さあ踊れ2(開闢と漫画版夢主)
ワンキル館主催のデュエル大会は佳境を迎えていた。今回は環境を斡旋するテーマが軒並み禁止となる変則的なルールで行われたため、多種多様なデッキが参戦している。いつもお目にかかれないようなテーマやデッキがしのぎを削り、いつもとは違った盛り上がりを見せている。

中学生の部が終わり、中学生以上を対象としたスタンダードなルールのデュエル大会の決勝が幕を閉じた。白熱の末、頭角を現しつつあるジュニアからこの部に初めて参戦するデュエリストが、今回エキシヴィジョンマッチに挑むことになる。挑戦者は緊張していた。この部からワンキル館の広告塔であり、混沌使いと名高い青年とデュエルすることになるからである。ジュニア大会では優勝こそが栄光に直結していた。これからは栄誉の先に名誉も手に入れることができるかの戦いとなる。勝ったら認定書がもらえ、ワンキル館のバックである某グループ主催のデュエル大会の門が開かれる。門番としての役割も担っている彼は姿を現した。

城前克己、その人である。

観客は歓声に沸く。緊張感は最高潮に達していた。

ようこそ挑戦者、と城前は挑発めいた笑みを浮かべて出迎えた。デュエルフィールドは、エキシビジョンマッチ専用の会場に変貌する。この時だけしかお目にかかれない舞台で立て居るのは挑戦者と彼だけだ。挑戦者の少年はがちがちに固まりながら、おねがいします、と頭を下げる。おう、よろしくな、と彼は笑った。お互いにデッキをシャッフルし、デュエルディスクにセット、再度シャッフルを行う。これはこの大会におけるルールだった。緊張の連続である。どうにかカードが落ちて反則により棄権なんて不名誉は被らずに済んだ。今度はいよいよデュエルである。

デュエルは厳かな音楽とともに始まった。先行は城前だ。

「おれはテラ・フォーミングを発動。このカードの効果により、デッキからフィールド魔法を1枚手札に加えさせてもらうぜ」

「開闢の使者は光と共に、終焉の使者は闇と共に。光と闇が出会う時、世界は混沌に包まれる!さあいくぞ、挑戦者!おれはフィールド魔法、カオス・フィールドを発動!デュエルモンスターズは再びカオスフィールドへ!思い出せ、悪夢を!混沌を征するするのはどちらか、決めようじゃねーか!」

「おれはカオス・フィールドの効果を発動。デッキからカオス・ソルジャーの儀式モンスター、もしくは暗黒騎士ガイアのモンスターを1体手札に加える!おれが加えるのは疾走の暗黒騎士ガイアだ。そして手札から開闢の騎士を召喚し、モンスターゲートを発動する!開闢の騎士をリリースし、通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキをめくり、モンスターを特殊召喚する!めくったカードはすべて墓地いきだ!」

城前のデッキからカードが次々に消えていく。

「おれはオネストを攻撃表示で特殊召喚する!カードを1枚伏せてターンエンドだ。さあこい、挑戦者」

「攻撃表示ですか、これは怖いなあ」

「おいおい、まさか怖気づいてんのか、挑戦者?ここまで勝ち上がってきたんだろーが?んな半端な気持ちで入って来るなよ、デュエルの世界によぉ!せっかくやんなら胸を張れ!」

「はい、わかりました。僕は手札から闇の誘惑を発動します。デッキからカードを2枚ドローし、手札の闇属性モンスターを1体除外。さらにおろかな埋葬を発動して、デッキからモンスターを1体墓地に送ります。もちろん送るのは暗黒界の龍神グラファです!」

「だろうな、定石だ」

「さすがはワンキル館、ご存知でしたか。なら、わかりますよね?さらに僕は暗黒界の取引を発動します。お互いのプレイヤーはカードをデッキから1枚ドローし、手札を1枚捨てます」

「なにが恐ろしいだ。ずいぶんといい手札じゃねーか」

「ありがとうございます!まだまだこれからですよ!さらに僕は魔界発現行きデスガイドを召喚、効果によってレベル3の悪魔族をデッキから特殊召喚します!そしてレベル3のモンスター2体でオーバーレイ!リヴァイエールをエクシーズ召喚!エクシーズユニットを1枚墓地に送り、除外されている暗黒界の尖兵ベージを特殊召喚!さらに墓地にあるグラファの効果を発動!ベージを手札に戻し、グラファをフィールドに特殊召喚します!城前さん、バトルです!オネストにグラファでアタック!」

「おれは手札からオネストを発動!攻撃力は倍になる!返り討ちだ!」

「くっ!ターンエンドです」

「おれのターン、ドロー!オネストの効果で手札に回収させてもらう!さらに墓地にある転生の超戦士を除外し、墓地にある超戦士の儀式を手札に加える!そして、マンジュゴットを召喚!デッキからサーチするのは超戦士カオス・ソルジャー!さあ、準備はいいか、挑戦者!」

「おれは超戦士の儀式を発動する!これにより、カオス・ソルジャーと名のついたモンスターの儀式を執り行うことができる!マンジュゴットと宵闇の騎士をリリースし、降臨せよ、超戦士カオス・ソルジャー!宵闇の騎士をリリースしたことにより、カオス・ソルジャーは効果を得ることができる!グラファを除外だ!さあ、バトルだ、挑戦者!リヴァイエールに攻撃!さらにそのモンスターの攻撃力分ダメージを受けてもらおう!」

「うわあっ!」

「カオス・フィールドのカオスカウンターを3つ取り除き、おれはデッキから超戦士の儀式を手札に加える!ターンエンドだ」

「僕のターン、ドロー!僕は暗黒界の取引を発動します。お互いにデッキからドローして、墓地に1枚捨ててましょう」

「さあ、逆転の一歩を見せてくれ」

「僕は暗黒界の門の効果を発動します。悪魔族モンスターを1体除外して、手札から悪馬族モンスターを1枚捨てます。そしてデッキからドローです。僕は魔轟神レイヴンを召喚!手札を捨て、その分レイヴンのレベルがアップします。暗黒界の尖兵ベージをフィールドに特殊召喚!2体でシンクロ召喚!こい、魔王龍ベエルゼ!」

「ベエルゼか!」

「このモンスターは戦闘およびカードの効果では破壊されません!さあ、バトルです、城前さん!ベエルゼでカオス・ソルジャーを攻撃!」

「うぐっ。相打ちでダメージは発生しないが、超戦士は破壊か。なら、超戦士カオス・ソルジャーの効果発動!自分の手札、墓地、デッキから暗黒騎士ガイアとつくモンスターを1体特殊召喚することができる!おれは手札から疾走の暗黒騎士ガイアを特殊召喚!」

「なっ!?」

「さあ、どうする?」

「くっ……僕はターンを終了します」

「さあ、終わりにしようじゃないか、挑戦者。おれのターン、ドロー。カオスフィールドのカオスカウンターを3つ取り除き、デッキから超戦士の儀式を手札に加える。ふたたび、超戦士の儀式を発動」

「ひとつの魂は光を誘い、ひとつの魂は闇を導く!やがて光と闇の魂はカオス・フィールドを作り出す!疾風れ、暗黒騎士ガイア!カオス・フィールドを駆け抜け、超戦士の力を得よ!」

「手札のソニックバードとフィールドの疾走の暗黒騎士ガイアをリリースし、超戦士カオスソルジャーを儀式召喚!疾走の暗黒騎士ガイアの効果のリリース効果を発動、デッキからカオス・ソルジャー開闢の使者を手札に加える!」

城前は高らかに宣言した。

「開闢の騎士と宵闇の騎士の魂を生贄に捧げ、カオス・ソルジャー開闢の使者を特殊召喚する!開闢の騎士と宵闇の騎士が除外されたことで、おれはカオスの儀式とカオス・ソルジャーをサーチ。開闢の使者の効果でベエルゼを除外する!」

「くっ」

「さあ、バトルだ。超戦士でダイレクトアタック!」

「うわあああっ!」

城前の勝率を告げるブザーが鳴り響いた。


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