!デュエルログはよこせって言われたけど、カードバンクまで公開しろとはいわれてないもんね!いくらワンキル館でも一度もスキャンしたことがないカードの再現はむりだろ!」

「た、たしかに……くそ、こんなことならもっと早く遊矢とアクションデュエルすりゃよかった!!やっぱ最高だな、お前!」

「ほんとはとっときたかったんだけどねー、城前とアクションデュエルできるとなったら出すっきゃないと思ったんだ。これで、こいつのレベルは11となる!ペンデュラム召喚可能になったよ!」

「おー!でも通せねえなあ!いかにもやべえ効果じゃねーか!おれは《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》のモンスター効果を発動!このカード以外のモンスター効果、魔法、罠カードが発動したとき、自分のエクストラデッキから表側表示のペンデュラムモンスター1体をデッキに戻し、その発動を無効にして破壊するぜ!」

「城前のそういうとこ嫌いじゃないけど好きでもないよ、オレ!」

「あっはっは、褒めろ!」

「褒めてない!オレは速攻魔法《エクストラゲート》の効果を発動するよ!1から12のレベルを宣言して、そのモンスターを除外してもらおうかな!もちろんオレが宣言するのはレベル7!!」

「おいこらまて、それ実質《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》一択じゃねーか!!」

「だから効果は無効だね!」

「くっそー!」

「揺れろ、運命の振り子!迫り来る時を刻み、過去と未来を行きかえ!ペンデュラム召喚!現れろ、《超天新龍オッドアイズ・レヴォリューション・ドラゴン》、《オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン》、《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》!!」

「なんだこいつ!?」

「ちなみに《超天新龍オッドアイズ・レヴォリューション・ドラゴン》のペンデュラム効果でこのカードがペンデュラムゾーンにある間、オレはドラゴン族モンスターしかペンデュラム召喚できないし、この効果は無効化されない。でも問題ないね、オレのデッキなら」


遊矢は満面の笑みを浮かべた。


「《超天新龍オッドアイズ・レヴォリューション・ドラゴン》のモンスター効果を発動だ!このカードの攻撃力・守備力は相手のライフポイントの半分の数値分アップする!今の城前のライフはポイントは4000!つまり2000アップ!これこいつのステータスは2000!それじゃあいこうか、魔法カード《オッドアイズ・フュージョン》発動!」

「くるか」

「オレは《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》と《オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン》を融合召喚!現れろ、レベル8《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》!!」

「す、スターヴ!?ユーリのカードじゃねえか、なんで遊矢が!?」

「それはいえないなあ!大事な約束だからね!《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の融合召喚に成功したこの瞬間、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を選び、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をターン終了時までアップするよ!これで攻撃力は2500アップの5300!さらに1ターンに1度、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時まで、このカードはそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る」

「げっ」

「《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》のモンスター効果をコピーさせてもらうよ!」

「でも《天空の虹彩》の効果でバウンスはできないぜ」

「うん、もちろんわかってるよ。でも問題ないね!さあ、城前!まずは《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》で攻撃だ!」


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