ゼクス2

playmaker陣営にゴーストガールとブルーメイデン、アクアが加入してどれくらいたっただろうか。

ゴーストガールが蛍型の端末を飛ばしてリンクヴレインズ内のイグニスたちの潜伏先を探索している間にワナビーは牽制に来たゴーストアバターを蹴散らしていた。だんだんデュエル経験を積み、強くなりつつあるゴーストにため息しか出ない。どうしてここまでグレイ・コードやライトニングたちにおちょくられてるのにゴーストが出ないのかとplaymakerたちが不思議がっているのだ。今すぐ顔を出したいがそうもいかない。難しいものである。

ゴーストガールが加入したことでplaymaker陣営の情報収集能力は飛躍的に向上したが、定期的にみんなで集まって確認はしているもののぱっとしない日が続いていた。

「どう?ライトニングの手がかりは見つかった?」

ゴーストガールの問いかけにみんな微妙な顔をする。

「ごめんなさい、見つからなかったです」

「一応ゴーストが占拠してるグレイ・コードのアジトを見て回ったんだが痕跡はねーな。新たに潜伏場所を作ったと考えた方が早いぜ」

もうリンクヴレインズから去っていったのでは?と意見が出たが、ライトニングの性格をよく知るイグニスたちは敵は徹底的に排除するはずだからそれはないと否定した。ゴーストガールは肩をすくめた。どうやら蛍たちも見つけられていないようだ。

「この人数じゃあ、これが限界か知らねえ」

「もっと仲間がいるか?」

「仲間......」

「仲間ねえ」

うーむ、とみんな考え込んでしまう。

「ブラッドシェパードは?」

「そうねえ......」

「ゴーストって手もあるぞ」

「問題はゴーストは仲間になってくれる可能性は高いけど居場所がわからない、ここのところ全然音沙汰ないこと。ブラッドシェパードはまず仲間になってくれそうにないってところかしら」

「うーん、ゴーストは首突っ込みそうな気がするんだけどなあ」

「気まぐれだからな、あいつ」

「それにアバターと戦う方が楽しいってなりそうね。私たちと組んだら私たちと敵対してデュエルできなくなるデメリットがあるとかいいそうだわ」

「あー、ありそう」

「......それに私どうやらゴーストに嫌われちゃってるみたいだしね......もしかしたらplaymakerたちのところに顔を出さなくなってるのはそのせいじゃないかしら」

「えっ、ゴーストが?」

「私のクライアントにゴーストの天敵がいたみたいなの」

ゴーストガールは深くは語らず苦笑いしたまま肩をすくめた。ワナビーはこちらを見ているゴーストガールに首をかしげる。少しホッとしたのかなんでもないわと笑ってみせた。

(グレイ・コードとコネクションがあることに後ろめたさがあるなら、そこから情報集めたらいいのにね)

(俺様たちに言わねえってことは仕事と今の活動は別物ってことなんだろうさ。これだから大人ってのは)

(ブラッドシェパードは全力で自分の仕事や立場を活用してるのにね、兄妹でここまで違うんだ)

(たしかにな)

HALは笑う。

「今日はそろそろ解散しましょうか、新しい手を考えるか仲間をひき入れるか考えていきましょう」

うなずいたワナビーたちはログアウトしたのだった。草薙に自宅まで送ってもらい、遊作たちと別れた和波は自宅に帰る。そのままデュエルディスクを入れ替えてデッキをセットし、ゴーストとしてログインする。ここのところplaymakerやsoulburnerたちがゴーストを探し回っているのだ。基本HALの複製がゴーストをしている。ウィルスに感染した偽ゴーストを討伐、回収、解析を繰り返しているが、ライトニングたちのアジトの特定に至っていないのが実情だった。ぜんぶHAL任せでもいいのだが、たまには本体が活動しないといけないのが困る。リンクセンスがあるのが遊作と了見しかないからまだマシだが。

「イントゥザブレインズ!」

かつての幼い6歳の頃の自分の姿でログインしたゴーストは、デンシティを完全再現したアジトに飛来し、一番高いビルの頂上に着地する。

「さあて、ゴーストちゃんよ。やっと解析が終わったぜえ。この女に見覚えはあるか?どうやらグレイ・コード御用達の《星杯》と同じ世界観のデザイナーズデッキは、全てこの女が一人で手がけてきたみたいだぜ。今の偽ゴーストが使ってるデッキもな」

「ううーん、知らないなあ。デュエルしない人でしょ?そりゃわかんないよ」

「ツヴァイと同じ完全なる裏方みてーだしなあ、無理もねえか。どうやらSOLテクノロジー社でもそんなに目立ったことしてるやつじゃないらしい」

「ツヴァイは期待新鋭の社員みたいなのにね、意外だなあ」

「人間燻ってるのが一番怖いってことだよ」

「そうだね」

「さあて、ゼクスとツヴァイが今回のライトニングたちのバックアップにいるのはわかったぜ。アインスはあれきり音沙汰ねえけどな」

「怖いなあ」

「全くだぜ......さあ、調べるとしますか」

「うん」
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