幻影の構成7

ちょっとした問題が発生した。

「あれ、俺が1番じゃ無いんすね。アンタ、見かけない顔だけど誰っすか」

「オレは3年の江見翔だよ」

「ああ......アンタが噂の?」

「あはは、なんの噂なのやらだね」

「聞いた事ないんスか?《生徒会》に喧嘩売っておきながら堂々としてるのは、《生徒会》が手をつけられないくらいやべーやつだからとか。図書室やプールに女子生徒連れ込んだかと思いきや、《転校生》や柔道部主将や前担任とできてるとか」

「なんか想像以上にカオスなことになってるなァ。ここまでくると否定する気にもならないよ」

「ほんとっすか?葉佩センパイだって大したことなさそうな顔してるくせに、1発2発食わされたし。火種のないところに煙はたたないっていいますよ」

「少なくても雑食ではないよ」

「ふ〜ん?まあ、どっちでもいいっすよ。それなりに優秀なのはたしかみたいだし。そうじゃなきゃ葉佩センパイがH.A.N.T.とかいうパソコンでアンタに報告書なんてうたないだろうし。よっぽど頼りにされてるんすね。皆守センパイが来てないことに驚かないわけないし」

「あはは、2人ともそんなことしてたんだ?そう思ってくれたならこれ以上に嬉しいことはないけどね」

「いつもはレギュラーらしいっすね、まずはアンタの立ち位置を狙うことにするっすよ。しばらくは《遺跡》探索、これないんすよね?」

「そうだね、やりたいことが沢山あるんだ」

「じゃ、チャンスってことで。スタメン落ちしても悪く思わないでくださいよ」

「もちろん思わないよ。九ちゃんの味方は一人でも多い方がいいからね」

「ほんとにイメージとはかけ離れてますよね、アンタ。張り合いないというか、肩透かしというか。なんというかいい人だ」

「あはは」

「というわけで、これから俺もバディになるんでよろしくお願いします」

「うん、よろしく。それじゃあオレはお先に上がらせてもらおうかな。またね」

私は風呂場を出て、脱衣場に出た。そして身支度を整えて廊下にでると皆守たちと遭遇した。

「先にいっとくが翔ちゃん。俺達は止めたからな?話の途中で勘違いして先にいっちまったのはアイツだ」

「うんうん、夷澤が先にいっちゃっただけだからッ!俺達無罪だからッ!けしかけた訳じゃ断じてないからッ!」

「そうだぞ、江見殿。我らは断じて不埒な真似をするためにここにいる訳ではない!」

「あーはいはい、だいたいそんな気はしてたから大丈夫だよ。心配しなくてもやっちーにチクッたりはしないから」

私の言葉に3人はホッとしたようだ。

「私もう上がったから入りなよ。お疲れ様」

「よかった〜、翔チャンならわかってくれると思ってたんだ〜。メールあとでよんどいてくれ、あとで江見睡院先生のメモと今回の探索について話したいことがあるからさ」

「わかった。自室にいるからまた声掛けてね」

「了解!」

「しかしあれだよね、夷澤って《生徒会》なのにオレについて何も詳しいこと聞いてなさそうだったのが驚いたな。あそこまで関わりないとは思わなかったよ」

「あ〜、それは思った」

「所詮は生徒会副会長補佐とかいうよくわからん役職だからな。そんなもんなんだろ」

「左様。さらに夷澤はどうやら9月あたりからアラハバキの思念に操られておったようでな、ファントムの時の記憶はほとんど残っておらんようなのだ」

「そうなんだ?薄々そうじゃないかとは思ってたけどさ。アラハバキはオレの体と精神が矛盾してることに気づいてたみたいだから、記憶が残ってたならなんかしら反応しそうだけど特になかったし」

「特にって......」

「オレの事情なんて知らなかったら、普通の男子生徒にすぎないだろ?そりゃ気づくのは無理だよ。すどりんみたいにアピールしてるわけじゃないし」

「すどりんとはちがうんじゃないかな〜?」

「どこが?経緯が経緯なだけで体と心が一致しないのは同じだろ?」

「状況はそうかもしれないけど、抱えてるものが違すぎるね」

「そうかなあ?」

私が首を傾げたとき、真後ろから不満そうな声がした。

「なにみんなして喋ってるんスか」

「ちょうどいいところに来た、夷澤。混浴の感想はどうだった?」

「......はい?」

固まる夷澤に私はあわてて訂正を入れた。だんだん視線を合わせてくれなくなっていく。

「すいませんした」

「気にしないでいいよ、知らなかったんだから」

「葉佩センパイ、どうしてもっと強く止めてくれなかったんすか?!」

「ごちゃごちゃうるせえな。人の話聞かずに行ったのはお前だろ」

「うっ......」

「翔ちゃんも翔ちゃんだ。いつものプールはどうした」

「あのさあ、まさかこんな時間に混むとは思わなかったんだよ。まだ5時なんですけど。水泳部でもないのに行けるわけないだろ、まだ部活中だよ?」

「それでもだ。メールはしただろ、九ちゃんが」

「だから〜......。《遺跡》にいかないときはだいたいこの時間に入ってるんだよ、オレは。しばらくは《遺跡》いかないんだから覚えといてね」

「......そんなに忙しいのか」

「そうだよ?色々とね」

「......」

「それじゃあ後でね」

私はその場を後にした。皆守が面白くなさそうに舌打ちをした。
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -