番外編2 VSユート戦A
「ユート、おれの猛攻を防ぎきる準備は万全か?」

「やってみろ、こい!」

「おれは光の援軍を発動!」


闇の空間を切り裂いて、鮮やかな閃光が走る。


「デッキの上から3枚を墓地に送り、効果を発動するぜ。デッキからレベル4以下のライトロードと名のついたモンスターを手札に加える!おれが加えるのはもちろんライトロード・サモナー・ルミナスだ!こい、ライトロードの起爆剤!」


その閃光から現れたのは、真っ白な法衣に身を包んだ少年だ。


「ルミナスのモンスター効果を発動!手札を1枚捨て、墓地からライトロードと名のついたモンスターを特殊召喚する!蘇れ、墓地に眠りしライトロード・アサシン・ライデン!」


ルミナスの効果で魔法陣が琥珀色に満たされた時、再び空間が裂け、褐色の半裸な青年が現れた。


「そしてカード効果で墓地に行ったライトロード・メイデン・ミネルバの効果を発動、デッキからカードを墓地へ送る!さらにライトロード・アーチァー・フェリスを特殊召喚!」


さらに猫耳の少女が現れた。


「ライデンの効果を発動!デッキからカードを2枚送り、その中にライトロードがあった場合、攻撃力が200ポイントアップする!」

「どうやらひけなかったようだな」

「うるせえ、墓地肥しが目的だからいいんだよっ、くっそ。フェリスをリリースし、その効果を発動!モンスター1体を破壊する!対象はもちろん終末の騎士だ!そしてデッキからカードを三枚墓地に送る!」

「くっ」


フェリスの放った弓矢が終末の騎士を貫通し、消え去る。役目を終えたフェリスは闇に消えた。


「おれはレベル4のライデンにレベル3のルミナスをチューニング!光の精鋭を束ねし始祖よ!すべてを超越し、悪を殲滅せよ!いざ仰げ!ライトロード・アークミカエル!さらにおれは墓地の闇属性のネクロガードナーと光属性のフェリスを除外する!光も闇も全ては日々を彩る相克!縦横無尽にいざ踊れ、天地開闢!さあ、降誕せよカオスソルジャー開闢の使者!さあバトルだ、ユート!」


上空から飛来したモンスターたちがユートの前に立ちふさがる。侵攻を妨げられたユートは、そうはさせるか、と伏せカードを起動した。


「私は幻想騎士団シェード・ブリガンダインの効果を発動!このカードは自分の墓地に罠カードがない時、セットしたターンでも発動できる。モンスターとして守備表示で特殊召喚!」

「なら開闢で攻撃だ、いけ!時空突破・開闢双刃斬!」

「ただでは終わらない!私はアクションカード、地獄の道連れを発動!自分のモンスターが破壊された時、相手のモンスターも破壊し、700ポイントのダメージを与える!」


開闢の使者が背後の闇から現れた謎の手によって飲まれてしまう。その際に粉塵が飛び、たまらず城前はしゃがみ込んだ。あっぶねえ、とぼやきながら、攻撃を続ける。


「こんの野郎、やりやがったな!アークミカエルで攻撃だ!」

「ぐあっ!」


ユートが城壁ギリギリまで吹き飛ばされる。すれすれのところで踏みとどまったユートは、泥にまみれた体を払った。そして立ちあがる。ダメージはないとはいえ、フィールドはいつかと同じくがらがらである。


「アークミカエルの効果によりデッキからカードが墓地に行く。ターンエンドだ」


気付けばずいぶんと離されてしまったようで、城前はユートの上にいる。城壁から足場がもうない奈落に堕ちやしないかはらはらしていたようで、立ち上がったのを見てほっとしているのが見えた。思わず口元が緩むが、それを茶化す相方に悟られまいと前を見た。ふたたび走り出す。


「私のターン、ドローッ!!」


ユートの表情が輝いた。


「私はクレーンクレーンを召喚する!その効果により墓地に存在するレベル3のモンスター1体を効果を無効にした状態で特殊召喚する!再び墓地に舞い戻れ、幻想騎士団ダスティローブ!レベル3のクレーンクレーンとレベル3のダスティローブでオーバーレイ!戦場に倒れし騎士たちの魂よ!今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ!エクシーズ召喚!現れろランク3!幻想騎士団ブレイクソード!」

「やっぱ入ってたか、ランク3のダイヤウルフ!来ると思ってたぜ!」

「ならば話は早い。私はオーバーレイユニットを取り除き、効果を発動!アークミカエルとこのカードを破壊する!」

「くっそ、やるじゃねーか!でも、ただじゃ終わらねえぜ!おれはアークミカエルの効果を発動!墓地にあるライデンとルミナスを回収して、デッキをシャッフル。LPを600ポイント分をその分回復する!」

「なら、その上を行くだけだ!墓地にある幻想騎士団2体をレベルを1つ上げて特殊召喚する!こい、幻想騎士団ラギッドローブ、ダスティローブ!」


ユートのモンスターが墓地から召喚される。


「レベル4幻想騎士団ラギッドローブとレベル4幻想騎士団ダスティローブでオーバーレイ!漆黒の闇より現れる反逆の牙!エクシーズ召喚!こい、ランク4!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」


ユートはエースに飛び乗ると、城壁を一気に滑空する。城前がアクションカードを手にするのが見えた。加速する崩落に気付いて、あわててその先にある城に続く反対側の通路に辿り着く。ようやく足場の悪い所から解放され、ほっと息を吐いた。しかし、物凄いスピードで迫ってくるダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンに顔が引きつる。


「そしてラギッドローブの効果を発動!エクシーズ召喚された闇属性モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする!よってダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの攻撃力は3500だ!」


城前は、くっそ、と舌打ちをした。目前にはダーク・リベリオンが迫りくる。


「さあいけ、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!反逆のライトニング・ディスオベイ!!」

「LPで受けるぜ」

「モンスターの効果は使わないのか?」

「うるせえ、余計なお世話だっての!ぐうっ!」

「なら、私はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ。さあ、これからどうする、城前?」

「お誉めにあずかり光栄だってね、全然嬉しくねーわ、このやろー!おれのターン、ドロー!」


城前は墓地にあるモンスターを確認する。


「おれは手札から死者転生を発動する!手札を1枚捨て、墓地からモンスターを手札に加える!そして墓地のライラとネクロ・ガードナーを除外し、さあ蘇れ、開闢!そして、墓地に4種類以上の光属性が集った時、新たなる光の精鋭を特殊召喚する!こい、ライトレイ・ダイダロス!モンスター効果を発動だ!」

「そうはさせない!罠発動、ブレイクスルースキル!その効果は無効だ!」

「墓地に行ったブレイクスルースキルの効果は同じターンでは発動できないよなあっ?!なら、今度は開闢の効果を発動するぜ!次元の彼方に消え去れ、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」

「くっ」

ユートは足場を失い、城前と同じフィールドに立つ。

「だが、これで開闢は攻撃できないな。次のターンで決着といこう」

「それはどうかな?」

「なんだと?」

「次のターンは回ってこないぜ、ユート!おれは手札のカード1枚をデッキトップに戻し、墓地に眠るゾンビキャリアを特殊召喚する!レベル2のゾンビキャリアにレベル8の開闢をチューニング!こい、神樹の守護獣ー牙王!こいつはメイン2以外では相手のカードの効果を受けない!さあ、バトルと行こうぜ、ユート!これでとどめだ、牙王でダイレクトアタック!!

「ぐあああっ!!」

ユートの敗北を告げるブザーが鳴り響いた。


「よっしゃあ、おれの勝ちいっ!」


ガッツポーズを決めて歓喜する城前に、一歩及ばなかったか、とユートは悔しげにつぶやいた。


「いいデュエルだった、ありがとう、城前」

「こっちこそ!楽しかったぜ、ありがとな!」


握手を求められた城前はユートの手をぶんぶん振り回す。


「ところで、どうしてアクションカードを使わなかったんだ?」

「え?ああ、これだったんだよ」


城前が差し出したのは、悪魔王の強襲。この城の主である悪魔王が直々に力を貸してくれるアクションカードである。相手のモンスターの攻撃力を1000ポイント下げ、500のダメージを与えるカードだ。


「あっぶねえ、マジであぶねえ。もしユートにとられてたら、バーンで負けてた!」

「そう思ってくれたなら光栄だ。俺も城前が必死でデュエルしてるところが見れて楽しかったしな」

「はあっ!?なんだよ、それ!こっちはすっげえ怖かったんだからな!。っつーか、こんなのナシだろ、ユート!なんでおれに、おれのデュエルをさせねえんだ!」

「そしたらあいつのデュエルと同じになるだろう?それでは二番煎じになってつまらないからな」

「デッキ違うじゃねーか、二番煎じにはならねえよ!っつーか、あれだわ。この城のギミック、お前らが帰ったら速攻で消しとくからな!館長にバレたら、おれが死ぬ!っつーわけで、帰れ!今すぐ帰れ!」

「残念だったな、城前はもうアクションデュエルしたくないそうだ」

「まさか遊矢もしたいって言ってんのか、ユート!?やだ、ぜってー、やだ!せめてフィールド代えさせてくれ!おれの心臓が持たねえよ!」


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bkm
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