アナザー事件@
あくびが連鎖している。生理的に浮かんだ涙をぬぐい、鈴木は大きく伸びをした。


「ここのところお疲れですね、鈴木くん。大丈夫です?」

「んー、ああ、和波か」

「目のクマひどいですよ?」

「まじかあ……寝ても寝てる気がしないんだよな。おっかしいな、さすがにまずいと思って昨日は9時に寝たのに」

「え、9時!?」

「ここんとこ疲れがちょっとな」

「おいおい大丈夫かよ、ジイさんみたいなこといっちゃって」

「仕方ねーだろ、最近つい長居しちゃうんだよ」

「気持ちはわかるけどな、リンクヴレインズだろ?」

「まーな」

「聞いてくれよ、和波。ついに鈴木のやつリンクヴレインズデビューしたんだぜ」

「え、ほんとですか!?」

「おう、レンタルしてる会社がさー、今ならいいカードつけるからって言ってくれたからついな」

「まじかよ、いーなー」

「そのかわり家中のパソコン壊れたけどな」

「それはやだわ」

「あはは、それなら寝不足も仕方ないですね。それよりアカウント教えてくださいよ、鈴木くん!もし大丈夫ならデュエルしましょう!デュエル!!」


食いつく和波にひっくり返りそうになりながら、鈴木はわかったわかった、おちつけ、と笑う。仲良いなお前ら、と先輩たちが冷やかす中、せっかくだしリンクヴレインズにログインしてこいよと島に言われた和波は喜び勇んでログインを鈴木に急かす。じゃれつく男子をみて、葵は呆れ顔だ。穏やかな部活風景はこの日を境に崩れていくことになる。




数日後、鈴木は休んでしまった。寝不足によるクマはひどくなる一方で授業中にふらついたまま立てなくなり、そのまま保健室で目を覚まさない。さすがにこれはと病院に連れて行かれてそれきりであると、和波は隣のクラスの体育の騒ぎを目撃した島から聞いたのである。いても立ってもいられず、和波はあわてて島と葵とともにお見舞いにいくことにしたのだ。


和波の姉が入院しているところは一度グレイコードにテロを仕掛けられた関係で患者が減っている。鈴木が入院したのも同じくらいの大きさでなの知られた病院だった。


「え、昏睡状態?」


予想外の重症である。病院に担ぎ込まれてから一度も目を覚まさないらしい。驚くべきことにリンクヴレインズの金環日食があった日を境に、鈴木のように昏睡状態になる人間が爆発的に増えているという。目を覚ました前例は今のところない。医者から最善は尽くすが、今の現状はどうしようもない、と匙をなげられてしまった、と鈴木の両親は疲れ切っている。今にも泣きそうな顔で最近鈴木が思いつめてなかったか心当たりはないかと聞かれてしまった。



和波たちは顔を見合わせる。もちろん心当たりなんてない。みんな首を振る。島や和波は鈴木の家に何度も遊びにいったことがあるため、両親は一番仲良くしている友達に肯定してもらえたのが唯一の救いだとお礼を言われてしまう。もう、いたたまれなかった。葵の顔が青ざめ、さっきから黙り込んでいるのが気になる和波だが、今は鈴木の方が心配だ。あまりにも昏睡状態になる患者が多く、専用の病室に寝かされている隔離病棟の窓から鈴木を見つめる。日に日にやつれていくらしい。今は点滴など生命維持を機械に頼っている状態だ。


「お医者さんは現実世界に生きるのをやめてリンクヴレインズで生きていこうとしてるんじゃないかって」


母親は泣き崩れてしまう。


「そんなわけないですよ!だって僕鈴木くんとデュエルしたんですよ!またデュエルしようって約束したばかりなのに、そんなわけないですよ!!」


和波の言葉に元気付けられたのか、ありがとう、と頭を下げられてしまった。いたたまれない。


これで鈴木の回復を待ちわびるだけで終わればよかったのだが、謎の昏睡事件はデュエル部で蔓延しはじめた。寝不足になる者、一発で昏睡状態になる者。どうやら二種類の症状があるようだ。気づけばデュエル部のメンバーで無事なのは自分の最新式デュエルディスクをもっている葵、和波、そして人一倍セキュリティに気を使っている部長だけになってしまった。たったひと月でこれだ。いよいよ葵は体調が悪いのか心配になるほど顔色がわるい。


「島くんまで……」


和波は唇を噛む。また巻き込んでしまった。ちゃんと学校に通えるようになってからできた、はじめての友達なのに、また。憂い顔の一年に部長は肩を叩く。


「和波くん、今君がそんなんだと島くんたちが悲しみますよ。せめて元気でいないと」

「…………はい」

「とはいえ、さすがにこれでは部活できませんね」


寂しそうに部長はつぶやく。


「みんなが復帰するまでデュエル部はおやすみしましょうか」


恐れていた日が来てしまった、と思う。彼の提案に葵も和波もいやだということはできなかった。休部中という手書きの張り紙が寂しさを煽る。職員室に届けを出してくる、といってしまった部長を見届けて、学校にくる理由がまたひとつ減ってしまった、とためいきの和波に葵はこわばったまま話を切り出した。


「ねえ、私みんなの症状に覚えがあるの」

「え、」

「私、ハノイの騎士にウィルスを無理やり感染させられたことがあるの。お兄様やplaymakerが助けてくれたわ。教えてもらった症状と似てる」

「それほんとですか、財前さん!?」

「もしかして、ハノイの騎士が私にウィルスを使ったのは、この事件に使うためだったんじゃ……」

「調べてみましょう」

「ええ」


和波は学校のサーバにアクセスしてみた。もともと葵が廃部寸前のデュエル部のために兄にお願いして導入したシステムだ。下手をしたら学校の先生よりもやり方はわかっているかもしれない。葵が色々とシステムを操作し、和波が解析を試みる。結論から言えば葵の予想はあたっていた。あたってしまった。しかもあのときより能力が強化されるなどブラッシュアップされているではないか。


顔を見合わせた2人の行動は早かった。


二人はそのまま再度鈴木のお見舞いに行った。鈴木のデュエルディスクを借りて、こっそり解析した。やはり新しいウィルスに感染していた。このウィルスが学校のサーバに感染、デュエル部部員たちを皮切りに次々と生徒たちが感染しているとわかる。これは報復だ。明らかなる報復だ。和波は明らかに狼狽している財前を家まで送り、そのまま家に帰った。


「……やられたなあ」


ゴーストのリストにあるデュエリストばかりだと気付いてしまった和波である。正直生きた心地がしない。まさか気に入っているデュエリストたちのデータのコレクションを悪用されるとは思わなかった。これはもう物申さなくちゃ、とHALがリンクヴレインズから帰るのも待たないで、いつのまにかハッキングされていたデュエルディスクを逆探知する。リボルバーを特定した和波は目を丸くした。


「あのときの……!なんだよ、ボクに近づいたのはそのため?」


和波は不機嫌になる。


「一度だって許せないのに、二度もボクの友達に手を出すなんていい度胸してるじゃないか」


和波が鈴木のデュエルディスクをハッキングしてプログラムを解析、特定したかぎりでは、ワクチン生成には時間がかかるように思う。しかも感染のつどにプログラムが自己生成するため少しずつちがう。これはワクチンを入手した方が早いのだ。ログインを宣言する声はいつになく怒りに満ちていた。









やりきれない寂しさに襲われて外を見た鴻上は、月の光を受けて海がガラスのかけらのように淡く光っているのが見えた。ましゅまろのように、いまにも溶けてしまいそうな柔らかい月が、ぼんやりと浮かんでいる。


眠れない鴻上のお守りをしてくれるのは、いつだって夜の間ずっとなり続けている漣の音。そして骨と皮だけになってもなお、生きていることを証明してくれる父親の腕から聞こえるかすかな鼓動だ。いつもなら心休まる音色だが、残念ながら今夜はそういう気分になれそうもなかった。


「誰かいるのか」


声は鴻上の思っている以上に冷たく響いて、発した本人が訂正を迷うほどだった。しばしの迷いののち、なにもなかったかのように、鴻上は静かに足音の主を見る。


「今夜は誰もこないはずだが」


主治医をはじめとした来訪者の予定はない、はず、だ。ベランダから見下ろしてみたが、誰もいない。鴻上は注意深く辺りを見渡す。足音はすぐ近くにあった。どこだ?


「……」


鴻上は隣の部屋をみる。ログアウトするときの衝撃に耐えられるよう、狭い棺桶みたいなポットがあったはずだ。本来リンクヴレインズにログインしたユーザーはログアウトも同じ場所でなければできない。例外を鴻上は知っている。


「ゆーれいさんが何の用だ」


薄く笑った鴻上に、ゆーれいさん、と呼ばれた誰かさんは反応した。近くにあるパソコンが勝手に起動する。


「やあ、元気にしてるかい?」


ウインクするのは初めてみるアバターだがその小癪な笑みときどった喋り方を鴻上はよくしっている。


「死神が何の用だ。俺の魂でも取りに来たか?」

「やめてよね、なんの冗談だい、それ」


露骨に嫌そうな顔をする画面越しの青年である。ホットドックを買いに来たとき、バイトをしているこのアバターの中の人と遭遇するとは思わなかったのだ。世間話で住所を特定される流れになっても、もうどうしようもなかった。不可抗力である。


「これでおあいこだね」


青年は笑う。今まで一方的に鴻上がゴーストと和波誠也が同一人物だと知っている状態だったのだ。観念するしかなさそうだ。鴻上はそうそうに白旗を上げた。


「なんのようだ、死神」

「だからやめてってば、キミらのせいで風評被害まじでやばいんだからね?」


仮想現実にあるまじき日食から数日。公式からの予告もなく、なんの前触れだとユーザーたちは噂をしあった。のちにアナザーと呼ばれることになる原因不明の意識障害が明らかになったとき、誰もがあの日食に思いいたるのだ。


ゴーストがついに本性を表した、という噂がたった。正体不明、神出鬼没、毎回アバターが無駄に変わる謎のデュエリストがいて、強いデュエリストに勝負を挑み、ユーザー情報を不正取得して去っていく。目的がわからない謎のアバターだが、謎の日食のあと、ゴーストにユーザー情報を奪われた多くのユーザーが突然意識不明になる事件が多発した。たいてい近くには端末があり、リンクヴレインズにアクセスした形跡がある。いつしかゴーストは未練を残してしんだデュエリストの魂が仲間を求めて魂を集めているという噂が信ぴょう性を帯び始めた。


ゴーストに目をつけられたが最後だ、が暗黙の了解だった。ユーザー情報をとられたくないと思っても遅いのだ。デュエルを途中で投げ出そうとしても、外部との通信を遮断した結界の中に閉じ込められ、デュエルが終わらないとでられないと笑顔で宣告されるのだ。気に入られればユーザー情報を抜かれる。デュエリストでなければ気に入られないようプレミを連発したり、延滞行為を繰り返したりすればいい、と考えるだろうが、ゴースト自身は本当無邪気なデュエリストだと対戦しているとわかってしまう。ほんのうを刺激されたデュエリストは白熱するデュエルが抗えない。連絡先をこうかんすればまたあの熱気を感じることができる、となればそれはもう抗いがたい誘惑となる。ゴーストがあらわれたら逃げ出すユーザーが増えた。


そんな中、真正面からデュエルをする集団が現れた。ハノイの騎士である。今まではハノイの騎士にゴーストがデュエルを挑むのが通例だったが、日食を境に構図が逆転した。どうやらハノイの騎士の連中はアナザーの被害にあわないらしい、という噂がたった。なら憧れのハノイの騎士になればゴーストとデュエルできるのでは?ついでにSOLテクノロジー社に対する鬱憤ばらしとしてサイバーテロに参加できるのでは?と気軽に考える若者が増えた。その結果、連日連夜のハノイの騎士とゴーストによる全面戦争のような状況となっていた。今のところ統率が取れているうえにデュエルの実力が高水準なゴーストに軍配があがっている。ハノイの騎士になると支給される、捕獲用のプログラムは今のところゴーストが餌食になる前に逃げられてしまう状態となっていた。


アナザーの症状が数年前に猛威をふるた、サイバーテロ集団グレイ・コードと酷似しているとある病院の医師が指摘したことでネットは大騒ぎになった。もともとハノイの騎士やサイバーテロ集団との関係がささやかれていたゴーストである。噂が噂を呼び、いつしかグレイ・コードのしわざではないか、という噂が確定事項のように垂れ流されることになった。その結果、もたらされるのは正義の集団、という称号をえたハノイの騎士の人気の爆発と知名度の上昇、支持者の急増、参加者の増大である。


ゴーストだけでなくplaymakerも標的であると主導者である Dr.ゲノムが宣言したことでリンクヴレインズは一気に狂気ともいえる熱気が満ち満ちた。


あのplaymakerとデュエルできるかもしれない、はデュエリストたちの本能を刺激した。


ハノイの騎士は日食を境にメンバーが膨大になった。もはや管理できる数をゆうに超えていた。ハノイの騎士の名を借りた有象無象がリンクヴレインズに蔓延っているのだ。


「あのねえ、リボルバーくん。ボクは今ひっじょーに君に意義を申し立てたい気分なんだ。なんでボクの友達巻き込むんだよ、反則だろ!!」

「先に戦線布告したのはお前だぞ、ゴースト」

「なにいってるのさ、HALの複製誘拐したのはそっちでしょ」

「イグニスはもともと我々のものだ。勝手に奪いとったのはそっちだろう。なによりもウィルスはイグニスの返還に応じれば必要なかってものだ。自業自得という言葉を知らないのか?」

「好き勝手いってくれちゃって。HALたちを返したところでホントに鴻上博士の計画は発動しないなんてことあるの?信じられるわけないじゃないか」

「お前、どこでそれを」

「いやー、ゴーストガールっていい人だよね。デュエルで勝ったらくれたよ、情報」

「お得意の生体情報のハッキングか」

「そうともいうね。というかだね、約束と違うじゃないか!なんでグレイ・コードのメンバーリストに抜けがあるんだよ!秘書課の女幹部とか!君んとこの幹部とか!特にDr.ゲノム!!ボク見たことあるよ、この人!フランキスカの上司だった人じゃないか!」

「アバターだぞ?他人の空似ではないか?」

「そんなわけあるかー!アバターから生体情報クラッキングして相手を特定するなんてプログラム、この国で何人も精通してたらそっちの方が怖いよ!ボクも御用達のこのプログラム、グレイ・コードのサーバから奪ったやつ使わせてもらってるんだ。名乗る名前が違うだけで中の人は同じに決まってるじゃないか!一応生体情報確認させてもらったけど間違い無いからね。初めから穴のあるリストとか汚いなあ、せめて黒塗りとかにしなよね」

「秘書課の女に関しては完全にこちらの落ち度だから謝罪するが、Dr.ゲノムにかんしては断る。今のSOLテクノロジー社のリストから生成したものだ。あの人は対象にはならん」

「きったないなー、あの人昔所属してたクチじゃないか!」

「言わなかったお前が悪い」

「えー!グレイ・コードの手口そのまんまな事件起こしといてよくいうよ!ボクたち迷惑してるんだからね、残党の炙り出しの邪魔しないでよ」

「あいにく今回の作戦はDr.ゲノムを始めとした幹部の皆さんの意向が大きい。あちらに文句をいいにいくんだな」

「はあ?なにそれ、リーダーでしょ、君。いくら幼い頃からよく知ってる相手だからって強く言えないのはどうなのさ?今回の件だって、playmakerはロスト事件の被害者だって他ならぬ本人が明言してるんだ。Dr.ゲノムのプログラム使わせてもらって、生体情報と一致するアバターを探し出して襲撃すればいいだけの話じゃないか。グレイ・コードって格好のスケープゴートがいるからって遠回りしすぎじゃないの?」

「playmakerについては私の問題だ。あの人の力を借りる必要はないと踏んだだけだ。どのみち実力あるデュエリストは排除するに越したことはないからな」

「強がっちゃって。ほんとは鴻上博士の計画が始動したら最後、playmakerに二度と会えなくなるから負けっぱなしが嫌なだけでしょ?あるいは君の保護者が君に罪を背負わせるのを躊躇してるんじゃないかな?今まで言われるがまま合理的かつ効率的な考え方に流されてるとこ気に入ってたのに、playmakerとデュエルしてからなんか変わったね、リボルバーくん。まえはそんなんじゃなかったのに」

「人のこといえるのか、ゴースト」

「ボク?ボクそんなに変わったかな?君ほどじゃないと思うんだけど」

「私から見ればお前の方が劇的に変化しつつあるぞ、ゴースト」

「ふーん?まあ、どうでもいいや。生きることは変わりつづけることだよ、リボルバーくん。ボクは人間だから変化だってしていくのさ。プログラムじゃないからね」

「いってくれる」

「だいたいさー、playmakerに会いたいならメッセージ送りつければ食いつくのに。変なところで律儀だよね、キミ。あっちは行き詰まって君がログインするの待ってるのに。聞きたいことがたくさんあるんだってさ。意外だよね、キミが思いっきり鴻上博士を父さんって呼んだのにどうやらplaymakerは家族を洗うまでは考えつかないみたい」

「あの時は互いに余計な邪魔が入ったからな、聞かれなかったんだろう」

「ボク、連絡先教えてあげようか?」

「いらん。お前に貸しを作る方が脅威だ」

「えー」

「だいたい、なぜお前がここにいる」

「え?面白そうだからだよ。リボルバーくんの住んでる家、気になるじゃん?せっかくだからスターダスト見れるまでいてもいい?」

「聞いた私が馬鹿だったか」

「まだまだボクに関して勉強が足りないみたいだね、リボルバーくん。ボクの行動原理はいつだってデュエルだよ」

「そうだったな」

「まー、末端を制御しきれないのはでかくなりすぎた組織の弊害だよね。いずれポイする予定かもしれないけどさー、線引きはちゃんとしないとグレイ・コードみたいになるよ?」

「耳が痛いな」

「自覚があるならDr.ゲノムにばしっといえばいいのに」

「部外者が首をつっこむな」

「ボクの友達昏睡状態にしといてよくいうね?ただで済むと思うなよ?」

「ほう?ならワクチンを渡すから、代わりにplaymakerからイグニスを奪ってこいといえば応じるのか?」

「ボクのことバカにしてるの?それなら島くんたちのワクチン時間かかっても生成するだけだよ」

「そんな時間つくれると思ってるなら滑稽だな」

「なにがいいたいのさ」

「ネットワークに拉致した魂は鴻上博士の計画が発動すればもろとも消え去る運命にある。それにDr.ゲノムが動くなら、敵はハノイの騎士だけだとでも思ってるのか?」

「あー、はい、はい、わかった。そういうことか。どこまでボク怒らせたら気がすむんだろうね、君たちは」

「ならくだらない茶番はするな」

「もー、つれないなあ。playmakerはいいのになんでボクとはデュエルしてくれないのー!」

「自分の胸にでも聞いてみるんだな」

「えー、つまんない。ねー、せっかくきたんだから一戦くらいやろうよ、リボルバーくん」

「今はそれどころじゃないんだ、帰れ」

「ちえー、冷たいやつ。そんなんだからグレイ・コードにハノイの騎士の資金流されちゃうんだよ。内通者の炙り出し行き詰まってるんでしょ?」

「………」

「そりゃDr.ゲノムに強くいえないなら行き詰まるよね、がんばって。キミのおかげでこっちはだいぶグレイ・コードのテロ計画が縮小してるみたいで助かってるからさ、あはは!」

「待て」

「うん?」

「なら、今ここで取引をするか」

「お?なになに?」

「今、ここに残りのグレイ・コードのメンバーの疑惑がある者達のリストを渡すが、私からではない。いいな」

「おー、ありがとう!ついでにワクチン頂戴よ。ボク、なにしたらいいの?」

「Dr.ゲノムとデュエルでもなんでもして、資金源の不正についての情報を持ってこい。こいつは前金だ」

「おー、奮発してくれるね、ありがとう。これで島くんたちは回復できるってわけだ。わかったよ、ボクがんばっちゃうからね」

「お前の持ち帰った結果次第でワクチンをくれてやる」

「おーけい、任しといて!ところでさ、ついでにボクの分身たち捕獲しようとすんのやめてくれないかな!」

「断る。イグニスを無尽蔵に増やしてるのは前からわかってたんだ、自業自得だとでも相方に伝えておけ」

「けちー」


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