hope(ゼアルとカイトと漫画版夢主。パラレルアップデートの前日譚)
『なあなあ、克己、克己!頼むからさあ、代わってくれよ!』

「んだよ、こんな時に!ふざけんじゃねえ、今は遊んでるような状況じゃねえってことくらいわかるだろ」

城前は頭の中にがんがん響きわたる声に舌打ちする。

『だって克己、このままじゃデュエルに負けちまうだろ!カードにされるのも、負けるのも、俺は嫌だ!このままじゃやばいことくらいわかってる!俺にその勝負、預けてくれよ頼むから!』

「は、バカいってんじゃねえよ。鍵からでれねえほど瀕死の癖して、自殺でもする気か?」

『それは今の克己だって同じだろ!一緒にアストラル世界にいくって約束したんだ、それを守れなくなるのが嫌なんだよ!』

「っくそ、うるせえ!」

『ああもう、克己の分からず屋!もーいい、こうなったら無理矢理にでも休ませてやる!』

ハルトを人質に取られ、裏切らなければバリアン世界に連れていくと宣言されたカイトと何者かの意識を上書きされているハルトとの決闘に追いつめられた城前は、ふらふらと立ち上がる。実体化するモンスターからの攻撃が直撃し、凄まじいダメージがおそっているらしい。カイトはいたたまれず目をそらす。エンドフィズを宣言した。その
直後に突然始まった一人の問答である。カイトは目を見開いた。明かな豹変だった。

顔を上げた城前は、初めてダメージを自覚したような反応を示す。悶絶する城前にカイトは違和感のあまり見つめていることしかできない。

「克己のうそつき、やっぱすっげえ痛え」

克己、と城前を呼ぶその声は、まるで別人のようだ。それを肯定するように、ハルトの意識を乗っ取っている何者かが敵意を剥き出しにする。城前にデュエルを強要したのは、こいつの登場を待っていたかのような言葉である。城前はハルトを見る。その眼差しは怒りに満ちていた。

「よっくも克己をこんな目にあわせたな!ぜってえ許さねえぞ!」

「お前がそいつにとりついてるから悪いんだろう。違うのか?」

「克己はそれも含めていいよって言ってくれたんだ、俺はその気持ちに応える!ハルトってやつにとりついて、カイトってやつに言うこと聞かせてるお前にだけはいわれたくねえよ!」

城前は、そういってターンの宣言をした。

「最強の決闘者のデュエルはすべて必然!ドローカードさえも決闘者が創造する!すべての光よ!力よ!我が右腕に宿り希望の道筋を照らせ!シャイニング・ドロー!」

それはハルトとは真逆の光だった。ドローするたびにまがまがしいエネルギーが観測されるハルトとは真逆に、あまりにも神々しい光のエネルギーが観測される。どちらも通常のデュエルでは発生し得ないものだ。

「俺は魔法カード《勝利の方程式》を発動!相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、発動することができる。エクストラデッキから「カオスナンバーズ」と名の付いたモンスター以外の「ナンバーズ」と名の付いたエクシーズモンスター1体を特殊召喚する。その後、この効果で特殊召喚したエクシーズモンスターの下にこのカードを重ねてエクシーズユニットとする事ができる。俺が呼び出すのは《NO.39希望皇ホープ》!そしてさらに手札から魔法カード《RUM-ホープ・フォース》を発動!このカードはエクシーズ素材を2つもつ《NO.39希望皇ホープ》1体を対象に効果を発動できる!選択したモンスターよりもランクが1つ、または2つ高いモンスター2体を自分のエクストラデッキから特殊召喚することができる!その後、その特殊召喚したエクシーズモンスター2体の下に対象モンスターのエクシーズユニットを1枚ずつ重ねてエクシーズ素材とすることができる!ダブルアップエクシーズチェンジ!」

上空に渦巻く銀河の渦が光の矢を落とし、城前のフィールドに飛来する。

「こい!《NO.39希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》!」

一気に3体のモンスターが並んだ。

「俺のフィールドにはナンバーズが3体いる!よってこのカードの効果を発動する!魔法カード《エクシーズ・トレジャー》!フィールド上に表側表示で存在するモンスターエクシーズの数だけ自分のデッキからカードをドローすることができる!よって3枚ドロー!もう1枚の《エクシーズ・トレジャー》を発動、よってさらに3枚ドロー!さあ、いくぞ!俺は《HRUM(ハイパーランクアップマジック)ーアルティメット・フォース》の効果を発動!自分フィールドの「ホープ」と名の付いたモンスターエクシーズ1体を選択して発動する。ナンバーズと名の付いたランク10のモンスターエクシーズ1体を自分のエクストラデッキから選択したモンスターに重ねてエクシーズ召喚することができる!そして、このカードの効果でこのカードをエクシーズ召喚したモンスターのエクシーズユニットとすることができる!」

城前は今まで見たことがないほどきれいな笑みを浮かべていた。

「現れよ、No.99!砕け散りし我が魂の記憶、今、ひとつとなりて天命を貫く霹靂となれ!これがナンバーズの終焉にして頂点!希望皇龍ホープドラグーン!そして、エクシーズユニットを1つ取り除き、俺は墓地に眠りし《NO.No.39希望皇ホープ》を蘇生し、オーバーレイネットワークを構築!ランクアップエクシーズチェンジ!一粒の希望よ!今電光石火の雷となり闇から飛び立て!現れろSNo(シャイニングナンバーズ)39!《希望皇ホープ・ザ・ライトニング》!さあ、バトルだ!ビヨンド・ザ・ホープで攻撃だ!ビヨンド・ザ・スラッシュ!」

「なにを考えているんだ、城前!こっちには・・・」

「《No.39希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》はナンバーと名の付いたモンスター以外との戦闘では破壊されない。それに加えて、このカードが自分フィールド上に存在する限り、自分フィールドのモンスターは相手のカードの効果を受け付けない!よって
《和睦の使者》の効果は無効となる!さらにホープをエクシーズユニットとしてエクシーズ召喚しているため、お前たちのモンスターの攻撃力はすべて0、バトルは続行だ!いけ!」

それは容赦のない猛攻だった。モンスターは破壊され、ホープたちの攻撃は反射的にハルトをかばったカイトではなく、その後ろに不自然に延びる闇の螺旋めがけて突き刺さる。カオスナンバーズをランクアップさせる度に出現していたそれは、今まで観測したことがない波長のエネルギーを放出したあと、突然姿を消してしまった。それと同時に、ハルトは意識を失い倒れてしまう。すでにカイトの腕の中にいたため難を逃れたが、どさりという音が聞こえる。はじかれたように顔を上げたカイトが呼びかけたその先には、倒れてしまった城前がいる。真っ青になったカイトはあわててオービタルを走らせる。

「カイト様!城前モハルト様ト同様意識ヲ失ッテイルデアリマス!」

「なっ!?は、はやく救護を呼べオービタル!救急車より俺達の研究室の方が早い!」

了解、とどんどん声が大きくなるカイトの動揺を受け止めてしまい、オービタルもわたわたと準備を始める。

「ハルト・・・城前・・・あいつらは、いったい」

緊急治療室から出てこないハルトたちを鏡越しに見つめ、カイトは行き場の失った拳をたたきつけた。


prev next

bkm
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -