PACK 2
「よーし、それじゃさっそくっと。ペンデュラムテーマをつかってみようか、比嘉!」

「はい、わかりました!これから発売するテーマを見せてもらえるなんてうれしいなあ……!どんなテーマがあるんだろう!」

「それはみてのお楽しみ!まずはやっぱりこれだな。メタファジック・リバースの目玉、EM(エンタメイト)!俺が使ってるテーマなんだ」

「榊先輩の使ってるテーマ?それは楽しみです!えっと、ここに書いてあるアクションデュエル界の伝説って、榊先輩のおとうさんですよね?」

「そうそう、そうなんだよ。もともとEM(エンタメイト)も魔術師も父さんが使ってたアドバンス召喚のテーマなんだ。ペンデュラム・テーマを発売する時に、俺と同じペンデュラム召喚のテーマとしてリメイクしてくれるっていうから楽しみにしてたんだ!」

「あ、そっか。アクションデュエルとスタンディングデュエルだと、カードの効果が違うんでしたっけ」

「そうそう。どういう調整がされてるのか、それも楽しみなんだ。だから持ってきたよ、アクションデュエル用のEM(エンタメイト)。比べてみようと思ってさ」

「見せてもらってもいいですか?」

「もちろんいいよ、そのつもりだったしさ」

「ありがとうございます!」


ベルトからデッキケースをはずし、遊矢は比嘉の前にアクションデュエル用のスリーブに入っているカードを差し出した。初めて間近で目にして、触れたアクションデュエルのカードである。今まで触れてきたスタンディングデュエル用のスリーブとの違いやきらきらしているところの違い、小さなところを見つけるたびに比嘉の目が輝きを増す。遊矢はその間にメタファジック・リバースのボックスをあけた。そこにはすでに収録用カードがテーマごとに分けられており、そのほかのカードはカード枠ごとにまとめられている。そこからEM(エンタメイト)を取り出し、ざっと目を通した遊矢は、あれ?とつぶやいた。


「どうしました?榊先輩」

「あー、うん。アクションデュエルと同じデッキを組もうと思ったんだけどさ、キーカードが収録されてない。あと、エースがリメイクまえのままなんだ」

「リメイク前?ペンデュラムに対応してないってことですか?」

「そうみたいだなあ。俺のキーカードは魔術師とオッドアイズなんだけど、魔術師は入ってないし、オッドアイズは比べてみると……ほら」


遊矢がオッドアイズを対になるように並べた。


「こっちはスタンディングデュエル用のカードな。アクションデュエルでもスタンディングデュエルでも効果はあんまり変わらないよ」


オッドアイズ・ドラゴン@このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ             送った時に発動する。そのモンスターの元々の攻撃力              の半分のダメージを相手に与える。


「リメイク前ってことは、遊矢先輩がアドバンス軸のデッキ使ってたときのエースですか?」

「うん、そうだよ。でも、ちょっと使いやすくなってるな。おれが使ってた時は、このバーンダメージが発生するのはレベル5以上のモンスターを破壊した時だけだったし、任意効果だった。強制効果じゃなかったよ」

「ってことは、えーっと、タイミングを逃すが発生しないから、絶対にバーンダメージが入るってことですか?」

「そういうこと!ペンデュラムにリメイクされなかったのは残念だけど、調整はちゃんとしてくれてるみたいだし、うれしいな。こいつが収録されるのは、もうちょっとお預けってことか」


遊矢が見せてくれたのは、アクションデュエル用のカードである。


オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン(スケール:4)
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの(1)(2)のP効果はそれぞれ1ターンしか発動できない。
(1):自分のPモンスターの戦闘で発生する自分へのダメージを0にできる。
(2):自分のエンドフェイズに発動できる。このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。
(モンスター効果)
(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。


「これが榊先輩の今のエースなんですね。アクションデュエルで見るのが楽しみです!」

「へへっ、そう言ってもらえるとうれしいけど、なんか照れるなあ。えーっと、こいつが入ってない代わりに、オッドアイズ・ドラゴンに対応しているカードが入ってるみたいだ。こいつをエースにしろってことかな?」

「オッドアイズ・セイバー・ドラゴン、ですか」

「初めて見たな、このカード……。オッドアイズ・ドラゴンは闇だし、こいつは光、闇と光の混合デッキなら面白いことができそうだけど、EMはほとんど地属性だしなあ。手札からオッドアイズかペンデュラムで並べたヒッポかジンライノで出せってことかな?」

「なるほど、そういう風に使いたいカードでデッキを考えるんですね」

「おれはそうしてるだけで、他にもいろいろやり方はあるよ。ネットを検索すればデッキレシピはいくらでも転がってるし、それをコピーしてもいい」

「え、でも、誰かの真似ですよね?それ」

「たしかにそうかもしれない。でもさ、そのデッキを何度も使っているうちに、比嘉のプレイングや好みの戦術っていうのが顔を覗かせるはずだろ。そしたら、カードの枚数を変えてみたり、カードを入れ替えてみたり、したくなってくると思うけどな。そのうちデッキが比嘉の好みに変わっていって、気付いたら最初のデッキとは全然違ってた、なんてよくある話なんだ。比嘉はまだカードを持ってないんだし、好きなようにデッキを作ればいいんだよ。やりたいことを決めて、それに合うカードを入れてもいい。コンセプトを決めて、それに合うカード縛りなんてのも面白いと思う。気に入ったエースを活躍させるデッキにしちゃってもいいしな」

「そっか、うん、そうですよね。わかりました、榊先輩。アドバイス、ありがとうございます」

「いいよ、それくらい。さーて、じゃあそろそろ、EM(エンタメイト)がどんなテーマか紹介しようか」

「はい!」

「EM(エンタメイト)は娯楽を意味するエンタメと仲間って意味があるメイトを組み合わせた言葉なんだ。観客を楽しませるエンタメデュエルを極めるのがおれの夢なんだけど、こいつらはそれを体現してると思ってる」

「蝶ネクタイとか、シルクハットとか、コミカルなモンスター多いですね。背景も☆がたくさんあるし」

「だろ?カード同士のシナジーは控えめなんだけど、1枚だけでも使いやすいカードが揃ってるんだ。まあ、メタファジック・リバースだけだとEMだけで組むか、他のテーマと混ぜる感じになりそうだなあ。EMは他のテーマとも仲良くできると思うよ、EM以外にも生かしやすい効果ばっかりだし」

「EMだけだと、どんなデッキになるんですか?」

「モンスターたち見てもらうとわかるけど、みんな攻撃力や戦闘に関する効果を持ってるだろ?だからローレベルのビートダウンデッキになるよ。あ、ビートダウンっていうのは、相手のモンスターの能力を下げたりして戦闘を有利にして戦うデッキのことなんだ。初めはヘイタイガーとかペンデュラム・マジシャンでモンスターをサーチして、シルバー・クロウたちで攻めていくのが基本になるかな。なんといっても半分以上がペンデュラムモンスターだから、大量召喚ていう手もあるし。モンスターが並べば、シンクロやエクシーズにもつなげられるしな」

「なるほど、使いやすいデッキなんですね」

「そう、使いやすいのが最大の魅力だな。それにもとはアドバンス召喚のテーマだったし、地力が高いのも魅力だよ。ペンデュラム召喚が封じられてもロービートに切り替えられたり、ジョーカーの効果を使ったりできるからさ。だから、第一弾パックの看板テーマに選ばれたんじゃないか?」

「そっか……それに榊先輩が使ってるテーマでもありますしね。ペンデュラムといえば榊先輩ですし、わかりやすいのかも。このパックが発売されたら、みんなEM使うかもしれないですね」

「そうだよな!おれ、その日がくるのをずっと楽しみにしてるんだ。できたら比嘉にも使って欲しいけど、こればっかりはおれじゃ決められないし、そろそろ他のテーマにいこう」

「え?EMで回さないんですか?」

「あー、デッキ?そうしてくれるならおれもうれしいけど、全部のテーマを回してると帰るの遅くなっちゃうぞ?」

「あ、ほんとだ。もうこんな時間」

「だから、あと3つテーマがあるし、説明だけ先にしてデッキを回すのは1つ選んでもらおうかと思ってさ。のこりは明日でもいいし」

「わかりました」

「それじゃ、次は新規カードがペンデュラムカードのやつらだな」

「そんなテーマもあるんですね」

「それぞれ得意な特殊召喚が違うから面白いよな。ペンデュラムモンスターが入ったことで、EMとは違った動きができるようになってる。やっぱカードを販売してるとこは、そういうテーマを考えるのが上手なんだなって思ったよ。プロって凄いよな」

「でも、そのきっかけを作ったのは榊先輩ですよね?」

「え?あ、うん、そうだな。ありがとう」

「?」




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