雨の日3
男の子はお母さんにかけ寄ると、嬉しそうに手をつないで帰って行った。
「ほらね」
「こんなところにいたのか」
上を見上げれば傘をさしたカエルがふわりと笥朗の前に降りてきた。
「じゃのめじいさん」
「女将さんに言われての」
そう言って差し出された傘。
「お前さん、雨が降るっってラジオで聞かなかったのかい?」
「聞いたわよ。なのに笥朗ったら持たずに行くんだから」
「じゃろ。わしが飯食いに来たのにこんな使いじゃ。まあ、女将さんには世話になっとるし。探していたらお前さんの歌声が聞こえてきての」
「まさにお迎えうれしいなだね」
笥朗は傘を受け取る。開けばぱんっといい音がなった。
「さて、帰りますか」
あめあめ、ふれふれ。
雨音響く中、歩くこんな日も悪くない。
「ギターの弦買ったりしたらお金なくなっちゃった。じゃのめじいさんご飯おごって?」
「…お前さんはもう少し稼いでこい」
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