vsオルフェゴールA

《オルフェゴール》モンスターは全て闇属性・機械族で統一されているようだ。

「……フランキスカを思い出すね」

「機械族に同じ世界観で対立する勢力、しかもカードデザイナーまで同じたあ笑えねえな、全く」

落ち着こうとワナビーは息を吐いた。先行をとられてしまったのは非常に痛いがデッキ内容を把握できたのは大きい。

《オルフェゴール》のメインデッキに入るモンスターは以下の共通テキストを持つようだ。

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。墓地のこのカードを除外して発動できる。同名カード以外の《オルフェゴール》モンスター1体を特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。


リンクモンスターは以下の共通テキストを持つようだ。《オルフェゴール》モンスターを含む効果モンスター2体が召喚条件。このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。リンク状態のこのカードは○○では破壊されない。除外されている自分の機械族モンスター○体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻す。

また、これらのリンクモンスターはいずれも上方向と下方向のリンクマーカーを持ち、左右に伸びるリンクマーカーを持っていない。そのため、カテゴリ内のリンクモンスターだけではエクストラリンクができず、EXモンスターゾーンに出した場合、必ず相手フィールドにリンクマーカーが向くことになる。これは、相手モンスターをリンク状態にして《オルフェゴール・ロンギルス》等の固有効果に繋げやすくするためと思われる。ただし、この特徴は相手にリンク先を提供する短所にもなりうる。


名前の由来は「オルフェウス」+「オルゴール」+「ベルフェゴール」だろうか。オルゴールは、自鳴琴と表記されることもある、機械仕掛けで自動的に演奏をする楽器である。劇伴として用いられる場合、過去の思い出や死に分かれた人物の生前のエピソードとともに用いられることがある。オルフェウスはギリシャ神話に登場する吟遊詩人であり、妻を生き返らせようとしたエピソードで特に知られている。冥府へと出向いた彼は演奏技術の素晴らしさで冥府の神ハデスらの心を動かし、死した妻を現世へ連れ戻す許可をもらったが「帰路の途中で振り返るな」という忠告を破ったため蘇生には失敗してしまった。また、アルゴー船探検隊の一員として冒険に参加し、歌で人に害なす怪物セイレーンと歌で渡り合ったという逸話を持つ。


オルフェウスの琴は、彼の死後に琴座として星空に迎えられている。ベルフェゴールは七つの大罪において一般的には「怠惰」を司る悪魔とされるが、「色欲」を司る悪魔とする説もある。星遺物関連の中には音楽や七つの大罪と関連するトロイメアが存在することを考えると、「色欲」を《夢幻崩界イヴリース》と関連付けているのだろうか?メインデッキに入るモンスターの名前は楽曲のジャンルを表す言葉が由来となっている。また、全てのモンスターに共通して、アスタリスク型の網目と赤い先端の意匠がある。不気味な共通点だ。

「気合い入れていけよ、ワナビー」

「うん!」










「僕は《創造の代行者 ヴィーナス》を攻撃表示で召喚します!そしてモンスター効果を発動!500LPを払って発動できる。手札・デッキから《神聖なる球体》1体を特殊召喚します。この効果でライフポイントを1500支払い、3体を守備表示で特殊召喚!」

ワナビーの前にリンクマーカーが出現する。

「きて、未来に導くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は通常モンスター1体!僕は《神聖なる球体》を1体ずつリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚、リンク1《リンクリボー》と《星杯竜イムドゥーク》!」

ワナビーはそのまま連続リンク召喚の構えに入る。

「僕はフィールドに存在するカード名の異なる4体のモンスターをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク4《鎖龍蛇−スカルデット》!」

アバターはうごいた。フィールド魔法《オルフェゴール・バベル》の効果によりフィールドのモンスターや墓地のモンスターの効果が相手ターンでも使えるため、《オルフェゴール・ロンギヌス》の効果でフィールドから排除しようとしたのだ。

「そうはいきません!僕は《緑光の宣告者》のモンスター効果を発動!
相手が魔法カードを発動した時、手札からこのカードと天使族モンスター1体を墓地へ送って発動できます、その発動を無効にし破壊します!これで《オルフェゴール・バベル》は破壊され、《オルフェゴール・ロンギヌス》の効果は発動できなくなりました!」

これでアバターの妨害は潰えた。

「さあこの瞬間にモンスター効果を発動です!《鎖龍蛇−スカルデット》がリンク召喚に成功した時に発動できます。自分はデッキから4枚ドローし、その後手札を3枚選んで好きな順番でデッキの下に戻します」

これでリンク召喚から手札交換ができた。ワナビーは笑う。

「さらにこのカードのリンク先にモンスターが召喚・特殊召喚された場合そのモンスターの攻撃力・守備力は300アップします。そして1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できます。手札からモンスター1体を特殊召喚できます。僕は「自分の墓地の天使族モンスターが4体のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できます。きて、《天空聖騎士アークパーシアス》!」

《鎖龍蛇−スカルデット》のモンスター効果により自身も《天空聖騎士アークパーシアスも全て攻撃力は3100に跳ね上がっている。ワナビーは総攻撃を宣言した。











アバターは「化身」という意味で、ネットワーク上の仮想空間でのユーザーの分身のことをいう。リンクヴレインズを始めとしたオンラインゲームやチャット、ブログなどには、動物などのアニメーションのキャラクターや、自分の好みの顔や服装をした分身を使ってコミュニケーションを楽しめるサービスがある。


ネット上のサービスで使われる、ユーザーを模したキャラクターは、その役割も相まってパーツの種類が多岐にわたる。文字だけでは味気なく、本人の写真を公開するのはセキュリティー上問題がある、ということから、似顔絵のようなものを作り、表示するようになったのが始まりだ。はじめこそ四半世紀前のゲームなどで使われていたものだが、ブログや出会い系サイト、SNSなどのコミュニケーション系サービスでも広く普及している。


アバター利用者であるユーザーに模した姿にされることがある一方、現実の自分と違う性別にしたり、カスタマイズした姿に合わせて性格を変えるなどして別の人間に「なりきる」など、ある種の遊びとしても機能する。無論、このような遊びやコミュニケーションの形はアバター出現以前から存在していたが、より視覚に訴えかけるアバターが出現したことから、容易になった。


基本的には感情などを直感的に相手に伝えるのに適しているが、従来の文字によるコミュニケーションを強化する意味合いを持っている。


アバターを好んで使うのはライトユーザ層や初心者、それから10代の子どもに多いと言われている。


アバターはWeb上のコミュニティで積極的に用いられており、これを作成すること自体は無料で出来る場合が多い。 リンクヴレインズもまたそうだった。ネットワークゲームを基本的に無料で提供し他の参加者とのコミュニケーションツールとして利用してもらい、多くのゲームにおいて自身を表すアバターのカスタマイズアイテムを有料化するという収入体系を持っている。

ユーザー情報から素体を生成するリンクヴレインズでは、身元を特定するのに一番の情報源でもあった。


「草薙さんとお姉ちゃんに送ったから、たぶんこれでいけるはずだよ」

「これで相手が特定できれば楽なんだがなあ」

「そうだね。今わかるのは未実装だから一般ユーザーじゃないことだけだね」

「んなこたわかってるよ。さあて俺様もデータ解析と行きますかね」

「うん、お願い。僕はplaymakerたちを追いかけなきゃ」

HALが引っ込んだのを確認し、ワナビーは飛んだ。
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