Synchro Summon

「Mr.比嘉、あなたはこれまでエクストラデッキを駆使して行う特殊召喚である、融合召喚、エクシーズ召喚を学んできましたね。いよいよ今回がエクストラデッキを使用する最後の特殊召喚となります。疾風怒濤のクライマックスに向けて、いざ参りましょう。今回の講義はシンクロ召喚でございます。シンクロモンスターとその召喚方法について学んでいきましょう。ご覧ください、この勇姿を。エクストラデッキから登場いたしますのは、大地の騎士ガイアナイトです」


遊矢がプレイマットにおいたのは、白いモンスターカードである。エクストラデッキを使用する最後の特殊召喚と聞いた比嘉の目が点になる。え?ペンデュラム召喚は?トリを飾る予定の特殊召喚はいったいどんな方法を使って召喚されるのか、見当もつかない様子である。遊矢はぱちんとウインクした。You ain`t heard nothin` yet!


大地の騎士ガイアナイト(地)
       ☆☆☆☆☆☆
【戦士族・シンクロ】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
ATK/2600 DEF/800

「この白いカードがシンクロモンスターとなります。シンクロモンスターも融合やエクシーズモンスターと同じく、通常のデッキには入れることができません。エクストラデッキに入れて、エクストラデッキゾーンに置かれます。さて、Mr.比嘉、このカードを見て気付いたことはありませんか?」

「そうですね……えっと、☆が右側に並んでるってことは、シンクロモンスターはレベルなんですね?」

「ええ、そのとおりです。ですから、シンクロモンスターはレベルに関する効果を受けますので、エクシーズとは違った立ち回りが必要になりますね。他には?」

「このテキストのところに書いてあるチューナーってなんですか?パールだとエクシーズ素材が書いてありましたから、たぶんシンクロするときの素材になると思うんですけど……」

「ベリーグッドです、Mr.比嘉。おっしゃるとおり、そこにはガイアナイトをシンクロ召喚をするときに必要なシンクロ素材となるモンスターの条件が書かれているのです。それでは説明いたしましょう。チューナーとは、融合モンスターにおける魔法カードの融合、儀式モンスターにおける専用の儀式カードのようなものですね。シンクロモンスターを召喚するためには、チューナーと呼ばれるモンスターが必要なのです」

「モンスターですか?魔法じゃなくて?」

「ええ、シンクロ召喚はエクシーズ召喚と同じく特定の魔法を使うことなく特殊召喚できる召喚方法なのです。ただし、シンクロモンスターを召喚するには、チューナーのモンスターをシンクロ素材にしなければなりません。つまりデッキにチューナーのモンスターを必ずいれなければならないわけですね」


遊矢は大地の騎士ガイアナイトの横に、ガード・オブ・フレムベルと炎龍(マグナ・ドラゴ)をおいた。


「これがチューナーとよばれているモンスターです。どうぞ手に取って、ゆっくりごらんください」


ガード・オブ・フレムベル(炎)
            ☆
【ドラゴン族・チューナー】
炎を自在に操ることができる。フレイムベルの護衛戦士。灼熱のバリアを作り出して敵の攻撃を跳ね返す。
ATK/ 100 DEF/2000


炎龍(マグナ・ドラゴ)
       ☆☆
【ドラゴン族・チューナー】
このカードが相手ライフに銭湯ダメージを与える度にこのカードの攻撃力は200ポイントアップする。
ATK/1400 DEF/ 600



「あれ?榊先輩、たしか魔法のような効果があるモンスターは、効果モンスターのはずですよね?チューナーのモンスターがいないとシンクロ召喚できないって聞いたので、てっきりチューナーっていう効果があるモンスターなんだろうって思ったんですけど、違うんですね」

「ええ、そうですね。【チューナーはモンスター効果としては扱われない】とされていますから、チューナーのモンスターは効果モンスターとはかぎりません。わかりやすくいえば、闇や光といった属性のようなものでしょうか。チューナーという大きな括りの属性があると考えてください。ですから、このようにバニラでも効果モンスターでもチューナーはいるのです。つまり、シンクロ召喚は、チューナーという属性を持つモンスターと他のモンスターがシンクロ素材となってはじめてできる特殊召喚なのです。そのカードが炎龍(マグナ・ドラゴ)のような効果を持たなければ、フィールド上ではチューナーのモンスターはバニラとしてあつかわれますから、注意してくださいね」

「なるほど、属性ですか。わかりました、気を付けます。他にはどんなチューナーがいるんですか?」

「そうですね、バニラと効果モンスターの他には、シンクロモンスターや罠(トラップ)モンスターといったところでしょうか」

「あ、エクシーズと似たような感じのモンスターもいるんですね。あっちはエクシーズモンスターなのに、エクシーズ素材になりましたけど。こっちはシンクロモンスターなのにシンクロ素材に必須のチューナーになるんですか、おもしろいなあ。……ところで罠(トラップ)モンスターってなんですか?効果モンスターですか?」

「いえ、違いますね。罠(トラップ)モンスターは、モンスターカードではありません。罠カードです。魔法罠ゾーンで効果を発動すると、モンスターカードの扱いになり、モンスターカードゾーンに特殊召喚される永続罠カードのことをまとめてそう呼んでいます。今回は、罠(トラップ)モンスターのチューナーをご紹介しましょうか」


遊矢は罠カードを炎龍の横においた。


シェイプシスター
永続罠
このカードは発動後モンスターカード(悪魔族・チューナー・地・星2・攻/守0)となり、モンスターカードゾーンに特殊召喚する。このカードは罠カードとしても扱う。「シェイプシスター」は1ターンに1度しか発動できない。


「テキストの通り、罠(トラップ)モンスターは、モンスターと永続罠カードの両方の性質を持つカードです。ですから、モンスターや罠を取り除く効果を発動されてしまうと破壊されますが、特殊召喚でモンスターゾーンに出られます。注意しないといけないのは、特殊召喚した後はモンスターゾーンと置かれていた魔法罠ゾーンを封鎖しなければならないということですね」

「あ、そっか。永続罠は発動したあとも魔法罠ゾーンに残るんでしたっけ。だからモンスターとして特殊召喚したあとも、永続罠の性質で魔法罠ゾーンにも残っちゃうんですね。なんだか存在しないのに、存在するように扱うって、トークンみたいなカードですね」

「そうですね。トークンとの違いは、トークンはバニラカードとして扱われますが、罠モンスターはカードによってバニラだったり効果モンスターだったりします。そして、罠モンスターはトークンと違ってエクシーズ召喚にもシンクロ召喚にも使えますよ」

「そっか、なんだか変わったカードですけど、便利なカードなんですね」

「ええ、とても便利です。ですからMr.比嘉がエクシーズやシンクロ軸のデッキと当たった時、トークンも罠モンスターもその姿を目にすることが多くなると思いますよ。ごっちゃにならないように注意してくださいね。ところでMr.比嘉、シェイプシスターはフィールド上では通常モンスターですか?それとも効果モンスターですか?」

「えっ、え、えーっと、チューナーは属性だし、他に効果が書いてないから通常モンスターです……たぶん?」

「正解です。それでは、もしMr.比嘉が強制脱出装置でバウンスした場合、どこにいくと思います?」

「えーっと、モンスターの性質も罠の性質も持ってるってことは……普通の永続罠はたしか手札ですよね。トークンと違って実際にカードがあるから……手札にもどる、ですか?」

「ええ、そのとおりです。手札にもどったり、墓地にいったり、除外された場合は、罠カードとして扱います。効果を発動した時のみ、モンスターとして扱うんですね。ちょっと複雑なのは、無効化したときの処理ですね。効果を発動する時に無効化すると、破壊されて墓地に送られるのは永続罠と同じです。発動した効果だけ無効にすると、表側表示で魔法罠ゾーンに残ります。ただし、何の効果もないただのカードとしてですけどね」

「なんだか残念な感じになっちゃうんですね」

「ええ、罠(トラップ)モンスターは、あくまでもモンスターとして扱う効果を持った罠カードですからね。その効果だけ無効にされてしまうと、ほんとうにただの罠カードになってしまいます」

「うわあ。でも、なんだかおもしろいカードですね。柊先輩が今のデュエルモンスターズだと、どれだけ特殊召喚できるかが鍵だって言ってましたし。特殊召喚できるってことはたくさん呼べますし、罠カードってことはチェーンして特殊召喚できるってことですよね?つまり相手のターンと自分のターンに呼べるってことだから、うん、やっぱり楽しそうなカードですね」

「まさにその通りです。罠(トラップ)モンスターは、特殊召喚が充実していくにつれて評価が上がってきたカードでもあるのですよ。Mr.比嘉ならそう言ってくれると思っていました!」

「え?あ、は、はい、ありがとうございます?」


シンクロ召喚の講義なのに盛大に脱線して、クイズをはじめたり、罠(トラップ)モンスターについて語りまくる遊矢に、比嘉の疑問符が飛んだ。遊矢のデッキのキーカードが似たような性質のカードだからだ、と察した柚子たちは苦笑いである。


「さて、閑話休題もそろそろ終わりといたしましょう。今回はまず手始めにわたくしがシンクロ召喚をお見せいたしますので、どうぞお楽しみくださいませ。もちろんMr.比嘉には最前列でご覧いただきたいのですが、よろしいですか?」

「はい、もちろんです!」



調子づいてきた遊矢は、トランクから新しいエクストラデッキとメインデッキをそれぞれのゾーンにおいた。どうやら今までと違って、最初に遊矢がお手本を見せてくれるようだ。エクシーズ召喚と違って、シンクロ召喚にはチューナーという縛りがある。わざわざお手本を見せてくれるということは、それだけシンクロ召喚は難易度が高いのだろう。ぶっつけ本番では難しい召喚方法なのかもしれない。比嘉はデッキをシャッフルする遊矢をみてわくわくしている。


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