ゴーストvsGO鬼塚

初夏の空が青く澄んで絹のように光る。夏の終わりの入道雲には、見つめていると涙の滲みそうな輝きがある。ギラギラと白っぽいトルコ石のような夏の午前の空には、真っ白な入道雲が沸き立つ。白く濁った、熱く甘い夏を含んだ雲が真夏へ真夏へと潮のように光の波を加えてゆく空の色ととけこんでいる。


いかにも初夏らしく澄みわたる空は、むし暑く夏霞なつがすみのたなびいた。息をひそめたように、家々の上をおおいかぶさった、七月のある日ざかりである。烈々とした青空が目にしみるほど濃かった。夏の勢いにあふれた、すごい青空だった。まぶしくて、そこいらじゅう光って見えた。こういう日が何日も続いて、本当の暑さがやって来る。好きな季節だ。

「こんな状況じゃなければ楽しむのになあ」

バシャバシャと浅瀬を歩きながらゴーストはボヤくのだ。

とろりと油を張ったような静かな入り江の向こう側に湾が青い水たまりのように見える。おたまじゃくしの尻尾のように、入り江のどん詰まりが急に細くなる。きらきらと内海が一枚の鏡のように光った。湖のような静かな岩が天然の防波堤となった小さな入り江だ。ゴーストがいるのは対岸に植えられている柳の木がはっきり見えるような狭い湾である。
長靴のような細長い入り江が日の光を受けて刻一刻とその表情を変える
。切り立つ岩に囲まれた小さな入り江に朝霧が穏やかな入り江の海の上を這い回る。小さな湾にのしかかるように迫る傾斜地は蒼い水たまりのようだ。入り江の海を湖のような形にみせる役をしている細長い岬がまぶしい。

海はいかにも入り江らしく可憐かれんなさざ波をつらね、その上を絵島丸は機関の動悸を打ちながら徐しずかに走っていた。幾日の荒々しい海路からここに来て見ると、さすがにそこには人間の隠れ場らしい静かさがあった。

「......やっぱりライトニング、アースのこともあるから、スペクターを先に標的に選んだねこれ。アースくんもアクアちゃんがいるからこそ植物育つ地属性だしなあ......。やっぱりアースくんへの手向けにスペクター送ろうとしてるでしょライトニング。えぐいことするなあ」

こういう状況でもなければ茶々を入れてライトニングから真意を問いただしたいところだがそうもいかないようだ。

いきなり空が暗くなったのだ。

「夕立か......なにかくるな」

デュエルディスクを起動したゴーストはどんどん風が荒ぶり、海が渦をまく。やがて雷鳴と共に男が現れた。

「ボクもそれなりに気に入ってるんだよ、だからかつての自分を取り戻してもらうね、GO鬼塚!」
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