2週目極歌仙とリセット本丸
「主さま、時の政府より第13回戦力増強計画が発表されました」

「時の政府が定期的にはやってる演習か」

「はい。主さまはすべての刀剣男士の戦力強化の方針でいらっしゃいますから、参加されるのがよろしいかとこんのすけは思います」

「わかった、詳細を見せてくれ」

「わかりました」

こんのすけが差し出した電子端末によると歴史修正主義者により大きく逸脱した歴史は一時的に正史から隔離され、その消滅か正史と矛盾しない習合が待たれることになる。そこには行き場を失った時間遡行軍がいるのだが、その残党狩りを演習としているようだ。中には時の政府が再現した検非違使も紛れ込んでいるエリアもあるという。

最前線は検非違使放免という新たな敵の出現により、時の政府と時間遡行軍両者が膠着状態になっており、その打開のために戦力増強が図りたいようだ。

「予行練習にはいいかもしれんな、うちの本丸は検非違使を知るのは歌仙しかいない。みんなに話こそしたが実際に戦わんことにはどうにもならん。正しく恐れてもらわなければ。どうやら極の道具が出るようだし、それを目標にしよう。賞与される刀剣男士は二の次だ。まずはすべてのエリアの踏破からだな。難易度を把握したい」

「それでは編成はどうなさいますか?」

「最大戦力でいこう。彼らでどうにもならないエリアがあるなら、俺たちは時の政府が求めるその水準に達していないんだ」

「それでは演武に向かわれたみなさまが戻られましたら......あ、歌仙さまが新撰組男士のみなさまと池田屋を攻略中でございますね。どうされます?呼び戻しますか?」

「いや、そんなに急がなくてもいい。部隊が本丸に帰ってきたら話をしよう。本人が希望するなら今回は免除する。本調子を取り戻すよう頼んだのは俺だしな」

「ですが、こちらに参加された方が安全ではありませんか?検非違使の出現はまずありえないのですから」

「まあそうだが、今回だけなら大丈夫だ。今までずっと攻略回数を制限してきたからな。検非違使はまだでないはずだ。彼らには1度きりだと伝えてある」

「そうだったのですか、それならこんのすけも安心でございます。たしかにこの状況で検非違使が出たことは一度もございませんね」

主からそれぞれのエリアへの出現記録の一覧を見せてもらったこんのすけはホットしたように笑った。

「万が一出たとしても池田屋なら太刀や大太刀が主体の検非違使は大きな弱体化を強いられる。今の歌仙たちなら問題ない。歌仙は極だし、ほかの連中も練度はなるべく近づけてあるからな」

「極のお守りもございますしね」

「長丁場になるだろうから、甘味と弁当も持たせておいた。疲労のあげくに余計な怪我を負うことはないだろうさ」

「ほかの部隊にもお渡しのようですが、主さま、大丈夫ですか?お金はどちらから?」

「バカタレ、ちゃんと報酬の引換券でもらったやつだ」

電子端末の照会を見せた主にこんのすけはうなずいた。

「ならよいのです、主さま。私財を使うと破産してしまいます」

「渡した時歌仙に全く同じことを言われたんだが......こんのすけ、歌仙に似てきたな?」

「そうでございますか?こんのすけはよくわかりません」

「こら」

「ですが、主さまが悪いとこんのすけは思います。これまでの経験からこんのすけは今のこんのすけなのです」

「歌仙とまた同じこといいやがって。敬語かどうかの違いしかない」

男はためいきをついた。

「前の本丸だと情報が出揃うのがいつも遅かった。最前線だから当たり前だがな。すべてのエリアを踏破しつくしたあとに初めて検非違使の出現条件がわかったありさまだ。おかげですべてのエリアに検非違使が出現、ろくに戦力強化も出来なかった。検非違使が出現するきっかけが俺の采配ミスによる前の歌仙の破壊だったからな......。あいつは前の本丸の精神的な支柱だったからな、余計に士気が下がってしまった。俺もだが。今の歌仙はたしかに2振り目だが、ほんとうに救われたんだ。感謝してもしきれんよ」

「今の本丸でもそうでございますね」

「そうだな、11代目あたりの立ち直りが早かったのはそれが大きい。前みたいに本丸に余裕があれば茶室の増築をしてやれるんだがな......今の本丸だと歌仙の行動がなにかしらの基準になってしまうところがある。慎重にしないとな」

「いつもみたいに褒めてくれればいいんだよ、主」

「いや、それはいつもやっ............!?!歌仙いつのまに!?」

「帰還すると報告しただろう、主。電子端末見てなかったのかい?僕以外はみんな軽傷、重傷、あるいは刀装が禿げたから新調しにいく。だから代わりに先に報告にいくといったじゃないか」

「え?あ、ほんとだ」

「連絡受けてくれたから治療棟にはいなかったと思ったのに、きみってやつは」

「すまんすまん、予定より早かったな」

「1度きりの出陣だ。みんなやる気に満ちていたよ。検非違使を倒せるほど強くならないと2度目はないと知っているからね」

「ああ、電子端末の掲示板みたのか」

「もちろん。だから説明しておいたよ、主は検非違使倒せるようになるまで攻略回数に制限をかけるつもりだとね」

「たすかる、ありがとう」

「当然のことをしたまでさ。僕は今の本丸におけるきみの初期刀だ」

「お、おう......」

「それだ」

「ん?」

「それだよ、それ。僕に感謝する気持ちがあるなら、僕がどういう存在か思い出させてやっているのだから、きみもそれなりの返事をしないか」

「それはなんか違わないか?」

「違わないね」

「ええ......?ほんとにお前変な自信つけてきたなあ......」

「隠さなくなっただけさ。それだけのことを僕はしてきたし、貢献してきたつもりだが。まだ足りないかい?」

「そういう意味じゃねえよ......」

「ならいいんだが。きみから本音はなかなか聞けないからね、よく覚えておくよ。録音機がないのが残念だが」

「録音すんな、バカタレ」


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