シャルとの日常




私はいつもシャルに髪を梳いてもらう。

毎朝、シャルは私の髪を梳く。


それが私の、シャルとの日常。















朝起きて、隣にあるシャルの部屋に向かう。

私が部屋を出ると、決まってシャルはおはよう、と言い自分の部屋まで手を引いてくれた。



「はい、座って。」


ソファに座る。
シャルのはとてもふかふかで座り心地がいい。


「髪、触るよ。」

「うん。」


私の床にまで着きそうな髪をシャルはふわっと持ち上げた。


「あれ、シャンプー変えた?」

「昨日はパクに洗ってもらったの。」

「なるほどね。なんか香りが大人っぽいと思った。」

「大人っぽい?」

「えっとね、パクみたいな雰囲気の女性の事かな。」

「包まれる感じ?」

「うん、まぁ…そんな感じ。ルーエルには似合わないね。」


ははっと笑うシャルに、私は頬を膨らます。

「いつかパクみたいになるもん。」

そう言うと、



「ルーエルはルーエルのままでいいよ。」



と言ってくれた。



「今度ルーエルに似合いそうな香りのシャンプー盗ってきてあげるよ。」

「とる?」

「あー…と、買ってくるって意味ね!」


何故か焦るシャルに、私は首をかしげた。






よし!という声と共に髪が下ろされる。


「終わったよ。」

「ありがとう。」




“じゃあ、勉強しよっか。”




こうして、私の1日が始まる。






* *






「よし、今日はここまで!」


パタン、と本を閉じる音がした。

よいしょっとシャルが立ち上がる。
手を引かれ、私も立ち上がった。



「ルーエル、これから出掛けるよ。」


「出掛ける?」

「そう、皆でお出掛け!」



ホームに来てから数ヵ月。


私は一度も外に出たことがなかった。

目が見えないし、特に外に行く必要もなかったから。



だから、皆とお出掛け、と聞いて私はすごくワクワクしたんだ。





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