星に願いを(兵+竹)
「はち、星見に行かないか?」
「星?なんで?」
「……お前、今日何の日か知らないのか」
「今日……あっ、七夕か!…………へぇ」
「なんだよ」
「いや、兵助が七夕だから星を見に行こうなんて珍しいこと言うなと思って。勘とか雷蔵が言うなら納得なんだけど」
「たまには俺だって風流ってもんを味わいたい時があるの。ほら、さっさと行こうぜ」
「はいはい」
* * *
「うわ…」
「……………」
「すっげぇ星…降ってきそうだ」
「……………」
「なぁ兵助、綺麗だな!」
「……………」
「…なんだよ、お前から誘ってきたのに感動の少ねぇ奴」
「はち」
「ん?」
「織り姫と彦星って幸せだよな」
「あれってハッピーエンドな話だったか…?」
「一年に一度しか逢えないのは確かに自業自得だよ。でも、一年に一度は必ず逢えるなんて…羨ましいと思わないか」
「…兵助?」
「俺らだって今は毎日会ってるけどさ、卒業したら…」
「……………」
「そんな顔すんなよ。悪かったな、変なこと言って」
「…………兵、」
「あ」
「?」
「今…流れた」
「…何か願えたか?」
「まさか。あんな一瞬で三回も願えるなんて土井先生と一年は組ぐらいだろ」
「ははっ 確かに」
「なぁ、はち」
「分かってる。来年もまた来ような」
「来年は…みんなで」
願わくば
この時間が少しでも長く続きますよう
『星に願いを』
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