新デッキ構築@

遊作は和波に聞いた。うかない顔をしている。

「ゴーストは大丈夫なのか?」

「あのアバターはグレイ・コードのウィルスに感染していました。遊作くんなら中の人がいるかわかりますよね」

ここでようやく思い当たったのか遊作はほっとした顔をした。そこまで頭が回らなかったらしい。

「たしかにあのゴーストは人の気配がしなかったな、AIか」

「どのみちグレイ・コードに捕まってウィルスに感染しちまってるのは問題だぜ」

「全くだ、なにしてるんだあいつは」

和波は苦笑いだ。今のこの状況でゴーストとして会いに行くわけにはいかない。嘘をついているかどうかわかるアクアを味方につけるなら、ますます和波はお得意の口先三寸が使えなくなってしまう。ゴーストのアカウントはAIにお任せするしかないのだ。これならアクアはありもしない自我を読み取ることはできない。イコール、遊作の前にゴーストとして姿を表すことができなくなるというわけだ。残念だが困ったものである。

「もしかしたら、イライラしてるのかもしれませんよ?今のリンクヴレインズだと今までみたいな活躍できないから。ライトニングたちに監視されてますし」

「たしかにそうだな、あのゴーストがAIに任せきりでデュエルを見ているだけなんてできるわけがない」

「あはは」

和波は苦笑いだ。

「ゴーストのアバターがグレイ・コードのウィルスに感染している以上、僕が追いかけますね」

「ああ、たのむ」

「はい!ゴーストが動けないなら代わりに動いてあげようかなって思います。ゴースト、僕の姿をそのまま使ってるし、僕がデュエルをしかけたらあらぬ噂が断ち切れるかもしれないって思うんですけど」

「いい考えだな。GO鬼塚があんなになっちゃった以上、和波までグレイ・コードやライトニングたちに協力してるって誤解されたら大変だ!」

「はい!だからデッキを強化しなきゃ......!打点が低くて決着がつかなかったんです」

「打点かあ......盤面制圧するのが星杯トロイメアの戦術だもんね」

「そうなんですよ。いい案があったら教えてくださいね」

「打点か......トロイメア以外のデッキテーマと混ぜてみたらどうだ?」

「そうですね、星杯はHALと一体化してしまったからデッキから外すことはできないんです」

「そうだな......打点もそうだがエースに値するカードを据えてみるのもいいかもしれないな」

「エースかあ」

「星杯の苦手なところを補えるテーマがいいね」

「よく考えなきゃ」

草薙が後ろでコーヒーの準備をしている。和波たちはデッキを見つめながら考え込んでいた。

「このカードはどうだ?」

遊作が見せてくれたのは、《ジュラゲド》のカードだ。

効果モンスター

星4

闇属性

悪魔族

攻1700

守1300

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。自分・相手のバトルステップに発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、自分は1000LP回復する。このカードをリリースし、自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を次のターンの終了時まで1000アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。

「これをいれて代行天使の要素を強化して、パーミッションに寄せたらどうだ?得意だろ、和波。パーシアスを多めにいれるとか」

《ジュラゲド》はデュエリストパック−決闘都市編−で登場した闇属性・悪魔族の下級モンスターだ。バトルステップに自身を特殊召喚してライフを回復する誘発即時効果、自身をリリースしてモンスター1体を強化する誘発即時効果を持つ。自分のバトルステップに特殊召喚して攻撃し、攻撃した後にリリースして他のモンスターを強化することでダメージ増加を狙える。直接攻撃ならば合計2700のダメージの上乗せとなる。相手のバトルステップに特殊召喚する場合、攻撃宣言時では巻き戻しが発生するためコンバットトリックにはならないが、攻撃の牽制には使える。
 
また、相手の全てのモンスターが攻撃を終えた後に特殊召喚すれば、このカードをフィールドに維持でき、次のターンに各種素材やコストに使える。

レベル4モンスターとしてはステータスも悪くなく比較的汎用性が高い効果を持っているため、様々なデッキで採用を検討できる。単純にランク4を主軸としたデッキは勿論、星杯でも活躍が期待できるだろう。

「あとは壊獣を入れて打点や除去力を強化するとか」

穂村は苦い顔をした。

「どうした?」

「壊獣かあ......ゴーストに使われたからあんまりいい思い出ないんだけどなあ。でもいいと思うよ、その強さは嫌ってほど見たから。あ、そうだ。和波が雪辱晴らしてくれよ!」

いよいよ和波はから笑いするしかなかったのである。
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