「さあ、運命のコイントスです。表裏を選んでください、Mr.比嘉」
「えっと、じゃあ、裏です」
「コインは……残念、表ですね。というわけで、先行はわたくし、榊遊矢が務めさせていただきます。どうぞよろしく!」
「はい!こちらこそよろしくお願いします、榊先輩!」
榊遊矢LP4000
比嘉昴LP4000
「レディースエーンドジェントルメーン!わたくしにとってのエンタメデュエルは尊敬する父、榊遊勝から学んだデュエルなのです。そう、みてるお客さんも!対戦するデュエリストであるMr.比嘉も!みんなを笑顔にすることこそ本当のエンターテイメントだと信じているのです。ようこそ、わたくしのデュエルフィールドへ。さあ、参りましょう!」
遊矢は比嘉が初めて組んだデッキからひいた、最初の5枚をみる。どきどきしながら遊矢を見ている比嘉の視線がなんだかこそばゆい。自分が組んだデッキがどんな動きをするのか、実践してくれるわけだから、楽しみなのだろう。それに、ちゃんとデッキが回るのか不安なのもある。思い描いたことを遊矢がやってくれるか、可愛い後輩は心配そうに見守っている。これはちゃんとやらなくちゃな、と遊矢はあらためて気合をいれた。
「さてメインフェイズに参ります。わたくしはスケール7のギータス、そしてスケール3のEMパートナーガをペンデュラムゾーンにセッティング!そしてEMシルバー・クロウを攻撃表示で召喚します。そしてカードを1枚セット。これにて準備は完了いたしました。ターンエンドです。さあどうぞ、Mr.比嘉」
「はい、わかりました!僕のターンですね。ドロー!それでは、メインフェイズに行きますね。僕はハーピィの羽箒を発動します。榊先輩のペンデュラムゾーンとセットしてあるカードをすべて破壊しますね。なにかありますか?」
「おや、せっかく準備したカードが台無しですね。これは困ったな。すべて墓地に送りましょう。まだまだ焦るような時間ではありませんからね、続けてください」
「了解です。それでは、僕はカードを1枚セットして、カードも1枚伏せます。そしてスケール4のEMカレイドスコーピオンを1枚、ペンデュラムゾーンにセッティングします。どうしますか、榊先輩」
「おや、準備に徹するんですか、もったいない」
「ま、まだまだ始まったばかりです!ちょっと準備してるだけですよ。それじゃあ、僕はこれでメインフェイズは終了しますね」
「わかりました。しかし、ペンデュラム召喚をしないのにセッティングするのですか?カレイドスコーピオンのペンデュラム効果、は光属性の攻撃力を上昇させるものです。ギータスのように2枚で機能するカードではありませんが」
「はい、そうです」
「おけばいいというわけではありませんが、なにか意味があるんですね?」
「はい、もちろん。えっと、バトルフェイズはなにもしません。何かありますか?榊先輩」
「いえ、続けてください」
「僕のターンは終了です」
「それでは私のターンですね。はたして勝利の女神は微笑んでくれるのでしょうか。それではいってみましょう、ドロー!わたくしはEMペンデュラム・マジシャンを召喚します。なにかありますか?」
「大丈夫です!」
「元気なお返事ありがとうございます。それではメインフェイズはここまで、バトルと参りましょう、Mr.比嘉。わたくしはEMシルバー・クロウでそのセットされたモンスターを攻撃します。シルバー・クロウは攻撃宣言時に、自分フィールド上のEMと名のついたモンスターの攻撃力を300ポイントアップさせます。よってシルバー・クロウは2100、ペンデュラムマジシャンは2100となります」
「うわっ、一気に攻撃力が跳ね上がりましたね」
「ええ、そうですね。それではバトルです、シルバー・クロウでそのセットされたモンスターを攻撃します」
「このモンスターは音響戦士サイザスです。リバースしたので、効果を発動しますね。同名カード以外の音響戦士を手札にサーチすることができます。僕がサーチするのは音響戦士ギータス!」
「おっと、これはやっかいなカードを手札に加えられてしまいましたか。でも仕方ないですね。続けましょう。サイザスは破壊されましたから、続いてペンデュラムマジシャンで攻撃します」
「うう、これで2100のダメージですね」
「これでバトルは終了です。ターンエンドしますが、何かありますか?」
「いえ、なにもないです」
「それではどうぞ」
榊遊矢LP4000
比嘉昴LP1900
「はい!よーし、いきますよ!僕のターン、ドロー!メインフェイズにいきますね。僕は永続罠、練成する振動を発動します。1ターンに1度、ペンデュラムスケールにあるカードを1枚破壊して1枚ドローすることができます。そして、カレイドスコーピオンを破壊し、1枚ドローします。よしいきますよ、榊先輩。僕はスケール4のEMカレイドスコーピオンとスケール7の音響戦士ギータスをペンデュラムゾーンにセッティング」
「おやおや、またカレイドスコーピオンをひいてしまったようですね」
「え?あ、あははっ、そ、そんなときもありますよ!でも、カレイドスコーピオンの防御力はなかなか超えられないですよね!いっきますよー!揺れろ、魂のペンデュラム!天空へ描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!おいで、EMカレイドスコーピオン。僕はカレイドスコーピオンを守備表示でペンデュラム召喚します。えっと、先輩」
「みてのとおり、わたくしのフィールドにはバックが1枚もありません。なので、どうぞ、続けてください」
「はい、わかりました。僕は手札を一枚捨てて、音響戦士ピアーノをデッキから特殊召喚します。そしてレスキューラットを攻撃表示で通常召喚します!まだまだ行きますよ、榊先輩。レベル3のピアーノにレベル4のレスキューラットをチューニング!シンクロ召喚!花開け、ランク7!月華竜ブラック・ローズ!そして召喚に成功したので榊先輩のモンスターを1体バウンスします。僕が戻したいのはEMシルバー・クロウです。なにかありますか?」
「おお、一気に来ましたね」
「はい!それでは僕はメインフェイズを終了します」
「それじゃあ、バトルですね」
「はい!バトルです、榊先輩。ブラック・ローズはカレイドスコーピオンの効果で攻撃力が2700になっています。僕はブラック・ローズでペンデュラムマジシャンを攻撃します!」
「ペンデュラムマジシャンは破壊ですね。2700から1500だから、わたくしは1700のダメージを受けます」
「これでバトルは終わったので、メインフェイズに行きます。僕はカードを1枚セット。ターンエンドです」
榊遊矢LP2300
比嘉昴LP1900
「わたくしのターンですね、ドロー!わたくしはEMシルバー・クロウを召喚します。勝利の女神はご機嫌斜めのようですね。困ったな。なにかありますか?」
「だいじょうぶです!」
「おや、調子づいているとあとから勝利の女神にいたずらされてしまいますよ、Mr.比嘉。わたくしはカレイドスコーピオンを攻撃しますね」
「はい、わかりました」
「バトルフェイズは終わります。カードを1枚伏せて、メインフェイズはなにもいたしませんが、何かありますか?」
「あ、はい。特にないです」
「それならばターンエンドといたしましょう」
「僕のターン、ドロー!僕は手札を捨てて、ギータスの効果で音響戦士ピアーノを特殊召喚します」
「まだ伏せカードを使う時ではないので、続けてください」
「はい。そして、ペンデュラム召喚でカレイドスコーピオンを呼び戻します」
「どうぞ」
「うう、こわいなあ。そしてピアーノの効果で自分の種族を悪魔に変更します。あと、墓地にあるピアーノを除外して、カレイドスコーピオンの種族も悪魔に変更しますね。僕はピアーノにカレイドスコーピオンをチューニング!シンクロ召喚!駆けろ、ブラックハイランダー!」
「おっと、それでは激流葬を発動します」
「あっ」
「さあ、モンスターがいなくなりましたが、どうしますか?」
「うう、僕は何もできません。練成でカレイドスコーピオンを破壊して、1枚ドローします。なにかあります?」
「いえ、続けて」
「僕はカードを1枚伏せてターンエンドです」
「それではわたくしのターンですね、ドロー!わたくしはペンデュラム召喚により、ペンデュラムマジシャンとシルバー・クロウ、カレイドスコーピオンを特殊召喚します。なにかありますか?」
「はい、あります!さっきのお返しです!激流葬!」
「おっと、これははやいしっぺ返しが来ましたね。お互いに寂しくなりましたね、フィールドが。これからですね。わたくしはターンエンドです」
「僕のターン、ドロー!よし、それじゃあ、メインフェイズに行きますね。僕は練成の鼓動でギータスを破壊してドローします。なにかありますか?」
「いえ、大丈夫ですよ」
「僕はスケール7のギータスとスケール2のペンデュラムマジシャンをセッティングします!さあ、もう一度行きます!揺れろ、魂のペンデュラム!天空へ描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!僕はEMカレイドスコーピオン2体とギータスをペンデュラム召喚します!さあ、どうします?」
「おっと、わたくしがやろうとしたことを真似されてしまいましたか。残念、わたくしには止める手段がありませんね」
「えへへ、さあいきますよ、榊先輩!僕はレベル6のEMカレイドスコーピオンでオーバーレイネットワークを構築します!エクシーズ召喚!ランク6!ガントレット・シューター!さあ、バトルです榊先輩!」
「いいですよ、Mr.比嘉」
「はい!僕はガントレット・シューターで榊先輩にダイレクトアタックします!」
2400のダメージを食らい、遊矢は負けてしまった。今回の軍配は比嘉だったようだ。やったあ!と大喜びしている昴に遊矢はやるじゃんと笑う。ありがとうございます、と比嘉は大きく頷いた。
「今回はわたくしの負けですね。お疲れ様でした。どうやら勝利の女神は頑張る子がお好きなようですね」