スケール5-3 水上疾走
「なあ、ユーゴ。モード切替してもいいかなあ?」

『はあっ!?なにいってんだ、駄目に決まってんだろ!何のために地下で特訓してきたと思ってんだ!全部台無しになるじゃねーか!』

「だけどさ、全然追いつける気しないんだけどっ!」

遊矢の気持ちも分かるが、賛同しかねるユーゴは却下した。ここで交代してはここのところ気が緩んできていた遊矢を焚きつける機会が失われてしまう。どこの誰かは知らないが、遊矢の次なる成長のために踏み台になってもらおうとユーゴは考えた。

遊矢がワンキル館のネットワークではなく、レオ・コーポレーションのモードに切り替えたいと考えるのも無理はない。ワンキル館のネットワークを使う限り、レオ・コーポレーション側にも蓮の属する勢力にも場所を探知されないでデュエルが行える利点がある。20年後の未来から持ち込んだ遊矢のデュエルディスクでも問題なく機能を果たす旧式のソリッドヴィジョンは、貴重な存在だ。さすがは赤馬零王が息子のために転移させた施設の一つだけはある。時代を超えても問題なく未来の技術と既存の旧式の技術の互換を行ってしまう。問題は質量を持ったソリッドビジョンを使うことで遊矢が十八番とする手がほとんど使えなくなってしまう点だ。たとえば遙か先を行く謎のDホイーラーに無理矢理デュエルを挑むため、コース自体にハッキングを仕掛け、こちらと交差するレーンを作り出すとか。そこでデュエルを行わなければ脱出できないフィールドを発動すればこちらの領域に持ち込むことができる。あるいは遊矢が走り慣れたコースしかいけなくして、周回遅れで待つことができればデュエルを仕掛けることができる。モンスターを召喚して行く手を阻む方法だってある。思いつく方法は遊矢の使い慣れたアクションデュエルを前提とした妨害方法ばかり。これは旧来の立体映像しかないワンキル館のネットワークのモードでは再現することができないのだ。

「ユーゴ、あのモデル、見たことある?」

『いや、ねーな。ずっと未来のDホイールじゃねーか?俺のDホイールは俺達の時代の最新機だっただろ。それでもこの性能差だ』

「蓮の仲間かな」

『蓮と同じ時代のDホイーラーなのは間違いねえな』

あの運転技術は一日やそこらで会得できるものではない、とユーゴは感じた。それこそ蓮に初めてライディングデュエルを挑んだ時のような、鮮烈な感情を思い起こさせるような走行だ。遊矢の悲しむ顔が見たくなくて、必死で粉砕して回っているかつての大会でいつだって感じることができた、あの感覚だ。自分より実力が格上で、経験も長くて、名声もある著名なDホイーラーが出場する大会に参加し、入賞することができたとき、応援してくれる声援がユーゴをライディングデュエルに一気にのめり込ませていった。数多ものDホイールを追い越し、先頭を走りたいという気持ちがいつだってユーゴを突き動かしてきた。それはもう名前も顔も思い出せない同じチームの仲間やライバルといえるデュエリストがいたからで、応援してくれる遊矢のような存在が居たからだった。その一端を思い起こしてしまうような、そんな走行だった。

わかりやすく言えば、名前も知らないDホイーラーはとても楽しそうに走っていた。背負うものがなく、ただ純粋にライディングを楽しんでいる、そんな印象を受けた。遊矢たちの追走に気づいているだろうに、なにもアクションを起こさず、どんどん先に行ってしまう。この時点で、時が来れば遊矢の中にあるというアダムの因子を強奪に来ると宣告した蓮とは真逆のスタンスなのがわかる。

バイクという既存の概念を覆すような奇抜なデザインのDホイールだ、明らかにユーゴの時代よりもあとに作られたものなはず。その持ち主として真っ先に浮かぶ蓮とはどうもつながらない。プライベートとビジネスを分けるタイプなのか、それとも興味がないだけなのか。それはデュエルを挑めばわかるだろう。

「あ、曲がった。よし、こっち!」

散々走り込みを続けてきたコースが先回りすることができると気づいた遊矢は早速スピードを上げていく。

『な、練習しといてよかっただろ?』

「まさかこんなに早く役に立つとは思わなかったけどな!」

得意げなユーゴに、遊矢は笑った。

Dホイールのモニタに表示された反応がどんどん近くなっていく。もっともロスが少ない走行で難なく曲がり道の多い水路を駆け抜ける。遊矢はその先に居るはずの相手のデュエルディスクをライディングデュエルのモードに無理矢理切り替えようと不法侵入を試みる。ハッキングは遊矢の領域だ。この時代にある古い時代のネットワークなど簡単に突破することができる、はず、なの、だが。

「・・・・・・やっぱ未来のDホイールだなこれ!」

遊矢の知らないセキュリティ・プログラムが組まれている。コードをざっと読むだけでも、あ、これ無理だ、と瞬時に判断した遊矢は早々に諦めた。ハッキングを行うにはライディングデュエルをしながらでは無理だ。パソコンさえあれば突破できそうだが、今はそんなこと考えている余裕はない。小手先が使えないなら物理的に邪魔するだけだ。

わざと無理な切り返しを行い、豪快に水しぶきを上げる。天井高くにまでぶちまけられた水しぶきが、その先に居るはずのDホイーラーの走行を邪魔する。正面衝突するのではないか、というむちゃくちゃなやり方だったが、遊矢が追尾していたことはわかっていたのだろう。無理のない範囲で衝突を免れ、なおも相手は先に行こうとする。ちょっかい駆けただけじゃ駄目ってことか。うーん、どうしよう?遊矢はライディングデュエルのモードに切り替える。

「お、乗ってくれるんだ」

『よっしゃ、これでデュエルに持ち込めばこっちのもんだな』

ライディングデュエルが成立するというアナウンスが入る。ルールを選べと表示される。いくつか並んでいるものの、遊矢が選ぶのはアクションデュエル一択だ。というかほかのルールだと通常の魔法罠を使うたびにバーンとかペンデュラムを多用する遊矢は自爆してしまうし、そもそもルールの詳細がよくわからない。ユーゴ自身アクションデュエル導入前のライディングデュエルのルールはわからないのだ。座学はもともと苦手だった。

「未来のDホイールなのに旧式のルールでも遊べるとかコアな改造してるね」

『ほんとにな。どんな趣味してんだよ』

懐古趣味なのは把握した二人である。

正体不明の決闘者はライディングデュエルに応じてくれた。今の走行位置だと先攻は相手だ。後方から見えるデュエルディスクはとても洗練されている。つなぎ目のない曲線がよく映えるデュエルディスクだ。それだけで技術の高さが垣間見える。

距離が離れすぎていて声が聞こえないが、モニタにはカードが表示される。ワンキル館のネットワークに相手も互換があるらしい。未来からきた汎用性のあるモデルなのか、そちらの勢力の人間なのか見極めが必要だ。

固唾を呑んで見守る遊矢たちの前で、フルフェイスのDホイーラーは魔法カードを発動した。

「《竜呼相打つ》?」

知らないカードだった。テキストを見た遊矢は思わず声を上げた。変な笑いが出てしまった。1ターンに1度しか発動できない制約があるものの、《竜剣士》と《竜魔王》と名のついたペンデュラムモンスターを1体ずつサーチできるカードらしい。ランダムで遊矢が選んだカードを特殊召喚かペンデュラムゾーンにおけるらしい。しかも選ばれなかったカードはエクストラデッキに表側でおかれるという。ペンデュラムモンスターはエクストラにあれば蘇生が可能だ。それが何を意味するのか嫌でも分かる。相手が指定したのはどっちもレベル4,しかもペンデュラムスケールが同じという、ランダムに選ぶ意味がほぼ無い選択肢だった。どっちもやだなあと思いつつ、遊矢は意味の無い選択肢を選ぶ。

ペンデュラム使い、か。ユーリの言っていたワンキル館のペンデュラムの研究がそこまで進んだのか、それとも遊矢たちと同じ時代からやってきた決闘者だろうか。正体がますますわからない。

相手はペンデュラムゾーンではなく、フィールドに特殊召喚する方法を選んだ。そして通常召喚するのは《EMドクロバット・ジョーカー》というモンスターだった。遊矢の知らないペンデュラム・効果モンスターだった。父親である遊勝が愛用したテーマでもあるEMは、モンスターや魔法の数が尋常じゃないほど豊富であり、正直遊矢が把握し切れていないところもある。未来から持ちこんだカードなのか、それともワンキル館のオリジナルカードなのか、遊矢は分からなかった。でも分かる人間が後ろにいた。

「《EMドクロバット・ジョーカー》!?」

反応したのはユーゴだった。思わず立ち上がり、遊矢の後ろからのぞき込んだユーゴは驚いている。

「え、どうしたんだよ、ユーゴ」

『どうしたもこうしたもあるかよ、あのモンスターは城前が使ったカードだぜ!?』

「えええっ、それホント!?ってことはあいつ、城前?!ってことは、あれもワンキル館のカードってこと?でもバイクは持っててもDホイールは持ってなかったじゃん!」

『俺に言われたって知らねえよ!あの野郎、Dホイーラーだったのかよ、聞いてないぞ!』

「オレだって知らないよ、なんだこれ?!」

動揺が走る遊矢達をよそに、彼はどんどん展開を進めていく。《EMドクロバット・ジョーカー》の召喚に成功したことでモンスター効果が発動し、《EM》モンスターが手札に加わる。オレンジ色の蛇のようなモンスターだった。そして、彼はシンクロ召喚を行った。レベル4の《竜剣士》モンスターに、レベル4の《EMドクロバット・ジョーカー》がチューニングされる。鮮やかな光を振り切って、金髪の真っ赤な仮面を被った竜人が滑空する。体のほとんどを機械化し、両腕が武器と一体化している。けたたましい機械音を鳴らしながら、遊矢たちの前に、まがまがしい悪魔のような翼をはためかせて立ちふさがった。《爆竜剣士イグニスターP》、表示されているのは当然のようにペンデュラムシンクロモンスターである。ユーリがデュエルしたときより明らかにデッキが強化されている。ユーゴの言葉にひょえーと遊矢は背筋が寒くなる。

『遊矢、覚悟しとけよ。下手したら俺の《クリアウィング・ファスト・ドラゴン》使ってくるかもしれない』

「言わないでくれよ、実現するかもしれないだろぉっ!思ったけど、ちょっと思ったけど!」

ペンデュラムシンクロという未来の結晶と言うべきモンスターにもかかわらず、エラーを起こさないのはワンキル館のデータバンクにこのモンスターが登録済みである証だ。いやでも遊矢たちは悟る。この半年間に試行錯誤してきた数多のテストプレイはすべてワンキル館に筒抜けだと。自覚はあったがこうも真正面から見せつけられると苦笑いしか浮かばない。

「のっけからシンクロ召喚か、飛ばしてるなあ!」

まだまだこれからだとでも言いたげに、《爆竜剣士イグニスターP》はその歪な巨体を振り上げ、モンスター効果が発動する。デッキから新たなる《竜剣士ラスターP》が守備表示で特殊召喚された。そして、ライトペンデュラムゾーンとレフトペンデュラムゾーンにEMモンスターが設置される。ペンデュラムの文字がフィールドに踊る。

「やっぱくるか、城前のペンデュラム召喚!」

EMモンスターが両サイドを照らす光の支柱になり、上空にはオーロラを思わせる虹色の光の渦が生まれる。そして波紋のように広がる円からは、オッドアイの影が見えた。あれが城前のオッドアイズだろうか。光の風が吹きすさぶ中、次々とエクストラ、もしくは手札に居たモンスター達があっという間にフィールドを埋め尽くしていく。遊矢とも零児とも違うペンデュラム召喚の演出だった。アクションフィールドの星の聖域が好きだといつだか言っていたのを思い出す。なんとなく似ている気がした。あの演出は城前がお願いしたんだろうか。
そして、息つく間もなく、《竜剣士ラスターP》とEMモンスターによるシンクロ召喚が行われ、もう1体の《爆竜剣士イグニスターP》が現れる。そしてフィールドに空いたところを埋めていく、特殊召喚されて守備表示になる《竜剣士》モンスター。これでペンデュラムゾーンが機能する限り、毎ターンこのモンスター達は並ぶことになるのだ。うん、悪夢である。

さらに過労死枠の《竜剣士ラスターP》とEMモンスターのオーバーレイによりランク4のエクシーズモンスターが守備表示で出現する。

「今度はエクシーズか、どんだけ研究してんだよ!」

ワンキル館の研究成果に思わず遊矢は叫ぶ。翼のはえた白馬に乗る金髪の黒い竜人は杖を振り上げ、モンスター効果を発動する。《昇竜剣士マジェスターP》はステータスが低いが、竜剣士をつり上げる効果はいただけない。蓮の連続シンクロを思い出したのか、ユーゴはうへっという顔をしている。墓地に《竜剣士ラスターP》が送られた時点で嫌な予感しかしない遊矢である。エクシーズユニットが取り除かれ、案の定フィールドに再び《竜剣士ラスターP》が特殊召喚された。

そして、残りの2体のモンスターが突然リリースされる。光の粒子が一つになり、全身を青い装甲で覆い尽くしたモンスターが出現した。

「融合もかあ。あ、よかった、こいつはペンデュラムじゃないんだ」

『エクシーズもだな』

「よかった、全部ペンデュラムだったらどうしようかと思った」

城前ソリティア大好きだもんなあ、とライロを使っているときを思いだす。ペンデュラムを取り入れたことで数多の展開が可能となるとしったら食いつくような決闘者なのだ。そして先攻封殺が大好きな決闘者でもある。さて困ったことになったぞ、どう切り抜けるのか考えるの楽しみになってきたけど。そんな遊矢をよそに城前はさらに《剛竜剣士ダイナスターP》の効果により墓地から《竜剣士ラスターP》を蘇生する。そして、《剛竜剣士ダイナスターP》と《爆竜剣士イグニスターP》がオーバレイし、ランク8《No.38希望魅竜タイタニック・ギャラクシー》が降臨する。

城前はカードを3枚伏せる。ターンエンドなのだろう、遊矢のターンを告げるライトが点灯した。

「さあて、どうやって突破しようかな!オレのターン、ドロー!」

遊矢はカードを引き抜いた。




モニタの隅に表示されているコースで赤く塗られているのは、4カ所あるアクション・カードの入手コーナーだ。城前は先陣を切ったまま、絶妙なタイミングでクラッチを踏む。ぐんぐん遊矢を引き離していく。その背後を守るような位置関係でモンスター達が並走したまま初めのコーナーに雪崩れ込んだ。一瞬、Aと大きく表示されたエリアが城前に踏破された瞬間にきらめき、遊矢が通ったときには色を失った。城前はカーブにそのまま突き進んでいく。まるで背後に目があるかのように、妙に隙が無い機動だ。遊矢も続こうとするがそれをモンスター達が邪魔している。まるで本物のプロのDホイーラーを相手しているような、絶妙なコンビネーションだ。よく訓練され、統率がとれている。どういうことだろう。本気で遊矢とユーゴは混乱した。今までの交流の中で、城前がDホイーラーだという情報を得られるものは何一つなかったというのに。回り込んだコーナーの先で、逃げていく城前が見える。

あそこに猛追するためには、このモンスター達のブロックを突き崩す必要がある。意外性もない基本的な布陣だが、数で勝る今の布陣なら有効だろう。その先には延々と続く複雑な経路があるとモニタが教えてくれる。

徐々に高まり始めていた遊矢の心地よい緊張感は、自分のターンを告げるデュエルディスクのライトが点灯するころには最高潮に達していた。それは集中力の高まりの証であり、頭のキレも、体の動きのキレも格段に良くなることを経験則から遊矢はよく知っている。カードを引き抜いた瞬間に、遊矢の五感から余計なものが失われ、視界はモニタに表示されているフィールド、そして手札以外は色を失う。

遊矢はバランス感覚と反射神経を研ぎ澄ませて、Dホイールに体を預ける。

「さあ、お楽しみはこれからだ!」

大声が響き渡る。その声に応えるように、待ちわびたカードが遊矢に舞い込んだ。

「・・・・・オレは魔法カード《EMキャスト・チェンジ》の効果を発動!手札の《EM》モンスターを任意の数だけ相手に見せて、デッキに戻してシャッフルするよ。そして、その数プラス1枚分、デッキからドロー!」

遊矢の頭上に5枚のEMモンスター達が表示されるが、すべてデッキに戻っていく。デッキがシャッフルされ、6枚のカードが手札に加わる。

『今度はマジモンの事故だな』

「うるさいなあ、黙っててよ!・・・・・・よし、来た。さらに魔法カード《螺旋のストライクバースト》を発動!デッキからレベル7の《オッドアイズ》モンスター1体を選んで手札に加える!そしてオレは《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》を召喚。そしてデッキから魔法カード《ミニマム・ガッツ》の効果を発動!」

《bR8希望魅竜タイタニック・ギャラクシー》のモンスター効果が発動するが、残念でした、と遊矢はもう1枚、発動する。

「フィールドの《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》をリリース!《希望魅竜タイタニック・ギャラクシー》の攻撃力を0にする!」

さあ準備は整った、と遊矢は高らかに宣言した。

「ライトペンデュラムゾーンにスケール8《EMガード・ガードナー》、レフトペンデュラムゾーンにスケール1《オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン》をセッティング!揺れろ運命の振り子!迫り来る時を刻み、未来と過去を行き交え!ペンデュラム召喚!」

《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》と《EMバラード》が光の支柱となり、左右に揺れる振り子を出現させる。そして振り子が内側からはじけ飛び、手札からモンスターが出現する。

「こい、《オッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴン》そして、《EMハンサムライガー》!《オッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴン》のモンスター効果を発動!《爆竜剣士イグニスターP》の攻撃力をエクストラデッキ×1000ポイント攻撃力をさげる!くらえ、ファンタスティック・フォース!!これで1000ポイントダウンだから、攻撃力は1850だ!」

遊矢は一気に加速する。

「さあ、バトルだ、城前!《EMハンサムライガー》で《No.39希望魅竜タイタニック・ギャラクシー》を攻撃だ!そして、《ミニマム・ガッツ》の第二の効果を発動!そいつが破壊された瞬間、城前はそのモンスターの攻撃力分のダメージを受ける!」

《オッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴン》の攻撃が城前に直撃するその瞬間、罠が発動した。

《NO.38希望魅竜タイタニック・ギャラクシー》《EMハンサムライガー》もろとも道ずれに破壊されてしまう。

「でも、《オッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴン》で、《爆竜剣士イグニスターP》を攻撃だ!」

吹きすさぶ風を引き裂いて、《爆竜剣士イグニスターP》を一瞬で粉砕した《オッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴン》は咆哮する。

「ちえっ、やっぱ簡単にはやられてくれないか!でも、そうこなくっちゃな!」

ワンショットし損ねたが、遊矢は有益な情報を入手することができた。《狡猾な落とし穴》が入っているということは、城前の今回のデッキはあの罠のみ、もしくは何らかのデメリットを回避する能力をもった罠のみということになる。どのみちバックは薄い。これは大きなアドバンテージだ。

「いつまでも後ろからじゃつまんないからな、そろそろ行かせてもらうぜ!」

一気にダメージを叩き込まれた城前のDホイールは動揺が走る。それを見逃すほど遊矢は悠長に構えてなどいないのだ。さしかかったコーナーで、遊矢は一気に城前を抜き去っていった。


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