アジトに帰還したあと、ばりばりぼりぼり偽ゴーストのアバターを貪ったHALはその構築プログラムをスキャンした。
「ずいぶんと成長しちまってるじゃねえか、コノヤロウ」
さっそく分解して解析して再構築にかかる。
数時間後
手に入れた同期設定を逆手にとり、HALはリンクヴレインズに蔓延る感染プログラムを一網打尽にした。そして本来の持ち主にデッキデータとカードプールプログラムを返却するかわりにユーザーのプログラムを根こそぎコピーしていただいたとメッセージを添えて送ってやった。掲示板やブログ、SNSではさっそくそのメッセージを晒して大騒ぎになっているのがわかった。また同じ目に会いたくなければゴーストの終息宣言があるまでログインするなと釘を刺したのだ。これでログインするようなら自業自得である、ゴーストが今度こそ標的にして追いかけまわすから覚悟しろと脅しをかけたのだ。余程のデュエルジャンキーか暇人、知名度を求めた人間しかいないに違いない。ゴーストは負けるきがなかった。
「さあて、これでよし」
再びミラーリンクヴレインズにログインしたゴーストはplaymakerたちに合流したのだった。
ビットブートが蔓延るミラーリンクヴレインズをみんなでDボードに乗り、進んでいく。ゴーストはさっそくみんなに偽ゴーストから入手したアジト候補のエリアをアップデートしてもらった。
「うわっ!?なになに、いきなりサイバースの風が!」
いきなり風がやんだ。出力を失ったDボードが沈んでいく。
「ライトニングたちがなにかしたなあ?分断作戦とはやるじゃないか、よっぽど人間たちの力を合わせたときに発揮させる可能性を警戒してるみたいだね。さすがだねえ」
playmakerたちとはぐれ、1面海の陸の孤島エリアにたどり着いてしまったゴーストはどうしたものかとあたりを見渡した。
「これは......」
突然目の前に巨大なモニターが出現した。そこには分断された仲間たちが映っている。
「なるほど、自分の番がくるまで大人しく見てろってことかな?趣味悪いなあ......まったく!」
あたりを探索してみたが脱出に向いていそうな場所がないから閉鎖空間なのだろう。ブルーメイデンがハルを下し、次はライトニングがスペクターにデュエルを挑み始めた。
「これは気になる対戦カードだね......でもつまんないなあ、ボクの番まだー?」
偽ゴーストから入手した成長した精霊プログラムをアップデートしたのだ。今までになく強化されているデッキを早く使いたくてゴーストはうずうずしている。