DUELIST MEETING9
「さあ、魔法カードが終わったら、今度は罠(トラップ)カードだ!」

そういって塾長は赤紫のカードを比嘉に差し出した。

鳳翼の爆風
【罠カード】
手札を1枚捨て、相手フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。選択した相手カードを持ち主のデッキの一番上に戻す。

「これが通常罠(トラップ)、罠(トラップ)カードっていわれたら、だいたいこれのことをさしてるんだ。ほかに2種類それとは違う効果をもった罠(トラップ)カードがあるんだ。さあ、おさらいといこう。罠カードはなにをするカードだったかな?」

「はい、魔法カードと一緒で、モンスターのバトルをサポートするカードのことです」

「よしよし、いいぞ。魔法は攻撃的な効果のカードが多くて、罠カードは妨害や不意打ちの効果が多いんだったな。それじゃあ、罠カードを使う時に一番最初にすることはなーんだ?」

「えっと、たしか魔法&罠ゾーンに伏せることです」

「正解!じゃあ、いつ発動できる?」

「魔法&罠ゾーンに伏せたターンは罠カードを発動できなかったと思うので、相手のターンになってからです」

「すごいじゃないか!終わったらどうするんだったかな?」

「魔法カードと一緒で墓地に置くんですよね?」

「そう、よくできました!これが通常罠というわけだ。罠カードはセットしたターンや発動する条件が整う前に相手のカードの効果で破壊されてしまうことがよくある。そうすると、もう効果を発動できないまま墓地に行ってしまうんだ。どうやって使うかはプレイたーと相手の駆け引きだな」

「うーん、難しそうですね」

「そうだな、確かに相手の出方に合わせてカードの効果を発動するから、ちょっと使いどころが難しいかもしれない。昴君はまだ初心者だからわからないこともたくさんあると思う。でもな、じぶんが使うデッキには、かならずキーとなるカードがあるんだ。そのカードを守るためには、罠カードはならないカードでもあるんだ。守らなくちゃいけないカードを破壊されないように意識するといいかもな。フィールドに出てるから壊されるのか、手札にあったから墓地に送らないといけないか、どちらが嫌か考えてみるのも面白いぞ」

「あー、なるほど。たしかにそうですね!わかりました、ありがとうございます」

「うん、いい返事だ、昴君。期待してるぞ!さあ、ここまでがが基本的な罠カードだ!よーし、それじゃ、今度は変わった罠を紹介しよう」

通常罠の隣には、もう1枚の罠が置かれた。

炎虎梁山爆(えんこりょうざんばく)
【罠カード・永続】
このカードの発動時に、自分は自分フィールド上の永続魔法・永続罠カード×500ポイントライフを回復する。また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが相手の効果によって墓地に送られた場合、自分の墓地の永続魔法・永続罠カードの数×500のポイントダメージを相手ライフに与える。

「まずは永続罠からだな。永続魔法や装備魔法、フィールド魔法みたいにカードの効果を発動したあとも墓地にはいかないのが特徴だ。ずっとフィールドに残って、効果を発動し続けるぞ。。それがこの永続罠というわけだ。相手の攻撃を妨害したり、じわじわダメージを与える効果が多いな。もし何枚も同時に発動した場合は、どちらの効果もずっと続くことになるぞ」

比嘉の鉛筆の音が響いている。永続罠の隣にはさらに罠カードが並べられる。

炎渦の胎動
【罠カード・カウンター】
手札から「ラヴァル」と名のついたモンスター1体を墓地へ送って発動する。罠カードの発動を無効にし破壊する。罠カードの発動を無効にして破壊する。また、このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地に存在する炎属性モンスター2体をゲームから除外することで、このカードを手札に加える。

「お次はカウンター罠(トラップ)。このカードはカウンターってあるとおり、基本的に他のカードの効果を発動したときに使えるんだ。そのカードの発動そのものをなかったことにしてしまったり、そのカードの効果を横取りできたりするんだ。注意しないといけないのは、カウンター罠の効果だけ発動することはできないってことだな」

「これが守るためにつかうカードですか?」

「ああ、そうやってつかうカードが多いのもカウンター罠の特徴のひとつだな」

「そっか、わかりました」

うなずいた比嘉は、メモを箇条書きしていく。しばらくして、できた、という声があがった。

「よーし、これで基本的な罠カードの説明はおわりだ、お疲れ様!あとは、罠カードではあるんだけど、ちょっとばかし扱いが特殊なカードについて説明するぞ!」

「特殊……?そんなにかわってるんですか?」

「ああ、とっても変わってるぞ。でも、最近は見かける機会も増えてきたから、昴君も覚えておくといいと思ってな!さあ紹介しよう。こいつだ」

そういって比嘉の前に、新たな罠カードが置かれた。

アポピスの化身
【罠カード・永続】
@自分・相手のメインフェイズに発動できる。
このカードは発動後、通常モンスター(爬虫類族・地・レベル4・攻1600/守1800)となり、モンスターゾーンに特殊召喚する。このカードは罠カードとしても扱う。

「なんだかモンスターみたいなカードですね」

「そう、こいつは罠モンスターと呼ばれている罠カードなんだ」

「え、ホントにモンスターなんですか?」

「ああ。このカードには、発動するとモンスターカードになる永続の効果があるんだ。モンスターカードになったらモンスターゾーンに特殊召喚されるぞ。罠でありながらモンスターでもあるとっても面白いカードだな。モンスターを破壊するカードにも、罠を破壊するカードにも破壊されてしまうデメリットがあるんだが、魔法か罠だと思ってたカードが実はモンスターだった、なんてことになったら邪魔しにくいだろう?だからアドバンス召喚のリリース要員や特殊召喚で必要なモンスターを揃えるときに使えるんだ」

「なるほど!たしかに面白いカードですね」

「だろ?でも、罠モンスターには、いくつか特別なルールがあるんだ。覚えておこう」

「はい!」

「このカードははじめは永続魔法だから、魔法&罠ゾーンに置かれるんだ。そしてカードの効果を発動すると、モンスターゾーンにおかれるんだが、はじめにおいていた魔法&罠ゾーンは使えなくなるぞ」

「あ、どっちにも置かれてるからですか?」

「ああ、イメージはそんな感じだな!だからモンスターゾーンと魔法&罠ゾーンに空きがないと特殊召喚することができないから注意だ」

「はい、わかりました」

罠モンスターの説明から、ずっと違和感があった遊矢は、とうとう我慢が出来なくなって言葉がついて出る。なんだか不思議な感覚だった。遊矢は罠モンスターを使うデッキを使ったことはないはずだ。

「なあ、塾長。永続罠ならもういっこあるんじゃないの?」

「うん?あ、そうだな。俺がプロの頃には無かったから、ついなあ。罠モンスターと言えば永続魔法だったから、あっはっは」

「え、永続魔法以外にも罠モンスターってあるんですか?」

「ああ、あるんだよ。通常罠の罠モンスターもあるんだ。なあ、塾長、カードは?」

もちろん、遊矢は通常罠の罠モンスターなんて知らないはずだし、永続罠の罠モンスターしかしらなかった、はずだ。それなのに、言葉がついて出る。この内側からあふれ出る感覚はずいぶんと久しぶりな感じがする。懐かしさというか、ずっと忘れていた感覚のような気がしてならない。遊矢はそれを知らないはずだ。目が覚めてからこの感覚にずっと囚われている感じがしてならない。いやなものではないのが、まだましという感じだ。そのうち思い出すかな、と思いつつ遊矢は塾長を見る。

「心配しなくてもあるぞ!説明するの忘れてただけでな、あはは。遊矢、ついでに説明、バトンタッチしてもいいか?」

「え!?なんでだよ」

「だって、よくつかってるじゃないか」

「え?」

「おれが説明するより、いつも使ってる遊矢が説明した方が分かりやすいと思うぞー。あ、今日はEMしか持ってきてないんだったな、じゃあこれつかってくれ」

「榊先輩のカードなんですか?」

「そうだな、遊矢は2つのデッキを使ってるんだが、そのうちの1つでこのカードが大活躍してるぞー」

「ってことは、えっと、もしかして4つもデッキがあるってことですか?」

「そう、そのまさかだ!」

「すごいですね、榊先輩!」

「え、あ、うん、ありがとう」

塾長からカードを渡された遊矢は、戸惑いがちにそれを受け取る。どうやらこの世界の遊矢は、墓地を利用するデッキも使っていたようだ。アドバンス軸のデッキのことだろうか、でも遊矢のデッキに罠モンスターを入れる余地はなかったはずである。これはますます自室にあると思われる他のデッキを確認する必要が出てきた。じっとそれを見つめていた遊矢自身、どうしてこんな言葉がでてきたのか、わからないのだ。もしかしたら、遊矢はこの世界にもともといた遊矢と入れ替わってしまったか、乗り移ってしまったのかもしれない。そして、時々湧き出すいろんな感情や記憶は、その遊矢のものなのかもしれない。答えは出ないからどうしようもないが。遊矢は、無性にうれしさを感じるカードを手に、比嘉を向く。そしてカードを渡した。

「罠モンスターはフィールドにセットした罠が効果を発動するとモンスターとして特殊召喚されるやつと、墓地にある時に効果を発動するとモンスターになるやつがあるんだ。そのカードは後から出てきた新しい罠モンスターだよ、比嘉」

「これが榊先輩のカード……かっこいいですね」

「ありがとな」

「はい」

幻影騎士団シャドーペイル
【罠カード】
@自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力は300アップする。Aこのカードが墓地に存在する場合、相手の直接攻撃宣言時に発動できる。このカードは通常モンスター(戦士族・闇・攻0/守300)となり、モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚する(罠カードとしては扱わない)。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

「このカードは、アポピスと違って特殊召喚された時は、モンスターカードだけど罠カードじゃないんだ。だから罠を破壊する効果は受けないけど、モンスターを破壊する効果は受けるよ」

「あ、そうなんですか。同じ罠モンスターなのに、いろいろ違うんですね。おもしろいなあ」

「うん、そうだな。あれ、塾長、このカードって魔法じゃなかったっけ」

「それはアクションデュエルの効果だろ、遊矢。今は昴君にスタンディングデュエルのルールを教えてるんだから、アクションデュエルのカードを教えたらだめだろ」

「あ、そうだっけ」

「ほんと、これだからメンドクサイのよね。デッキいくつも持たなくっちゃいけないし」

「みたいだなぁ」

「アクションデュエルばっかしてないで、ちゃんとスタンディングデュエルもしなさいよ、遊矢。そんなんだから補修受けることになるのよ?」

「だからそんなつもりで言ったんじゃないってば」

「じゃあどういうつもりなの?」

「ないしょ」

「えー、気になる!」

「え、なんの話ですか?」

「何でもない。オレだけのひみつだよ」


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