斎藤先輩とわたし | ナノ
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導火線に火がついた


助手席のシートを倒して見下ろせばなまえが吃驚したように俺を見つめた。薄く開いた薄桃の形のよい唇を強引に塞ぐ。リクライニングを引いた左手は緩いトップスの中へ潜り込ませ、下着の上から胸をまさぐる。
いつもと違っている事は己で解っている。なまえが息を飲む気配がした。
眼を見開きなすがままになる彼女が、俺の自制心を毟り取っていく。息継ぎに少しだけ唇を離して呻くように訴えた。

「抱いていいか」

え、ここで、と言いたげな彼女を無視した俺の手は、心の逸るまま憑かれたように動く。
河川敷の脇道。辺りはまだ暗く、夜明け前のこの時間に人通りがあるとは思えないが、車の横を歩かれたら丸見えだ。覗かれはせぬか気が気ではないと、常の俺ならばそう考えるところだが、今はそのようなことが念頭に上る暇がない。直ぐにこの身が欲しい。
動揺するなまえの唇に、角度を変えてまた口づける。エンジンを切った車の中は急激に冷えていた。
強引に唇を割って入り込み、容赦なく咥内を蹂躙する。追いかけて捉えた舌を絡め取り、強く吸い上げる。嚥下しきれない唾液が彼女の口端から垂れていくのを、ぞろりと舐め上げて再び食らいつけば、息が出来ずに、んんっと苦しげな声を喉から漏らす。名残惜しく思いながらも顔を離した。
頬に右手を当て、息の上がった濡れた唇を親指でなぞる。潤んだ瞳で見上げる彼女にどうしようもないほどに雄が疼く。
何という目で見るのだ。
なまえは本当に何も解っていない。
雪村という後輩と彼女が戯れていたことに嫉妬したわけではない。開き直ってそう言ってやりはしたが、本心はそのような事などどうでもよかった。

「三週間も逢っていない。やっと、」
「私、別に千鶴ちゃんとは、そんな、……え?」

同時に発した俺の言葉に、なまえが言葉を詰まらせた。

「彼女は関係ない」
「……、」
「いつもあんたを、どれ程求めているか、」

箍の外れた俺は、行動も言動も制御できない程に昂ぶる。求め焦れる劣情に、理性などとうに捨て去っていた。





ふいに耳元に寄せた唇から漏れる言葉が吐息を纏って耳朶を擽り、私の肩がびくりと跳ねた。
甘噛みしながら直に鼓膜を震わす声は上擦っていて、こんな斎藤さんは珍しいと思う。逢う日に身体を重ねるのはもう当たり前の事になっているし、慣れている筈なのに心臓がドキドキと早鐘を打っていた。
斎藤さんは私と二学年しか歳は違わないのに、大人の余裕たっぷりでいつもクールな雰囲気を纏っている。夜になると少し天然の入ったS気質を発揮して求めてくるけれど、振り回されるのはいつだって私ばっかりで、彼の方はたいてい表情をあまり変えない。
だけど首筋に顔を埋めている今の彼は、いつもと違って見える。思いがけずに身体の芯がずきんと疼くのを感じた。
斎藤さんの手がまた動き出す。





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2014.07



導火線に火がついた

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Loved you all the time