DUELISTMEETING10
「さあ、本日開催の第1回デュエリストミーティングは、今回の講義が最後だ。明日から柚子と遊矢が昴君に特殊召喚とそのモンスターカードについて説明してくれるぞ。だから俺が教える最後の講義になる。今回からデュエルモンスターズの花形、モンスターカードのうち、特殊召喚と呼ばれている召喚方法とそれに対応したモンスターについて説明していこう」

「はい、塾長。質問なんですけど、特殊召喚ってなんですか?」

「特殊召喚っていうのは、通常召喚以外の特別な方法でモンスターを召喚することなんだ。1ターンに1度しか召喚することができない通常召喚と違って、何度も使えるのが特徴だぞ。たとえば昴君が魔法や罠、モンスターの効果で墓地や手札、除外ゾーン、デッキにあるモンスターをフィールドに呼び出すことができたら、とっても便利だろう?それをすべて特殊召喚というんだ」

「いっぱいあるんですね」

「通常召喚は、1ターンに1度しかモンスターを召喚できないだろ?だから、貴重な通常召喚以外にも、モンスターを呼び出す方法として、特殊召喚の手段がどんどん増えていったんだ」

「なるほどー、だからたくさんあるんですね」

「そういうことだな。ちなみに、デッキから特殊召喚するときは【リクルート】、墓地から特殊召喚するときは【蘇生】、除外ゾーンから特殊召喚するときは【帰還】ってよぶんだ」

「はい、わかりました」

「注意しなきゃいけないのは、特殊召喚する時に、モンスターゾーンにモンスターを出したい数以上の空きがないと失敗してしまうことだな。たとえば、昴君のフィールドに4つ空きがあって、モンスターを4体出したいとするだろ?でも、相手が昴君のフィールドにモンスターを2体先に置いてしまったとする。そうすると、モンスターの空きは2つになってしまうな。その場合、のこりの2つの空きに昴君のモンスターを並べることは出来ないんだ。つまり昴君はモンスターを1体も特殊召喚することができなくなってしまうんだ。ちょっと難しいが、相席はできないお店なんだと考えてもらったらいいと思う」

「あー、なるほど。カウンターはないお店なんですね」

「そうだな。これから昴君に学んでもらう儀式召喚、明日から柚子と遊矢に教えてもらう融合召喚、シンクロ召喚、エクシーズ召喚、そしてペンデュラム召喚は、すべて特殊召喚に含まれるんだ。この4つの特殊召喚は自分のターンのメインフェイズでしか行うことはできないから、注意してくれ。ちなみに、特殊召喚も通常召喚と同じで、召喚したモンスターはそのターンから攻撃することができるぞ。そして、その4つの特殊召喚以外の、カードの効果で特殊召喚されたカードは、召喚されたフェイズがバトルフェイズなら攻撃に参加することが可能だから、覚えておこう」

「そうなんですか?特殊召喚でもいろいろあるんですね」

「そうね。特殊召喚っていうのはね、とっても大事なのよ、比嘉君。今のデュエルモンスターズでは、どれだけモンスターをフィールドに呼び出すか、でデュエリストたちはみんな悩んでいるわ。アドバンス召喚だってリリースするモンスターがいなかったら、召喚することができないでしょ?もし比嘉君がアドバンス召喚するために魔法を使ってモンスターを用意できたとしたらどうなると思う?」

「すぐにアドバンス召喚ができますね!」

「そうだな!そして、大切なことがもうひとつ!特殊召喚は、表側攻撃表示か、表側守備表示でフィールドに出すことができるんだ。裏側守備表示じゃないから注意してくれ」

「あ、そうなんですか?わかりました」

「さあ、今回昴君に勉強してもらうのは、儀式召喚だ」

「儀式召喚?」

「そう、この青色のカードだな。今でこそ、レオ・コーポレーションが普及させたおかげで、特殊召喚と言えばシンクロやエクシーズ、融合があるけど、俺がプロだったころは、舞網市は通常召喚を使うアドバンス召喚が主流だったんだ。未だに特殊召喚と言えば儀式召喚を連想する人も多いし、アドバンス召喚よりは使う人は少ないかもしれないが、歴史が長いデュエル塾でもあるのが儀式なんだ」

「へええ、そうなんですか」

「昴君がデュエルをはじめたら、きっと戦う機会も出てくるだろう。だから、よく知っておくことが勝利の近道になると俺は思う。さあ、張り切って儀式召喚について学んでいこう」

「はい、わかりました!」

「よーし、いい返事だ!俺はうれしいぞ、昴君!儀式モンスターは、カードが青色のモンスターカードなんだ」


塾長は比嘉にカードを差し出した。あ、と声を上げた比嘉が塾長を見上げる。親指を掲げた塾長に、ぱっと比嘉の表情が輝いた。かっこいいモンスターだったのかな、と遊矢はみせてと横から覗き込む。はんたいに、遊矢の表情が曇った。


イビリチュア・プシュケローネ(水)
            ☆☆☆☆
【悪魔族・儀式/効果】
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。1ターンに1度、モンスターの種族・属性を宣言して発動できる。相手の手札をランダムに1枚確認し、宣言した種族・属性のモンスターだった場合、そのカードを持ち主のデッキに戻す。違った場合は元に戻す。
ATK2150 DEF1650


比嘉が受け取ったカードを横から見た遊矢は思わず閉口する。つい数時間前に見た悪夢で何度も目にしたカードが比嘉の手の中にある。とてもうれしそうに儀式モンスターを見ている比嘉が不思議で、柚子は首をかしげた。遊矢のこわばる顔に気付いた比嘉が心配そうに覗き込む。


「どうしました、榊先輩?」

「え、あ、いや、なんでもないよ」


かぶりをふって苦笑いした遊矢に、首をかしげた比嘉だったが、はじめてみる儀式モンスターなので、気になる所がいろいろあるのか、熱心に見つめている。


「ちょっと見た目が怖いモンスターだけど、うれしそうね、比嘉君。もしかして気に入ったの?」

「え?あ、はい、そうです。僕が大好きなプロのデュエリストさんが使ってたカードなんです」

「そうなんだ?憧れの人が使ってたなら、うれしいよな。よかったじゃん」

「はい!ありがとうございます、塾長!」

「いーや、かまわないさ。話はお母さんから聞いてるからね」

「お母さんからですか!?あ、ありがとうございます!」

「へえー、なんか意外ね。比嘉君は、もっとかっこいいモンスターが好きな気がしたんだけど」

「あ、はい。ちょっと怖いモンスターたちですけど、その人はかっこいいドラゴンとこのモンスターたちを使ってたんです。だから、あんまり怖くないです。あの人はもうやめちゃったので、カードを見るのは初めてなんです!いつか、またやってほしいなあって思ってるんですけど」

「そっか……オレもいるから分かるよ。いつか一緒にデュエルできたらいいな」

「榊先輩もなんですか?」

「うん、オレが世界で一番尊敬するデュエリストがいるんだ。比嘉もその人に追いつけるように、これから頑張ろうぜ」

「はい!」

「うんうん、いいぞ!好きなモンスターでデッキを組んだら、きっとデュエルするのも楽しくなると思うからな。さて、説明に入ろうか」

「はい、お願いします」

「儀式モンスターはデッキの中に入れるんだ。儀式モンスターは、専用の魔法カードを使って特殊召喚することができるぞ。魔法の効果でモンスターを特殊召喚するから、アドバンス召喚と違ってフィールドだけじゃなく、手札にあるモンスターもリリースに使えるメリットがあるんだ。順番としては、まずはリリースするためのモンスターを準備して、専用の魔法カードの効果を発動する。次にカードに指定されているレベルになるようにモンスターをリリースする。そして、儀式召喚するんだ。最後に使った儀式魔法のカードを墓地に送ったら成功だ。たとえば、このイビリチュア・プシュケローネだったら手札かフィールドのモンスターのレベルが、レベル4以上になるようにモンスターをリリースすればいいんだよ」

「そのレベルって、どんな組み合わせでもいいんですか?」

「ああ、足し算して4になればいいんだ。レベル1とレベル3、レベル2とレベル2、、もちろんレベル4でもいい。ちなみに、儀式モンスターの召喚に必要なモンスターのレベルは、しっかり相手に見えるようにするのがマナーだぞ。そして、専用魔法カードは、(魔)って書いてあるところの横に、特別な効果アイコンがついてるから、確認しよう。イビリチュア・プシュケローネは【リチュアと名のついた儀式魔法】が条件だから、このカードが必要だな」


塾長は魔法カードを並べた。


リチュアの儀水鏡
「リチュア」と名のついた儀式モンスターの降臨に必要。自分の手札、フィールド上から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるようにモンスターをリリースしなければならない。また、自分のメインフェイズ時に基地のこのカードのこのカードをデッキに戻すことで、自分の墓地の「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を選択して手札に戻す。


「このカードはレベルちょうどにしないといけないけど、儀式モンスターによってはそれ以上でもOKな場合があるから、テキストはよく確認しよう。他にもリチュアの写魂鏡やリチュアに伝わりし禁断の秘術といった儀式魔法のカードもあるな」

「これが儀式召喚なんですね。用意しないといけないのがたくさんあって、難しそうだなあ」

「あはは、たしかにアドバンス召喚と比べると難しいかもしれないな。でも、儀式召喚の歴史はとても長いから、優秀なサポートカードやモンスターがたくさんいるんだ。儀式召喚のためのデッキを組めば、難しいってことはきっとないはずだ」

「よし、それじゃ、やってみようか」


塾長から渡された手札。そしてモンスターが置かれる。ひとつひとつ確認する比嘉は真剣そのものだ。


「手札の儀式魔法カードを使って、儀式モンスターを儀式召喚してみよう」

「はい!」

「ちなみに、儀式魔法を発動させるときは、アクション・デュエルだとお決まりの台詞があるんだ」

「そうなんですか?」

「ああ!手札から儀式魔法を発動!儀式を執り行うことができる!って宣言するんだ」

「あ、それ知ってます!テレビでみたことあります!かっこいいですよね、よーし、やってみよう!」


塾長は大きくうなずいて無邪気に笑う比嘉をどこか懐かしそうに眼を細めた。塾長によって手札が渡され、カードが置かれる。


「よし、それじゃあ、手札のカードを使って、儀式モンスターがフィールドに特殊召喚されたら成功だ。よーくカードをみて、やってみよう」

「はい!」

「ゆっくり考えてみようか」


うなずいた比嘉は1枚1枚のカードを慎重に見つめている。




10分ほどして、比嘉はみんなを呼んだ。それじゃあ、いきます、と比嘉は宣言した。





「僕のターン、ドロー!僕は手札からリチュア・ビーストを通常召喚します。このモンスターは召喚に成功した時、レベル4以下のリチュアと名のついたモンスター1体を墓地から表側守備表示で特殊召喚することができます。僕が蘇生させるのはリチュア・アビス」


比嘉はリチュア・ビーストとリチュア・アビスを並べる。


「アビスは特殊召喚に成功した時、デッキからアビス以外の守備力1000以下のリチュアと名のついたモンスターを手札に加えることができます。僕がデッキからもってくるのは…」

「デッキから手札にくわえるときは、【サーチする】っていうのよ」

「あ、はい、わかりました。僕はヴィジョン・リチュアをサーチして、手札に加えます。そして、手札にあるこのカードを捨てて、効果を発動。デッキからリチュアと名のついた儀式モンスター1体を手札に加えます。僕がサーチするのは、レベル6イビリチュア・ガストクラーケ。そして、僕は手札のリチュアの儀水鏡の効果を発動。これで儀式召喚を執り行うことができます。フィールドに存在するレベル4リチュア・ビーストとレベル2リチュア・アビスをリリース、イビリチュア・ガストクラーケを儀式召喚。リチュアの儀水鏡が墓地に送られたので、さらに効果を発動します。リチュアの儀水鏡をデッキに戻し、墓地にあるビーストとアビスを手札に加えます」

「墓地から手札にくわえるときは、【サルベージする】っていうぞ」

「りょうかいです!よーし、これでできました!」

「よくできました!やるじゃないか、昴君。いやあ、もしかしたら、儀式召喚がむいているのかもしれないな!」

「そうですか?あははっ、ありがとうございます!」


うれしそうに笑った比嘉と悪夢が重なってしまい、思わず遊矢は、えーっと声を上げる。


「まだ他の特殊召喚やってないのに、決めるなよ、じゅくちょー!」

「あっはっは、悪い、悪い、ごめんな!まさか一発でここまでやるとは思わなかったんだ」

「あ、はい。やっぱり、何度もビデオ見てたから覚えてました。名前はわかんなかったけど、イラストは覚えてたので」

「あー、なるほどな。たしかにそれなら納得だ。これなら他の特殊召喚も期待できそうだなー、がんばってくれよ、昴君」

「はい、よろしくお願いします!」

「よーし、今日はここまでにしよう。デュエリストミーティングはこれで終わりだ。お疲れ様!」


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