Scrap match 2

遊矢は電卓を叩いた。


「Mr.比嘉のカードガンナーの攻撃力は1900、わたくしのカードガンナーの攻撃力は400です。わたくしのカードガンナーは破壊されてわたくしは戦闘ダメージを受けますね。攻撃力の差がわたくしの被るダメージとなりますので、1900−400=1500ポイントのダメージ。よってわたくしのLPは4000−1500=2500となります。カードガンナーが破壊され墓地へ送られたこの瞬間、わたくしはカードガンナーの第二の効果を発動します。どうされますか?」

「うう、なにもできないです」

「わかりました。わたくしはカードガンナーの第二の効果により、デッキからカードを1枚ドローします。ここからがエンタメデュエルの真骨頂!見せ場となりますね。わたくしのフィールドには伏せカードが1枚のみ。この危機を乗り越え大逆転となるのか!?とくとご覧ください、これで逆転のカードがひけるかどうか。もしも引き当てられましたら、ご喝采と行きましょう。それでは、ドロー!ははっ、これはおもしろいカードがひけました。次のターンが楽しみですね」

「でもダメージは受けてもらいました!僕はバトルフェイズを終了します。メインフェイズ2でカードを2枚セットします。なにかありますか?」

「いえ、大丈夫ですよ」

「それでは、僕はターンを終了します」


【遊矢 LP2500】
【比嘉 LP4000】


「それではわたくしのターンですね。ドロー!よし、今日のわたくしはどうやら来ているようですよ、Mr.比嘉。メインフェイズに移行します。わたくしはスクラップ・キマイラを通常召喚します!」

「うわ、やっぱりいいカードひいてたんですね」

「ええ、勝利の女神はわたくしに微笑んでくれているようです。わたくしの展開を止める術はありますか?Mr.比嘉?」

「あったら宣言してますよー」

「それでは、拍手でお出迎え下さい。わたくしはスクラップ・キマイラの効果により、本日のキーカードにして主役!スクラップのトリガー!スクラップ・ビーストを特殊召喚いたします。さて、どうしますか?」

「さっそくですね!ですが僕はまだ発動しません」

「おや、その伏せはブラフでしょうか。しかし、ご期待に添えるのはわたくしのモットーですからね!それではさっそく参りましょう!わたくしはレベル4のスクラップ・ビーストとレベル4のスクラップ・キマイラでオーバーレイ・ネットワークを構築!炎と水の相反する力よ、合成禁術(アンチマター)により新たなる侵略の先鋭となれ!エクシーズ召喚!燃え上がれ、ラヴァルバル・チェイン!さあ、どうしますか?」

「僕はこの瞬間を待っていました!僕はチェーンして、強制脱出装置を発動します!対象はもちろんラヴァルバル・チェイン!エクストラデッキに戻ってもらいましょうか!」

「おっと、これは手痛い。せっかくのエクシーズ召喚が潰されてしまいましたか。ラヴァルバル・チェインはエクストラデッキに戻ります。本当はとっておきたかったのですが、しかたありませんね。わたくしは手札から死者蘇生を発動いたします」

「えっ!?もう持ってたんですか、死者蘇生!ああもう、間違えた!」

「あはは、二段構えは常套手段ですよ、Mr.比嘉!もちろんわたくしが蘇生するのは、Mr.比嘉の墓地にあるスクラップ・ゴーレムです!攻撃表示で召喚しましょう!一応聞きますが、なにかありますか?」

「僕の魔法罠にはなにもないですよ!」

「そうですね、知ってました!わたくしはスクラップ・ゴーレムの効果を発動いたします。対象はもちろんスクラップ・ビースト!」

「今度はシンクロ召喚ですか?!」

「ご名答、しかしわたくしはこれでメインフェイズを終了します。そしてバトルフェイズに移行しましょう。そのまま2体で攻撃宣言を行います。さて、なぜだかわかりますか?」

「えっと……レベル9のシンクロモンスターは……あ、そっか、このままの方がダメージ大きいからですね。やみくもにしちゃだめってことか」

「その通りです。メイン1よりもメイン2の方が妨害されにくいという利点もありますからね。最初のようにエクシーズしたあとで攻撃したら、場には1体しかありません。なのにバウンスや破壊をされては手痛い失態となりますからね。こういう判断もだいじなのですよ、Mr.比嘉。さあ、どうしますか」

「ここはライフで受けます!」

「潔い返事をありがとうございます。そんな姿勢は嫌いではありませんよ。それではわたくしはスクラップ・キマイラでMr.比嘉のカードガンナーを破壊します」

「僕は1700−400=1300のダメージを受けます。そして、墓地に送られたカードガンナーの効果により、デッキからカードを1枚ドローします。なにかありますか?」

「いえ、やめておきましょう。さあ、あがいて見せてください、Mr.比嘉。あなたはここで終わるような人ではないはずですよ。続いてスクラップ・ゴーレムでダイレクトアタックです」

「さらに2300のダメージだから、僕の残りライフは4000−1300−2300=400ですね」

「それではバトルフェイズを終了し、メインフェイズ2に入ります。わたくしはレベル4のスクラップ・ビーストにレベル5のスクラップ・ゴーレムをチューニング!集え、打ち捨てられし屑鉄よ!その価値を否定した者たちを破壊する双頭の咆哮となれ!シンクロ召喚!来たれ、スクラップ・ツイン・ドラゴン!さあ、その手札でわたくしの布陣を崩せますか?」

「やってみなくちゃわかりませんよ、榊先輩!」

「いい返事です!期待してますよ、Mr.比嘉。あなたは何度もわたくしの想像を超えるスピードでデュエルを吸収してきましたからね。正直、とてもわくわくしてるんですよ!わたくしはカードを2枚伏せて、これでメインフェイズ2を終了いたしますね。そしてエンドフェイズに行きますが?」

「どうぞ、つぎはこっちの番です!」

「それではわたくしのターンは終了ですね。その残りわずかなライフで魅せてください!できるものなら!」

【遊矢 LP2500】
【比嘉 LP400】

「まだ僕のライフは尽きていません!だから僕は諦めません!いきますよ、榊先輩。その運命力っていうのが僕にあるのかはわかりませんが、それにかけてみようと思います。ドロー!」

遊矢は、お、と思った。比嘉は初心者のため、表情がでやすい。だから今の手札がそうとういいのは分かっていたから、ちょっと大げさに追い詰めてみたのだ。ドローしたとき、比嘉の目がとても輝いた。どうやら勝利の女神はがんばる子の方がお好みのようだ。

「僕はメインフェイズ1に入ります。僕は手札からスクラップ・キマイラを召喚します。なにかありますか?」

「いえ、ありません」

「召喚に成功したので、効果を発動します。墓地からスクラップ・ゴブリンを特殊召喚しますが?」

「どうぞ、何ができるか見せてください」

「はい!僕はレベル3のスクラップ・ゴブリンにレベル4のスクラップ・キマイラをチューニング!シンクロ召喚!僕はエクストラデッキより、起死回生のシンクロモンスターを呼び出します!僕はスクラップ・デスデーモンを特殊召喚します!」

「おやおや、本気ですか、Mr.比嘉?スクラップ・デスデーモンの攻撃力は2700、しかもバニラモンスターですよ?スクラップ・ツイン・ドラゴンの3000を超えられるとは思いませんが?」

「もちろんこのままじゃ無理です。でも、なにもなしで召喚したわけじゃありません!」

「そうですか、ならば阻止させていただきましょう。わたくしは手札を1枚捨て、チェーンして通常罠の因果切断を発動します!相手フィールドに表側表示で存在するモンスター1体を選択してゲームから除外します!もちろん対象はスクラップ・デス・デーモン!」

「それだけはダメです!僕はさらにチェーンして、手札より速攻魔法スクラップ・スコールを発動します!自分フィールドに表側表示で存在する「スクラップ」と名のついたモンスター1体を選択して発動します。自分のデッキから「スクラップ」と名のついたモンスターを墓地へ送り、カードを1枚ドローします。そして、その選択したモンスターを破壊します!」

「それはスクラップ最強のトリガーカードではありませんか。そうはさせませんよ、Mr.比嘉。その厄介な効果は使わせません!わたくしはさらにチェーンして月の書を発動します!対象はスクラップ・デス・デーモン!裏側守備表示なら効果は発動できませんね」

「うあっ、またですか……。ああもう、また防がれちゃった。えーっと、どうなるんでしょう、これ?」

「そうですね、処理していきましょうか。まずはスクラップ・デスデーモンが月の書で裏側守備表示になります。ですからMr.比嘉のスクラップ・スコールは不発に終わりますね。しかし、次の因果切断も表側表示のモンスターが対象ですから不発に終わります。つまり、シンクロ召喚には成功しましたが、裏守備表示ですね」

「あ、除外されてないんですね?」

「ええ、そうですが?」

「よかった!続けてもいいですか?先輩」

「おっと、まさかまだ奥の手が残っていましたか。これはミスりましたかね」

「えへへ、見ててください、榊先輩!僕がしたかったのはこれです!僕は手札から簡易融合を発動します!」

「簡易融合……ちょっと待ってください。たしかエクストラデッキには素材用のバニラ融合と……」

「お、もしかしてするのか比嘉くん。柚子が融合もいれろっていうから、急きょ仕込んでみたんだが、まさかなあ」

「岩石族だからっていれたけど、まさか役に立つなんてね」

「僕は墓地のスクラップ・ゴーレムとこのスクラップ・デスデーモンを融合します!大地を護りし岩人よ、今漆黒と交わりて、大地におりたて!融合召喚!現れ出でよ、E・Heroダークガイア!さあ、止められますか、榊先輩」

「もうわたくしは罠も魔法も使い果たしました。なにもありません」

「このモンスターの攻撃力は融合素材のモンスターの攻撃力を合計した数値となります。スクラップ・ゴーレムは2300、スクラップ・デスデーモンは2700なので、攻撃力は5000となります。僕はメインフェイズを終了し、バトルフェイズに移行します。いきますよ、榊先輩。僕はスクラップ・ツイン・ドラゴンを攻撃します!なにかありますか?」

「いえ、ここは正々堂々受けて立ちましょう。これでわたくしのスクラップ・ツイン・ドラゴンは破壊され、ダメージを受けます。5000−3000=2000ですから、わたくしの残りライフは500ですか」

「やった!」

「ですがまだ終わったわけではありませんよMr.比嘉。死ななきゃ安いことを教えて差し上げましょう。わたくしはスクラップ・ツイン・ドラゴンが破壊され墓地に送られたので、効果を発動します」

「あっ」

「あはは、忘れていましたね?そうです、スクラップ・ツイン・ドラゴンの効果により、わたくしは墓地からスクラップと名のついたモンスターを蘇生します。対象は、先ほどコストとして捨てたスクラップ・ゴーレムです。どうしますか?」

「ぜんぜんかんがえてなかったです……しまったっ!でもなにもできない……僕はバトルフェイズを終了します。メインフェイズに入ります。なにかありますか?」

「いえ、どうぞ」

「あっちゃー……すっかり忘れてました。そうですよね、榊先輩が次の手を考えてないわけがなかったです。僕もまだまだだなあ。僕はメインフェイズを終了します。ターンエンド」

遊矢は笑った。

「もうしわけありません、Mr.比嘉。ですがわたくしも遊勝塾の先輩としてまだまだあなたに負けるわけにはいかないのです。さあ、フィナーレを行きましょう!わたくしのターン、ドロー!わたくしはメインフェイズに移行します。わたくしはスクラップ・ゴーレムの効果を発動します。蘇生するのはスクラップ・ビースト。攻撃表示でMr.比嘉のフィールドに特殊召喚します。なにかありますか」

「なにもありません」

「それではメインフェイズを終了いたします。そして、バトルフェイズに移行します。では、バトルといきましょう!わたくしはスクラップ・ゴレームでスクラップ・ビーストを攻撃します」

「通します。やっぱり榊先輩は凄いですね、僕ももっとがんばります」

「ええ、期待していますよ。今回の敗北を糧にして、頑張ってください」

「はい。2300−1700=600、僕のライフは−200になりました。僕の負けです。ありがとうございました、榊先輩。とっても楽しかったです!」

「こちらこそありがとうございました。はじめてデッキに触ったとは思えないほどでしたよ。ついつい熱が入ってしまいました、大人げなくてもうしわけありません。シンクロ召喚も融合召喚もエクシーズ召喚もよくできていましたよ」

「ほんとですか?ありがとうございます!」


prev next

bkm
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -