このソフトウェアの注意事項、解説書、およびAP(ApoqliphothPortable)の取り扱い説明書に書かれている注意事項をよくお読みのうえ、正しい方法でご使用ください。小さいお子様には、保護者の方がお読みのうえ、安全にお使いください。
健康のためのご注意
! 警告 光の刺激によって引き起こされる発作について
点滅を繰り返すシーンやその他の光の刺激によって、まれに、目の痛み、視覚異常、偏頭痛、けいれんや意識障害などの症状が起きることがあります。こうした症状のある方は、事前に必ず医師に相談してください。
!注意 こんなときはすぐにプレイを中止する
上記の症状に加え、頭痛、めまい、吐き気、疲労感、乗り物酔いに似た症状などを感じたときや、眼、耳、手、腕、足など、体の一部に不快感や痛みを感じたときは、すぐにプレイを中止してください。プレイを中止しても治らないときは、医師の診察を受けてください。
疲れているときや睡眠不足のときは、プレイを避けてください。プレイするときは健康のため、1時間ごとに15分程度の休息を取ってください。プレイ中に体調が悪くなったら、すぐにプレイをやめてください。
使用上のご注意
このソフトウェアはAP(ApoqliphothPortable)専用です。AP(ApoqliphothPortable)のシステムソフトウェアは、常に最新のものにバージョンアップしてお使いください。
遊戯王arc-v APOQLIPHOTH
ごあいさつ
このたびは遊戯王アーク・ファイブAPOQLIPHOTHをお買い上げいただきまして、誠にありがとうございます。プレイされる前にこの解説書をお読みいただきますと、より一層楽しく遊んでいただけます。正しい使用方法でご愛用ください。
操作方法
メニュー画面やデッキ編集画面など、各画面の基本的な操作は、すべて付属コントローラのデュエルディスクで行います。デュエルディスク各部の名称とメニュー画面での操作方法は、[こちら]をご覧ください。他のバージョンにも対応していますが、スイッチの場所やボタンの形状などが異なります。HOMEボタンを押すといつでもゲームを終了できます。なお、このとき、それまでのゲームの進行状況は保存されないのでご注意ください。
マップ画面やデッキ編集画面では、デュエルディスクの特定のボタンを押しながら特定のボタンを押すと、ショートカットやリセットが行えます。また、同時に押すとカード名を検索できます。コマンドの一覧は[こちら]をご覧ください。
ゲームの始め方
APを起動し、デュエルディスクのタイトル画面でSTARTボタンか丸ボタンを押してください。タイトルメニューに進みます。
タイトルメニュー
方向キーを押して項目を選び、丸ボタンを押して決定してください。
はじめから 新しくセーブデータを作り、ゲームを初めからプレイします。プレイヤーの名前を決めて、難易度を設定してください。途中で難易度を変更することはできません。
つづきから 以前に保存したセーブデータをロードし、続きから遊べます。
メインメニュー
セーブデータの作成やロードが終わると、以下のメニューを選べます。
ストーリーモード
1人のデュエリストとなって、ストーリーを進めます。
デッキメニュー
あなたの所属する塾で行います。デッキ編集やデュエルのルールを確認できます。また今まで作成したレシピを確認できます。
デュエルミッション
あなたの塾にて行われる試験です。さまざまな状況でデュエルを行い、1ターンで相手のライフポイントを0にするモードです。挑戦するミッションで、所持金が決定します。
フリーデュエル
あなたの塾のデュエルシュミレーターで行います。ストーリーモードに登場するキャラクターを再現したCPUと対戦できるモードです。対戦相手やルールを自由に決められます。信頼度を上げるほどCPUのAIが高度に学習するため、より洗練されたデュエルをお楽しみいただけます。またCPU同士のデュエルを観戦することもできます。
データベース
あなたの塾にあるデュエルシュミレーターで行います。
1.デュエリスト名鑑 ストーリーモードに登場するキャラクターの情報を確認できます。
2.カードアルバム 手に入れたカードを確認できます。またカードの詳細や拡大した画像を見ることができます。
3.フォトギャラリー ストーリーモードでみたイベントグラフィックやムービーが鑑賞できます。
4.ミュージックプレイヤー ゲームの音楽を聴くことができます。
5.禁止や制限カードリスト デュエルにて禁止や制限されているカードを確認できます。
ストーリーモード
1人のデュエリストとなって、物語を進めるモードです。
マップ画面にはキャラクターがいるので、デュエルなどをして過ごし、信頼度をあげましょう。さまざまなイベントをこなすと、キャラクターの信頼度があがります。ストーリーをすすめる上で、この信頼度が非常に重要となります。ただし、キャラクター同士の相性によっては、リバースイベントが発生することがあるので注意してください。
カードの収集について
マップ上に落ちていたり、ショップで購入することができます。また、信頼度が高いキャラクターからもらうこともできます。お金はアルバイトをしたり、デュエル大会に参加したりしてください。アルバイトは舞網市広場の掲示板で確認できます。アルバイトでしか登場しないキャラクターもいます。ときどきキャラクターからプレゼントをもらったり、拾ったり、買い物したりすることもできるので、仲良くなりたいキャラクターにプレゼントしてみてください。キャラクターによって好きなもの嫌いなものが決まっているので、よく考えてあげましょう。
デュエリストレベルについて
デュエルに勝利すると経験値が手に入り、一定まで上がるとデュエリストレベルがあがります。レベルがあがるとデュエル大会に勝利するたびに手に入る賞金やアルバイトの報酬、あなたの塾の評価、周囲の評判が上昇します。
おことわり
ApoqliphothPortableは、お客様により安全で楽しい商品をお届けするために、常に品質改善を行っております。そのため、オンラインによる品質改善やお買い上げ時期によって同一商品にも多少の違いが生じる場合がありますので、ご了承ください。なお、改善内容についてはお答えできません。
アップデートについて
このソフトウェアは、快適にプレイできたり、より楽しんでいただくためにインターネット環境を利用した各種アップデートを提供することがございますので、インターネット環境の準備を推奨しております。なお、インターネット環境を準備できず、各種アップデートが受けられなくても弊社はその責任を負いかねます。ご了承ください。
それでは、ゲームをお楽しみください。
「なんのようだ、赤馬」
「貴様、またそんな口のきき方を!」
「気にするな」
「しかし……」
「いい。下がれ」
「……はい」
「私が君を呼んだのは、他でもない。彼をここに連れてきてくれ」
赤馬が差し出したのは、数枚の写真である。監視カメラを拡大コピーしたもののため、画像は不鮮明、しかも動いているものをコマドリ撮影したものだからぶれている。一見すれば犯罪者の情報提供を求めるチラシによく出ている全身写真だ。1枚はどこかの裏路地に消えていく後姿。残りはデュエルしている最中の盗撮特有のアングル。視線を落とし、ざっと目を通した黒咲は眉を寄せた。非合法で入手した写真であることが1つ、依頼した本人ならできるはずなのにわざわざ頼む違和感が1つ、最後は彼が黒咲にとってそんな顔をさせる人物だからである。
「なぜ俺に頼む。貴様ならできるんじゃないのか」
皮肉めいた言葉に反応する素振りもなく、赤馬はあっさりと首を振って断言した。無理だと。だから頼んでいるんだと続けた。そんなこといちいち言わさないでくれという姿勢に黒咲の手の写真がゆがんだ。大事なものだ、しわが寄ったら困るのは君だぞと釘を刺されてなおさら。舌打ちした黒咲はなぜだと返した。
「彼は神出鬼没のデュエリストだ。わかっているのは、強いデュエリストを求めていることだけ。無作為にデュエルしては、何らかの基準で相手を判断し、それを下回れば2度と姿を現さない。こちらから接触を試みたが失敗している。機械に精通しているようで、初めはGPS等を試したが市内の公式大会情報を抜かれた。今はそちらをランダムに襲撃しているようだ。かつての君のように」
もっとも黒咲の場合は、LDSという単語を元に襲撃する人間を選び、騒ぎが大きくなるにつれて社長が出てくることを望んだ。しかし、彼の行動目的が読めないと赤馬はいう。かつての襲撃犯として深層心理は君がよく知っているだろう、と言外に言われて、黒咲は殺気立つが素知らぬ顔の依頼人は続ける。
「なぜこいつを呼ぶ」
「目的が知りたいからだ。この状況で不穏分子に好き勝手されると困る。戸籍が存在しないにも関わらず、どれだけ探しても潜伏先が見つからないのも不可解だ。バックに巨大な組織、もしくは複数の協力者の気配を感じる。だが危険度は低いし、そちらに労力を割くのが惜しい」
「貴様が出ていけばいい話だろう」
「今まで一度も会ったことがない私より、キミの方が適任だ。それはキミの方がよく知ってるだろう、黒咲」
「ちっ」
メガネをあげる赤馬に黒咲は不満げに目を逸らした。
「名前すら知らないがな」
不本意ながら、その通りだから。
「彼はキミを知っているようだが」
黒咲は無言で立ち去った。
黒咲が名前も知らない少年と初めてあったのは、LDSの襲撃を初めてすぐのころである。塾生が下校する時間帯に紛れてあらわれた小柄な少年は、LDSへの襲撃事案が噂になるにつれて強化される警備と反比例して頻繁に目に留まるようになった。スタンダード次元の警備体制など黒咲にはなんの意味もなかったが、捕まるのは面倒なため移動するエリアを変えなければならず、いらいらが募っていた時期でもあった。どのエリアにいっても、1日に1度は目にする少年。目が合うのは決まって誰かとデュエルをしている途中だった。デュエルに参加するわけでもなく、治安組織に通報するわけでもなく、逃げる訳でもなく、ただ黒咲がデュエルをするところを遠巻きにみているだけだった。はじめこそ単なる偶然と片づけてきたが、目撃する週が増えていくにつれて、さすがに違和感がぬぐいきれなくなってくる。1日1度は目が合う少年となって、黒咲はようやく気付くのだ。あれは黒咲と目が合うまえからずっと見ているから目が合うのだと。
タチの悪い都市伝説にでもありそうな話だが、その少年は黒咲よりだいぶん小柄な少年だ。おそらくユートより低いだろう。スタンダード次元の人間にどうこうされる不覚をとる覚えはない黒咲である、デュエルディスクを付けている幼いデュエリストにストーカーじみた行動をされたところでどうとも思わなかった。ただ、なかなかLDSのトップが出てこない日々に潜伏期間の長期化というストレスも溜まり、イライラが募り、襲撃で発散するサイクルが出来始めたころ、ようやく最大の違和感の正体に気付くのだ。黒咲たちが移動するエリアはもちろんランダムである、少年がLDS所属の人間でない限り、監視カメラ等で特定して先回りするのは不可能だろう。もっとも社長の話では監視カメラ等のハッキングは可能なようだが、それくらい黒咲も気付いていた。なにせ、いつしか真っ先に少年がいないか確認するようになっていた黒咲である。エリアについて、ものの30分で少年を目撃することに気付いたのだ。時間帯はそれこそランダム。少年が学校に通っていないのはあきらかだった。完全にバレていた。
最初こそ、黒咲の話を話半分で聞いていたユートだったが、ここまでくるとさすがに思うところがある。どうするか、と二人の話題にたびたび登場するようになったとき、彼は現れた。
さすがに二人は警戒したし、戦闘体勢にもはいった。だが、少年の反応は肩すかしだった。はじめまして、と礼儀正しくお辞儀をし、強いデュエリストだという噂を聞いたのでデュエルしてくださいとお願いしてきたのだ。愛想がいい普通の少年だ。長きにわたる謎の監視を知らなければ、ユートも黒咲も相手にしなかっただろう。どこまでも無防備な少年である。黒咲がデュエルをしてくれると信じて疑わない目で見上げてくる。そのあまりにもミスマッチな不気味さに引きずられる形で、黒咲はデュエルをした。負けたら二度と現れるな、という条件を付けて。そしたら少年は残念そうにうなずいた。でも、僕が負けなかったら、またデュエルしてくださいねと笑った。デュエルには絶対の自信がある黒咲である。無言の肯定ととった少年は、精いっぱい頑張ります、とうなずいた。そして、デュエルははじまった。
先に結果を言ってしまうと、ひきわけである。たしかデッキ内容は自爆スイッチだったか。その日から少年は毎日のように黒咲のところに現れて、デュエルを挑んでは引き分ける、という謎のルーチンをとるようになった。あるときは火炎地獄、あるときはメタモルポッド、あるときは終焉のカウントダウン、またあるときはラストバトル、あとは魂のリレーの敗北条件が同時に満たされる、おたがいの手札で同時にエクゾディアが揃うなんて意味不明な状況になったこともある。黒咲とユートの認識がメンドクサイやつにかわるのは時間の問題だった。それいがい何もしてこないのだ。名前とか、何者だとか、LDS襲撃の理由を聞くとか、ほんとうになにもしてこない。デュエルをしてくれといってはやってくる。断っても、OKするまで普通に移動するエリアごとにいつのまにか現れる。構ってやった方がさっさと帰るので、そっちの方が労力をそがずに済むと黒咲が学ぶのは早かった。もちろんそれは現在進行形である。
まさかLDSをもってしても正体不明な存在だとは思わなかったが、たしかに赤馬がいうとおり黒咲が接触した方が早いだろう。黒咲が外に出れば、いつの間にかいるのだから。毎回のようにデッキが変わるせいで対策もろくにとれない。ただ、彼は黒咲のデュエルがみたいというのが口癖である。デッキを変える必要はないし、彼の対策にデッキを変えるなんてこと、黒咲がするわけもない。写真はてきとうにおきざりにして、黒咲はLDSをあとにした。幾先はとくにきめていない。どうせ、捜さなくても彼は勝手に表れるのだから。