不本意な留守番

side:フェイタン
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団長達が魔女の集落に行てる間、ワタシ何故かルーエルのお守り任されたよ。

またくもて迷惑ね。


「きゃっ」



・・・・。




結局傍にいるワタシもワタシか。








*







「ふん、お前転けるのが趣味か。どんくさ過ぎるよ」

転けかけたルーエルの腕を掴みながら嫌味を吐けば、ぽけーとした顔から次第に笑顔に変わる。


―――コイツ、嫌味言われてるの分かてないか。


そんなお花飛んでるコイツに眉を寄せれば、

「フェイタン、いつも転けそうになったら腕、掴んでくれる」

「……。」

嬉しそうに笑うルーエルに溜め息を吐いた。

「……ふん。たまたまよ。
それより、どこ行くか。
仕方ないから連れててやるよ」



いつの間にか居ることが当たり前になたルーエル。
ワタシ達、蜘蛛という集団の中で穢れを知らない真白なコイツが笑てる。

何故か違和感はなかた。

始めは勿論反対だたね。
こんな奴いても何の役にも立たない拷問も出来ないその上会話も成り立たない。

ヘラリと笑う姿が無性にイラついた。





特に何かするわけでもなく、ホールのソファに腰掛けて本を読んでいた。

隣にはルーエル。
いつもワタシが本読でる間、黙て隣に座てる。

邪魔してこないのは有難い。
まぁ、邪魔してくるならささと部屋閉じ込めるね。


ぱらり――…

ページを捲る音だけが響く。
不意に右肩に掛かた僅かな重みに、顔を上げた。

「(寝たか――…)」

もはや当たり前になたこの流れ。
ワタシは小さく息を吐くと、本を机に置いた。




* *




そとベッドに下ろしてやるとルーエルは小さく唸り身を捩らせた。
一瞬起きたか思たけどまた寝息を立て始めた事に安堵する。

「……。」

気持ち良さそうに眠るルーエルに自然と口角が上がてるのに気付き、ワタシはすぐに眉間に皺を寄せた。

ベッドの側にある椅子に腰掛け、読みかけだた本をもう一度開く。



静かな空間。
いつもどこか冷たい空気を纏うホームが、ルーエルがいるだけで不思議と柔らかく暖かかた。

そんな空間を、柄にもなく心地好いと感じているワタシも、もうおしまいね。




「フェイタン」

どれくらいの時間が経ったか。
うすらと目を開けたルーエル小さく笑いながらワタシの名前を呼んだ。

読んでいた本を閉じる。

「起きたか。お前、ホールで寝るの趣味か。
毎回毎回運ぶの大変よ。」

サラリといつもの嫌味を言うが、やぱりルーエルはヘラリと嬉しそうに笑た。

「何の本読んでるの?」

「拷m……お前には関係ないね」

「?」


危ない。本当の事言うとこだたね。


――――?

危ない?何故ワタシそう思たか…
普通に拷問の本だと言えば良かたよ。

何故躊躇したか…





…。


ハッ。ワタシも大概ね。



『ルーエルには綺麗なことだけ知ってて欲しい』



なんとなく、みんなの気持ちが分かたよ。



「じゃあ、読み聞かせて!」

「は?何でそうなるか。
というか、読み聞かせなんて言葉どこで覚えたね」

「クロロがね、読めないなら耳で聞けばいい。皆に読み聞かせてもらえ、って」

「…………」

またく余計な事しか言わない団長ね。
大人しくプリン食べてればいいものを。


読み聞かせ…
さすがにこの本じゃ不味いね。

何か――――…!

1つだけあた気がするよ。


あの本、まだ残てるか…?



* * *






確か、ここら辺に…


…!

あた、







* * *




キィ――と、ゆっくり扉を開ける。

「フェイタン?」

ルーエルの不安そうな声に、返事の代わりに傍に座り本のページを捲た。

「むかしむかしあるところに...」


ワタシが持てきた本は

【塔の上のラプンツェル】


昔団長が価値のある本だと美術館から盗んで来たものだ。
ワタシも初めて読んだが…


塔の上に閉じ込められたお姫様。
いつも塔の上から歌を歌い、外の世界を知らないお姫様を、盗賊の男がさらっていく。
そのお姫様と盗賊は恋に落ちて色んな試練を乗り越え、

めでたしめでたし。


どことなく、ルーエルとワタシ達に重なると思た。



ーーま、恋に落ちるとか馬鹿馬鹿しすぎよ。




「……。」

いつの間にかまた眠てしまたルーエルに布団を掛け、ワタシは枕元に本を置いた。

そのまま音を立てない様に部屋を出ていく。





頭の片隅で、ルーエルの歌声が響いた気がした。











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