アース鬼塚vsplaymaker

ライトニングの動向を調べていたPlaymakerたちは、SOLテクノロジー社に捕らえられていたアースの痕跡をリンクヴレインズ内で見つける。現場へと向かったPlaymakerたちだったが、そこにはGo鬼塚が待ち受けていた。

「また痩せてる、GO鬼塚......!鬼塚さんはアバターを使わないからもしかして現実もあんな体になっちゃってるんじゃ......」

ワナビーの言葉にsourburnerたちはギョッとする。バウンティハンターとしてsourburnerの前に立ちはだかった鬼塚は割と普通だったが、そこから和波は連絡は取れなくなっていた。そしてAIのインプラントを埋め込んでも連敗し続け、やがて克服する、までの期間までは数週間は軽くあるはずだ。数週間でも、あそこまで痩せると絶対ヤバイはずである。
ブルエはハノイ事件後もメディアの注目を浴びていたが、鬼塚はプライドからそれを拒否し、結果誰にも認知されないままにあんなことになってしまったと思うとやりきれない。

そして鬼塚がアースの目をしていることに気づいたため、さらなる衝撃がワナビーたちに襲いかかる。

「まさか、まさか鬼塚のデッキが地属性だからアースを捕まえ犠牲にしてアースのデータを鬼塚に入れ込んだのSOLテクノロジー社!?」

「ありゃ間違いねえ、鬼塚の片目にあるのはアースの目玉だ!」

ワナビーたちはリアルに血の気が引いた。

「……な……なんなんだ……SOLテクノロジー社は人の心がねーのか?これが人間のすることかよ!?」

さすがにHALの声が震えている。

「仁くん誘拐して宣戦布告したライトニングよりも、鬼塚さんを自分の意志とはいえAIと融合させたり、アースを逆コンパイルで細切れ惨殺してるSOLテクノロジーの方がヤバい気がする......」

「比べられるものじゃないわよ、ワナビー」

「SOL社にアースを完全復元する技術は無い、そしてもとよりそのつもりも元々無いはずだからな。だが......なんという......!」

「てことはまさか、今の鬼塚の人格はAIが混ざってほぼ崩壊してるようなもんなんじゃないか?」

「なんだかなあ......勝利への渇望が行き過ぎて命も厭わない裏デュエルを続けて心臓酷使しまくった結果要介護生活送ることになったデュエリストとかいるからGo鬼塚の狂気とかそんな珍しくも無いし気持ちはすっごく分かるのよ。多分人によっては躊躇い無くAIチップ埋め込むよ。でもこれって明らかにAIの誘導によるものだよね......どうなんだろこれ」

ワナビーは思うのだ。アクアの叫びに反応してアースの意識データの欠片が反応、Playmakerに諸々を託してGo鬼塚の思考領域をロックすることに賭けるしかないのではないかと。いやライトニングにハッキングされるフラグにしか見えないだろうか。鬼塚のデータからアース成分を抜き出せば、とも考えるがそれはアースの一部であって全部じゃないんだろう。鬼塚の中でほんの一瞬だけ自我を取り戻すことに成功したアースがそのかすかな力を振り絞って鬼塚の体を乗っ取り「逃げろ、アクア…ッ!」と言ってアクアを害しようとする鬼塚を自分ごと殺そうとするみたいなアレが思い浮かぶ時点でもうダメな予感しかしない。

かつては復讐の為と言って一人で戦おうとした時には鬼塚やブルーエンジェルが駆けつけてきて、逆に「今は人間同士で争っている場合ではない!」って時に鬼塚がこうなってしまうのだ。playmakerはしんどいはずだ。かつて誰も巻き込みたくない、人の暖かさなんていらないって言ってたplaymakerが仲間を求めてて、鬼塚にかつて共に戦った仲間としてああ声かけてるの凄い熱い、のに、やるせないものである。本人はその気がないのに周りが盛り上げて持ち上げて勝手に祀り上げられてそれによって周囲が狂っていく、っていうのをここまで見せつけられてるとLINKVRAINSの『英雄』っていうのもとんだ皮肉に見えてくる。いや、違うのだろうか。

「つーか「本能」を持つイグニスのパートナーが最後に「本能」へ賭けるのか……」

HALの言葉にワナビーは否定するのだ。

playmakerがデュエルに関してあらゆる展開予想して滅多なことでは慢心しないし取り乱したりもしないのはずっと冷静に懸念してるからだと思われがちだが違う。実はあれは本能があるが故の恐れからくる思考なのだ。10年前飢えを恐れて、負けた時の電撃を恐れながらデュエルしてたのだ。生存本能があれば普通飢えも痛みも恐れる。遊作にはsourburnerやスペクターの家族、美優にとっての葵のような心の支えも無かった。だからあそこで生きる理由がガチで生存本能によるものしか無かった。だから遊作をもとに作られたアイは生存本能強い。

「だからplaymakerが本気で祈るのは自分しかないんだよ」

ワナビーの言葉にsourburnerたちは息を呑む。そして鬼塚とplaymakerのデュエルを見守るのだ。
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