兄妹対決

話すに連れて、ブラッドシェパードの輝きが怒りをを帯びていくのをゴーストガールは目にした。それに連れていつもの冷静な印象は薄れ、どこかに消えていった。そこには単なる怒りや嫌悪感を超えた何かがうかがえた。それはおそらく精神のいちばん深いところにある、硬く小さく、そして名前を持たない核のようなものだ。今までの積み重なった不平不愉快が一時に爆発し、勢いをもって暗雲にゴーストガールに喰ってかかった。不機嫌な口ぶりで、「裏切り者は許されない!」と、世の中のありとあらゆる悪を断罪するかのような勢いを見せた。

ブラッドシェパードはこれ以上ない怒りに満ちていた。

事情を知らないゴーストガールに向けて、彼は言葉を鞭のようにしならせる。興奮から怒っているような調子だった。乱暴で荒っぽく、噛み付くような声でしつこくいいよるのだ。ナイフでも突き刺すような言葉の調子で激しい語調を浴びせる彼にゴーストガールは気圧される。まるで叩きつける様な口調だ。

「どうしたの?貴方らしくないわよ?」

「うるさい、そこをどけ!」

「なんども言うけどそれはできないわ」

「勝手にしろ!」

きつい目をして突っかかるような口調で気の張った厳しい口ぶりをするブラッドシェパードは取りつく島もない。まわりがしんとなってしまうような荒々しい言い方はまるで人が変わってしまったかのようだ。


ブラッドシェパードは絶対に口を割らないが、10年前、母親を意識不明に追いやり、自分の片腕を奪った交通事故の真実を知ってしまったのだ。イグニスがロスト事件によりパートナーとなった被害者を抹殺しようとして信号機やタクシーなどを遠隔操作して事故を引き起こしたのだ。そこにはイグニスやグレイ・コードが関わっていたのだ。こんなふざけた真実があるだろうか。

イグニスは抹殺しなければならない。ブラッドシェパードにとってどのイグニスが首謀者かわからない以上、一人残らず抹殺しなければならないのだ。仇である。未来を奪い、家族を奪い、そして自分の片腕を奪っていった憎き仇なのだ。ふざけているにもほどがある。

「私が相手よ、兄さん」

ブラッドシェパードは頭が沸騰するかと思った。よりによってゴーストガールに、別所エマに、妹にイグニス抹殺を邪魔されるとは!!怒りでどうにかなりそうだった。ブルーエンジェルもゴーストガールもブラッドシェパードにとっては邪魔立てする女たちなのだ。

イグニスの危険性から遠ざけなくてはならない。それが互いのためなのだ。即決したブラッドシェパードはPKデュエルをふっかけたのだった。
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