第4話(修正済み)
和波がリンクヴレインズにログインすると、ようこそ、という音声と共に軽快なリズムが流れ始め、チュートリアルがはじまる。後で、というコマンドを選択し、和波は制服姿のまま地上に降り立った。


マインドスキャンというサイコデュエリストとしての才能が開花してからというもの、日々進化していく超能力を制御しきれず純粋にデュエルを楽しむどころではなくなってしまった。そんな弟を見て、姉は当時仮想現実という分野に活路を見出そうとしていたSOLテクノロジー社がデュエルモンスターズに参入するとしり、転職して弟がデュエルできる環境を整えるべく奔走してくれた。今は管理職にまで上り詰めたため、めったに会えなくなってしまうほど多忙な毎日を送っていることを知っている。最後にあったのはもう数か月も前だ。直接対峙してデュエルできない、という制約がある和波のために、SOLテクノロジー社はそのサイコデュエリストとしての和波に研究の協力を依頼するかわりに、様々な便利を図ってくれた。そのうちの1つが生身でフルダイブする従来の方法ではなく、外部から脳波を感知したアバターを操作する、という旧式のプレイスタイルのカスタマイズである。それは和波に旧式のテレビの前でゲーム機を握るという感覚でデュエルを行わせることを可能とし、そのおかげで和波はデュエルモンスターズを普通に行うことができている。


だが、今回、和波はあえてplaymakerの挑発に乗った。あるいは何もしらないままアクセスした、という体でリンクヴレインズにログインした。サイコデュエリストとしての能力をスキルに無理やり変換し、オンオフ機能の付いたプログラムにすることで制御するという従来のプレイスタイルを封印した。正規でログインしたらどうなるのか、和波はまだ1度も試したことがなかった。playmakerがいつも使っているプログラムやカスタマイズを初期化し、なんの小細工もしていない普通のアカウントとしてログインするよう誘導をかけているのだ。ログインした瞬間から、想定はしていたけれど、ここからは完全に初体験である。


「あ、すごい、ほんとに僕ここにいる」


五感がここまでリアルなのか、と和波は感動した。今まで操作するアバター越しにしか体感できなかった仮想現実がそこにある。


playmakerが選んだのは、ハノイの騎士の襲撃により壊滅的な被害を受け、まだ復旧が終わっておらず、リンクヴレインズの中に存在はしているが隔離され、一時的にデバック空間と化しているエリアだった。すでに風が吹いている。どうやらスピードデュエルをお望みのようだ。データマテリアルを解放したのはplaymakerが持つ、和波の相方に言わせれば本体様らしい。


初めて自分の目で見て、体験する風の中の世界に、興味津々な様子で周囲を見渡す和波。はたから見たら、初めての仮想現実にテンションが上がっている初心者、といったところだろう。事実だから仕方ない。アバターを自分好みにカスタマイズして好き勝手デュエルするのだって、もともとは自分がそのアバターを装備するという発想がないからできるのだ。そういう意味では、和波は正真正銘のリンクヴレインズ初心者だった。


「来たな」


そこにはすでにこのデバック空間に和波を引き込んだ張本人が来ていた。和波がゴーストとして毎回playmakerを閉じ込めてはデュエルすることに対するやり返しのつもりだろうか。いや、まだそこまで至ってはいないはずだ。和波がゴーストとして活動するのはこのデュエルディスクではない。


なによりもアバターを操作してplaymakerと相対するときと実際にこうして対面することができたこの瞬間とでは、湧き上がる感情など全然違うのだ。


本音を言えば、ずっと前からリンクヴレインズに来たかったし、いろんな決闘者とデュエルしてみたかった和波である。サイコデュエリストとして覚醒してから、その治療と克服のためにアカデミア入学を断念した経緯もあるのだ。状況が状況とはいえ、やっと念願かなって初めてログインすることができたのだ、サイコデュエリストだとばれてもきっと大丈夫であろう人間と一緒にデュエルすることができるのだ。そこにあるのは歓喜しかない。


「えっと、君は、もしかしてplaymakerですか?」


島と共に幾度も目撃し、あるいはゴーストとしてデュエルを重ねてきた好敵手(と和波は勝手に思っている)である。間違えようがないが、こうして目の前にいるアバターをみると、ほんとうに自分は今ここにいるんだとなんだか実感がわいてくる。ほんとうに学校のクラスメイトとは到底思えない。というよりも、今の和波のテンションは、島と一緒に好き勝手応援するミーハーなファンのそれだ。


「ああ」


うなずくplaymakerにテンションが上がる。


「すごい、ほんとにplaymakerなんですね!ええと、どうしよう、島君に連絡したほうがいいのかな?あ、でも何も持ってきてない……というか、どこだろうここ。えっと、どうして、僕をここに?」


きょとんと首をかしげる和波に、playmakerは淡々と告げた。


「アンタに聞きたいことがある」

「えっ、playmakerが僕にですか!?えっ、えっ、なんでしょう?」

「アンタはスピードデュエルを知ってるか?」

「君がハノイの騎士やカリスマデュエリストたちとやっている、あの?」

「ああ、風に乗ってやる、あの」

「どうしてそんなことを?そんなの調べたから知ってますよ!というか、君のファンなら誰だって知ってますよ、それ!ずっと昔にリンクヴレインズに吹いていたという風に乗ってやるデュエルのことですよね。そこには未知のモンスターがいて、それを目当てに競ってみんなやってたって聞いたことがあります」


勝手に白熱してしゃべり始めた和波を制して、playmakerは口を開く。和波があの研究所でやらされていたデュエルのルールだったことも、そのデュエルを取得させた暁には、組織の研究対象であるモンスターを捕獲することも目的の一つだったとしったのはずいぶんと後だった。


和波にとっては痛みを伴う言葉ではあるが、playmakerのおかげで、彼とあのルールでデュエルしてみたい、という動機づけになった。その点だけでも感謝はつきない。和波にとってplaymakerはその存在だけで好感度が振り切れるくらいには特別な存在だったのだ。ちょっとあきれ顔のplaymakerは島と話しているときの和波を見る目をしている。


「アンタのことを少し調べさせてもらった。そこで俺は、10年前にハノイの騎士が起こしたある事件に関係あるんじゃないかと思ってる。理由は3つ。まずはスピードデュエルのモードを搭載した、そのデュエルディスク。起動開始は今から10年前。次にアンタが偽造プログラムを組んで隠してる、その《リンクモンスター》で構成された《星杯》デッキ。そいつも使用履歴は10年前から。そして最後に、そこのエクストラデッキに《サイバース族》の《リンクモンスター》がいること。それにアンタはフルダイブできる正規のアカウントを持ってるのに、いつも旧式の既存のアバターを操作して遊ぶログインの方法を使ってる。それでしか《星杯》デッキを使えない理由があるんじゃないか?普通なら入手できるはずもないデッキだ、どうやって手に入れたんだ?」

「うーん、別に隠すことでもないですし、お話してもいいんですけど。ちょっとオカルトじみてるんですよね。僕がお話ししたとして、信じてくれるんですか?」


和波は投げかける。調べたらすぐわかることだ。この国と違って、あの国には証人保護プログラムは存在しない。連続児童誘拐事件、それは決してロスト事件だけではないのだ。模倣犯と思われる手口の事件が多発した時期があった。和波はその被害者のひとりなのだ。ロスト事件の被害者との違いは、起きた国の違い。その巧妙すぎる手口のせいで被害者なき誘拐だったことくらいだ。


決闘王のゲームクリエイター10周年を祝う記念大会テロ未遂、そして数々の犯罪行為。犠牲者が未成年ばかりだったためメディアは取り上げなかったが、ネットでは検索をかければすぐにでてくる。あまりにえぐい手口のためにかえってメディア規制がかけられた。SOLテクノロジー社は和波が協力者となった時点でその話題の規制に乗り気になってくれているため、海の向こうの事件であることもあいまって知っている人間はだいぶ少ないが。そこから表面化しない事実も多いのだ。ハノイの騎士とかサイバース消失事件とか、いまだにつかまらない組織のこととか。


「嘘をついているか、ついてないかは俺が決める」

「そうですか」


吹きすさぶ風の中で、対峙する二人の目の前に、Dボードが音もなく流れてくる。そして騎乗を待ちわびるように停止した。どことなくデザインが似ているDボードにplaymakerは一瞬驚いたようだったが、デュエルディスクのAIから何か言われたようで納得したようにうなずく。


「僕に勝ったら教えてあげます、playmaker」

「望むところだ」


二人はDボードに乗り込む。風が二人を巻き上げ、はるか上空に連れていく。


『さあて、さっきはすっとばしたチュートリアルの時間だ、クソガキ。スピードデュエルのルールはメイン3、魔法墓地3、手札は4枚、デッキは20枚、ライフポイントは4000だ。もちろんメイン2はねえ。ま、あんときぴーぴー泣きながらやらされてきたんだから忘れるわけねえよなぁ?ついでに今回は、playmaker様のご希望で互いにスキルが封じられた状態でやってる。意図はわかるよなぁ?』

「はい、僕の専用スキル《マインドスキャン》を見て、改造プログラムだと思ったんでしょうね。だいたいあってますけど」

『ま、手札とセットカードがばれちまうなんて、正直ごめんだわな。まさか封じたらもっとえっぐい能力使われるとは思わねーだろ、ぎゃははっ』


和波もつられて笑う。


『さーて、見せてやれよ、誠也。てめーのその反則じみた能力をなぁ!てめーがいうように、その呪われた力を前にしても平然としていられるような野郎なのか、見せてくれよ。じゃねーと、俺様も登場のし甲斐がねえぜ』

「もちろんです」





データマテリアルから限定解除されたリンクヴレインズの風が、playmakerと和波をはるか上空へと連れていく。


周囲に広がるのはデバック空間特有の風景である。人がおらず、再構築中のシステムやプログラムがむき出しで、所々にプログラミング言語が露出し、0と1が四散する、そんな世界。高層ビルが建ち並び、様々な形状の建物が軒を連ねていることから、どこかの街のエリアのようだが色がない。すべてが黒で塗りつぶされており、窓や建物の輪郭は青、紫、白、緑、といったネオンや電子の世界を強く意識させる配色が教えてくれる。


そして風が吹いていた。強烈な風だ。体を持って行かれてしまいそうなほどの、そんな強い風が吹いていた。まるでオーロラのようにめまぐるしく変わる光の帯が絶え間なく世界を斡旋する。その風に乗り、まるで波乗りをするように、和波は空間を駆ける。


アバター越しに操作するのと勝手が違う。見かねた相方がDボードの設定を使い慣れたカスタマイズに変更してくれた。おかげでplaymakerを発見するころには、すさまじいスピードで縦横無尽に駆け巡るボードを我が物顔で乗りこなすことができた。ゴーストのアバターを使用している時よりは劣るだろうが、スピードデュエルするには問題ない程度の技量は発揮できるはずだ。0と1のデータが集積しては四散し、光の粒子がテクスチャとポリゴンを形成しては、ほころび、ちぎれて消え去っていく。


その風の向こう側にいたのは、playmakerだった。すでにデュエルディスクを手に、和波を待っていた。


「さあ、デュエルディスクを構えろ、和波」

「わかりました」

「スピードデュエル開始だ」


その宣言と同時に、和波のDボードが風を捕まえて、どんどん加速していく。Playmakerも和波もDボードの入手先は同じイグニスである。


あちらは本来のデータ、こちらはいざというときのためのミラー、あるいはバックアップ用のデータ、という違いはある。だからどうしてもデザインや性能は似てくる。


もっともこちらはサイコ能力を発揮しても問題ないよう相方がカスタマイズを繰り返しているため、本来なら似ても似つかないはずなのだが。今使っているのはplaymakerが初期化してしまったプログラムだ。装飾をはいでしまえばむき出しのテクスチャなどは同じだ。どうやらplaymakerの相方は、和波の相方の正体に気づき、助言しているようだ。


playmakerの旧式のデュエルディスクではなく、和波のデュエルディスクが点灯する。


「先攻いただきますね」

「ああ」


言葉短くPlaymakerは答える。2人に4枚のカードが提示され、手札に加わる演出がはいる。実物をスキャンするのとデータ上のデッキを使うのでは細部で演出が違うのだ。これで相手は実物を持っている、と確信を得たらしい。その入手法がしりたい、と先ほど言っていたから負けられなくなったのだろう。明らかに視線がきつくなる。和波もそうそう負ける気はない。


展開途中に障害物にぶつからないよう細心の注意を払いながら、体重移動を慎重に行い、方向転換する。剥き出しの鉄骨ビルの真下を通り過ぎると、風に煽られたのかまるで雨のように降ってくる。それを最小限の労力で避け、和波は手札をざっと確認する。これならいけるかもしれない、という期待を胸に秘めつつ、ターンを宣言した。


「僕は永続魔法《ブリリアント・フュージョン》を発動します。1ターンに1枚しか発動できませんが、自分のデッキから《ジェムナイト》融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地に送り、攻撃力・守備力を0にしてエクストラデッキから融合召喚しますね」


和波のフィールドに緑色のカードが拡大されて提示され、その後魔法・罠ゾーンに表側表示でおかれる。Playmakerの前に、通常モンスターと効果モンスターのカードが開示される。そして2枚のカードは緩やかに溶け合い、一つの輪郭がひとつのモンスターを形作っていく。


「僕はデッキから《ジェムナイト・ラズリー》と《星杯の妖精リース》を墓地に送り、融合召喚!《ジェムナイト・セラフィ》を守備表示でエクストラゾーンに特殊召喚します!」


白いローブをはためかせ、全身が白い鉱物でできている女性型モンスターが特殊召喚され、守備表示で和波のフィールドに降り立つ。


「僕は墓地にある《星杯の妖精リース》のモンスター効果により、手札の《星杯》カードを捨て《星杯の妖精リース》をもう1度手札に加えます」


和波が墓地に送ったのは、通常モンスター《星杯を戴く巫女》である。そのカードが消え去り、代わりに可憐な姿をした青い妖精のカードが開示され、手札に加わる。


「《ジェムナイト・セラフィ》のモンスター効果を発動します。このモンスターが僕のフィールドに表側で存在する限り、僕はメインフェイズに通常召喚の他に1度だけもう1度通常召喚をすることができるんです。だから、僕は《星杯の妖精リース》を召喚、この瞬間モンスター効果を発動!デッキから《星杯》モンスターを1枚手札に加えます」


和波のフィールドに現れた青い妖精が、小さな光の粒子をばらまきながら宙返りする。そして、魔法陣を描き、呪文を唱えた。デッキから1枚のカードが発光しながら飛んでくる。和波はそれをつかんだ。開示される情報は、巨大な遺物のイラストが描かれた効果モンスターである。


「僕は《ジェムナイト・セラフィ》をリリース、《星遺物ー「星杯」》をアドバンス召喚!」


和波のフィールドに、風化していく遺跡から発掘された機械仕掛けの杯が出現する。


「さあ、きて!未来に導くサーキット!アローヘッド確認、召喚条件は《星杯》モンスター2体!僕は《星杯の妖精リース》と《星遺物ー「星杯」》2体でリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3!《星杯剣士アウラム》!!」


大剣を構えた少年が現れた。


「これがお前のリンク召喚か」

「君が見たがっていた《サイバース族》の《リンクモンスター》はこの子ですよね。でも、まだまだこれからですよ」

「なに!?」

「《星杯》の強さは、その連続リンク召喚にあります!僕は墓地に行った《星遺物ー「星杯」》の効果で《星杯の守護竜》と《星杯を戴く巫女》をフィールドに特殊召喚します!そして、《星杯を戴く巫女》でリンク召喚!きて、リンク3!《星杯竜イムドゥーク》!!」


《星杯剣士アウラム》の右下にパステルカラーの緑色のドラゴンが出現する。


「僕は《星杯剣士アウラム》のモンスター効果を発動!リンク先の《星杯》モンスターをリリースし、墓地にあるモンスター1体をリンク先に特殊召喚します!《星杯の守護竜》をリリース!《星杯を戴く巫女》をリンク先に特殊召喚!そして、《星杯竜イムドゥーク》と《星杯を戴く巫女》でリンク召喚!きて、リンク2!《星杯神楽イヴ》!」


《星杯剣士アウラム》の右下のリンク先に《星杯神楽イヴ》が特殊召喚された。


「そして、墓地に送られた《星杯竜イムドゥーク》のモンスター効果を発動!手札の《星杯》モンスターを特殊召喚します!僕は《星杯を戴く巫女》をフィールドに特殊召喚。そして墓地にある《星杯の守護竜》のモンスター効果を発動!墓地にある《星杯》バニラモンスターをフィールドに特殊召喚します!さあ、おいで!もう1体の《星杯を戴く巫女》!そして、《星杯を戴く巫女》1体でリンク召喚!もう1度きて!《星杯竜イムドゥーク》!そして、《星杯竜イムドゥーク》と《星杯剣士アウラム》でリンク召喚!きて、リンク3!《星杯戦士ニンギルス》!!」


和波のフィールドには、モンスターゾーンに《星杯神楽イヴ》、《星杯戦士ニンギルス》、《星杯を戴く巫女》が配置されている。ふう、と和波は息を吐いた。ちょっと残念そうだ。


「あわよくば相互リンクを狙おうと思ってたんですけど、やっぱりモンスターゾーン3つは足りないですね」

「無理に狙わないあたりできるな、アンタ。手札消費が少なくて済むうえに、安定してるいい盤面だ」

「あ、わかります?さすがですね、playmaker。初めて見るテーマなのに」

「無理する価値はあったんじゃないか?どうせ、俺の使うモンスターは把握済みだろう?エクストラゾーンを封じられたら、アドバンス軸のサイバースしかいないこともわかってるはずだ」

「そんなことできないですよ、《デコート・トーカー》とかいるのに」

「そうか」

「はい。それに、playmakerとデュエルなんてこんな貴重な体験してるんです。手札事故とか、プレイングミスとか、やってられませんよ!」


にこにこ笑う和波に、playmakerはため息だ。


『せっかく《ソウル・チャージ》ひいたのになあ、残念残念』


和波のデュエルディスクでは、相方がにやにや笑っている。


「僕はこれでターンエンドです」


風の向こう側では、まっすぐにこちらを見据えるplaymakerがいる。和波はその手元のカードを見つめる。


ああ、やっぱり。もしかしたら、という期待があった。でも、当然のように流れ込んでくる手札のカードの映像、テキスト。playmakerがリアルタイムで考えている展開のイメージ。そして、心の声。この状態で生身の人とデュエルしたのは5年ぶりだ。


サイコデュエリストの力は日々強くなっていると数値化された研究結果でわかってはいたものの、実際にこうして突きつけられるとダメージが桁違いである。


「俺のターン!」


風の向こう側にいるからだろうか、思いのほか大きな声に驚いて顔を上げるとplaymakerはドローを宣言する。


「なにかあるのか?」

「あ、いえ、なんでもないです。どうぞ」


疑問符を浮かべる和波だったが、playmakerは手札に舞い込んだカードをみている。もちろん、行く手を阻む障害物は互いにそれぞれの方法で回避しながら、その先をいく。和波にはplaymakerの考えていることが伝わってくる。その手をいかに潰していくか、考えることにした。


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bkm






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