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勝利の女神


二階の窓から入り込む午後の陽光がガラス越しにもじわじわと肌を焼き、冷房を掛けた教室でも薄っすらと汗ばむ。夏休みとは言っても休み明けすぐのコンクールの為に私達吹奏楽部は毎日こうして学校に通っていた。
わたしの楽器はアルトサクソフォーン。アルトがもう一人、テナーとバリトンとがそれぞれ二人で音を合わせていたのだけれど、一時間以上もパート練習を続けていてそろそろみんなの集中力が途切れ始めていた。ふいにバリサクの後輩が窓の外を見て声を上げる。その声にテナーの子も一緒になって窓を開け放つ。

「あ、双璧が出てきましたよ!」
「ちょっと、窓開けたら、」
「やだー、今日もかっこいい」
「冷気が逃げるよ」
「あ、今日も走るんだ。見に行きたい!」

一気に興奮したみんなが鈴なりに窓に張り付く。誰も私の声なんか聞いていない。
この暑いのに窓際に譜面台なんか置いちゃってたのは、この時を待ってたからとわかってはいたけど。わたしがそそくさと窓を閉めれば。

「3時から音楽室で全体練習だからここらで休憩しておきませんか」
「そうだね。アイス買いに行こ」

みんながみんな私にお構いなしに首からストラップを外し楽器を机に置いていそいそと教室の出口に向かう。

「あれ、なまえは行かないの?」
「わたしはいい……外暑いもん」

同級生の友人が振り返るのに殊更に興味のないふりをしてペットボトルのぬるくなったお茶を一口飲んだ。
彼女達の目的はこうだ。校門のすぐ外のコンビニに行くついでに、剣道部の走り込みを見て来ようと言う腹だ。
「みょうじ先輩の分もなにか飲み物買ってきますから」とはしゃぎながらみんな出て行き、残されたわたしは3キロもあるサックスを手にしたままぼうっと窓の外を見下ろした。
わたしはみんなのようにあの人気者の双璧とやらに出来るだけ近づくことをしたくない。
光化学スモッグも出ようという猛暑でも、濃紺の胴着と袴を身に着けた斎藤主将と沖田副主将の率いる剣道部がグラウンドに出てくれば、見学組の女の子達がぞろぞろと体育館から移動してくるのが見える。
剣道部はお盆明けに迫った秋季大会に向けて毎日午前中から部活をやっているようだ。
よく体力が持つな。
昼過ぎに学校に着いて音楽室に向かうとき昇降口の近くの体育館では熱気のある声が響いていた。開け放った扉を思わず覗けば、一と総司の二人がちょうど切り返しをしているところだった。
物凄い気合いの声と力強い竹刀の動きに速い足さばき、わたしにもあの二人がどれだけ強いかがわかる。思わず立ち止まって見入ってしまったのは誰にも内緒だ。
完全にスターなんだよね。
そんな彼らとわたしの関係がバレたらいろいろとやりにくくなりそうだし、それに……。

「あ、いたいた」
「へ?」

ガラガラとさっきみんなが出て行ったばかりの後ろの戸が開いたと思うと意外な人が教室に入ってきた。
紺一重の剣道着の首にタオルをかけて汗を拭いながら上履きの踵を踏んでペタペタと近づいてきたのは総司だった。

「あれ、なんで? 下にいたよね?」
「うん、下からこの窓になまえが見えたからさ、上がってきた」

もう一度窓から見下ろせば一がこっちを見上げていた。遠いのにその視線はまるでわたしの瞳を貫いているみたいだった。
わたしが目を逸らすよりも早く彼は身を翻し数人の部員達とグラウンドのギャラリーで階段ダッシュを始める。
わたしの隣に並んで一緒に見下ろしていた総司がくすくすと笑いながら言った。

「この暑いのによくやるよね。一君が苛つくのはわかるけどさ」
「え?」
「ダッシュなんかよりも切り返しや面打ちしてた方がまだ効果があるのにな」
「総司はサボッてるわけ」
「違うよ。ねえ、一君があんなになってるのなんでだかわかる?」

総司が悪戯な目で私に問いかける。そんなのわたしにわかるわけがない。
一と総司、そしてわたしは同じ中学だった。それだけではなく小学校も幼稚園も同じ。実は家も近所の所謂幼馴染みと言う関係なのだ。
中学入学と同時に俄然モテ始めたこの二人と一緒に登校していた中学時代、わたしは彼らの熱烈なファンから一時期苛めに遭ったことがある。わたしはそのことを誰にも打ち明けなかった。
その代わり奇しくも同じ高校に進学してしまってからは一からも総司からも距離を置くようにしてきた。特に学校では。だから吹奏楽部の子たちも勿論このことは知らない。
部活で登校時間も帰宅時間も違うおかげでわたしはこの二年半をなんとか平和に過ごしてきたのだ。

「知らないよ、そんなこと。ねえ、出てってよ」
「なに、冷たいんだね。僕のハニーは」
「は? なにそれ、意味不明。とにかく出てって」

尚もにやにや笑う総司をグイグイと押して無理矢理教室から追い出した。

「照れちゃってなまえはほんと可愛いよね」

手をひらひらさせて振り向きつつ去っていく総司に顔を顰めて見せて、素早く辺りを見回し誰も居ないのを確認すると教室の戸をぴしゃりと閉めた。
何よ、何なのよ、人の気も知らないで。
でも総司と話したのはずいぶん久しぶりな気がするなと懐かしい気持ちにもなった。
そしてグラウンドから見上げた一。彼と目を合わせたのもいつぶりかな。
だけど。
ずっと避けてきたのは自分の方なのに冷たく視線を逸らされたことが、それがわたしの心のどこかに小さな傷を落とした。
待て待て。剣道部だけじゃない、わたしたちだってコンクールを控えてるんだ。
これでもわたしはサックスのパートリーダーなんだから余計なこと考えてないでちゃんとしなきゃ、と気を取り直し慌て気味に譜面台の前に座ればうっかり机の上からバッグが床に落ちる。
転がり出たリードケースを拾い上げてふと気づく。
リードが一枚足りない。あれ、何で? どこでなくしたんだろう?





剣道の稽古に無駄なものなど一つもない。総司は互角稽古ばかりをしたがるが俺は打ち込みも後輩の引立て稽古も、こうしてスタミナや回復力を鍛える為の走り込みとて無下に思ってはいない。
高校最後の大会に向けて俺は必死だった。
とは言え今日の気温は高すぎる。全身汗だくになってぜいぜいと息を上げる部員達を、ばつの悪い思いで眺め遣った。
グラウンドに出てくるなり総司が見上げたのは音楽室の並びの空き教室。そこで吹奏楽部のなまえが練習をしていることは俺も知っている。「ちょっと行ってくるね」と悪びれなく笑った総司の背を苦々しく見送った。
流れる汗を拭いながらちらりと見上げればその窓にはもうなまえも総司も見えない。
幼馴染み。
そのような曖昧な関係は容易く壊れてしまうのだ。
中学時代のある時期からなまえと俺の間には目に見えない隙間が空いたように思っていた。それは高校進学と共に確実に広がったように感じた。
なまえが実際にどう考えているのかなど皆目わからないが、この夏が終わり部活を引退し受験のみに向き合うようになったら、そして進学すればもう取り返しがつかない程に遠ざかってしまうのだろう。
家人が全て出払っている俺の部屋で夏休み中の練習メニューを総司と作成していた時のことだ。
メニューを書き入れたノートに向かう俺に背を向けて、総司は何かを指で弄びながら窓の外を見ていた。

「今年は優勝を取りに行く」
「うーん、優勝したいのはやまやまだけどね」

大会では俺達の高校と並ぶ実力のあるシード校がいつも立ち塞がっていた。トーナメントで勝ち上がれば必ず当たる事になっている。三年生の引退試合となる秋季は一年時も二年時もそこに破れている。
練習にダッシュを取り入れることを主張した俺に総司が異を唱えた。
基礎体力にも重きを置く俺と試合稽古で技を磨くことを良しとする総司との間にはこのような齟齬が常にあった。
窓辺で振り返った総司がずっと指先に挟んでいた薄い切片のようなものの先に、まるで煙草か何かのようにおもむろに唇を寄せる。それはなまえがサクソフォーンを演奏する時に使うリードだ。その姿は俺を動揺させるのに十分だった。

「ねえ、一君。なまえのこと、どう思ってるの?」
「い、今そのようなことを……」
「僕はなまえを好きだよ。君もでしょ?」
「…………」
「ねえ、賭けをしない?」
「なんだと?」
「一君の案を通していいよ。その代り主将として必ず優勝させてよ。もし出来なかったらその時は」
「賭けなどと不謹慎な事を言うな。そもそも剣道は邪な考えで勝てるようなものではない」
「御託はいいよ。勝てなかったら僕がなまえをもらう」
「何を言っている? そのようなことはなまえの意思もあることで」
「僕ね、なまえとキスしたことがあるんだ」
「…………」
「どう一君、この賭けに乗る?」

中学時代にも吹奏楽部に所属していたなまえがサクソフォーンを吹くところを見たことがある。マウスピースにリードを装着しそれに唇をつけたなまえの姿が目に浮かんだ。
あの唇にこの総司が? 触れたと言うのか?
俺は長い間目を背けてきた己の気持ちを初めて自覚する。瞬時カッと頭に血が上った俺は前後も考えずに総司の挑発的に笑った瞳を見据え諾と頷いた。
大会に勝ちたい。そして、優勝できた暁には。
常にはしない考えに捉えられた俺の頭の中はその時確かに尋常ではなかったのだと思う。





お盆の間は部活も休みで久しぶりに友達と出掛けて帰ってきたわたしに母が言った。

「今日ね一君から電話があったわよ」
「え?」
「剣道の大会を見に来てくれって。一君、あんたのスマフォの番号知らないの?」

母の声は途中からもう聞こえていなかった。わたしの心臓はドキドキと打っていた。
そんなことを一がわざわざ言ってくるなんて部活を始めた中学時代から5年以上になるけど初めてだ。その電話が総司ではなくて一からだったということにわたしの胸の騒めきはずっと治まらなかった。
双璧ファンが大勢駆けつけるだろう大会にわたしがのこのこ行ったりしたら、どういう風の吹き回しだときっとみんなが驚く。とても行きにくい。だけど。
あの時グラウンドからわたしを見上げた一の射るような瞳が甦ってくる。
そして一週間後、その日は来た。
この日の部活は休みの子が多過ぎて全体練習はとても出来る状態じゃなかった。
誰にも誘われなかったわたしは独りで例の教室で練習をしていたけれどさんざん迷った挙句、ついに我慢しきれなくなって午後をかなり過ぎてから試合の行われる会場に向かった。
試合はトーナメントの勝ち上がり方式だ。一たちは優勝候補の筈だから最後の試合が見られればいいと思ったのだけれど、到着した時にはまさに決勝戦が始まる寸前だった。
中学時代には幾度か試合を観戦したことがあるけれど迫力が桁違いだった。



先鋒総司が開始早々放った面で一本勝ち、続く次鋒も小手で先制し幸先のいい試合運びとなった。しかし中堅、副将を取られ全くの五分で迎えた大将戦。
面紐をきつく締めてゆっくりと中央に出ようとする俺の背に総司が囁いた。

「なまえが来てるよ。勝たせてよね、大将」
「…………」

緊張と重圧を抑え心を落ち着かせながら蹲踞の状態で、渦巻いていた想いは主審の開始の声と共に無に帰した。
5分間が長かった。相手の大将の激しい攻めを振り切るのに精一杯で、なかなか有効打突を出すことが出来ないままじりじりと時間が過ぎ、あわや延長戦にもつれ込むかと思われた時。
耳に聞こえてきたのは俺の名を叫ぶ声だった。信じられないその声は、だが、間違うはずがない。この声は確かになまえの……。

――はじめ!!

そうだ、なまえの声が聞こえるなり俺の裡で全ての迷いが消え、最上段に振り上げた竹刀を敵将の面に振り下ろしたのだ。




凄まじい気勢と綺麗なフォームで時間ぎりぎりに一が決めた鮮やかな一本。その瞬間に一たちの初めての優勝が決まった。
審判が鋭い声と共に振り上げた旗色を目にして、私の眼から予期しない涙がぽろりと零れた。言葉にできない感動と言葉にできない「おめでとう」の言葉を胸に仕舞ってわたしは独り会場を後にした。
その翌日練習を終え、ぼんやりと考え込んでいたわたしのところに、一人の部員が興奮気味に駆け込んできて言った。

「みょうじ先輩……っ、さ、さ、斎藤先輩が……先輩を呼んでます」
「……え?」




――はじめ!!

あの時確かにこの声が俺を勝利に導いてくれた。

「あの、はじめ……?」
「あ、ああ、……なまえ?」
「わたしに用があるって……後輩に聞いて」

我に返った俺の目の前に現実のなまえが立っていた。
彼女からずっと避けられていた事は俺の思い違いなどではなかったと思う。俺はズボンのポケットに入れていた指の先にあるものを握り締めた。それはあの試合の後、総司に手渡されたものだ。
なまえが持った楽器のケースに手を伸ばせば彼女は首を振ったが、無言で歩きだせば怪訝そうな顔をしながらも黙って少し後をついてくる。
互いに口を開けずに気がつけば俺の家の前まで帰って来ていた。
この直ぐ先になまえの家がある。
タイムリミットに焦る俺は背後で立ち止まったなまえの顔も見られないまま言葉を押し出した。

「その……ありがとう」
「え?」
「大将戦でなまえの声が聞こえた。試合に勝てたのはなまえのおかげだ」
「あ、あの時……、」
「これは独り言だ。すぐに忘れてくれて構わない。あんたが俺を嫌っていることは薄々解っているゆえ。だが俺は……、」
「…………」
「ずっと、その、幼馴染みとしてではなく……なまえを、す、好いていた」
「…………」

いつまでも何も応えないなまえを振り返れば大きな瞳に涙をいっぱいに溜めている。
初めて見た涙に俺はどうしてよいかわからずに狼狽える。

「な、なにゆえ……っ」
「わかんない、わかんないけど、なんでだろう……、」

ぽろぽろと涙を零すなまえに動揺した俺は玄関の鍵を慌てて開けなまえを中へ押し込む。話したい事や聞きたかった事が一度に霧散する。
家人が留守の冷蔵庫には気の利いたものなど何もなく、俺はミネラルウォーターを手に部屋に戻った。
俺の部屋でなまえはベッドに小さくなって座っていた。
手渡したペットボトルを手に俯くなまえの表情はわからなかったが、涙は止まったようだ。俺は考えなしに感情を押し付けようとした己にほとほと嫌気がさしていた。

「落ち着いたか」
「うん、ごめん、」
「いや、あんたの迷惑も考えずに俺が悪かった。あんたは総司を好きなのだったな」
「……え?」

なまえが弾かれたように顔を上げる。その瞳は心底意表をつかれたような、まるで鳩が豆鉄砲を喰らったとでも言う様な表情をして暫く固まった。

「だ、誰が、そんなこと?」
「違うのか?」
「好きは好きだけど、一を好きなのと意味が違うよ!」
「…………」
「…………」

今度は俺が瞠目する番だった。
固まったままなまえは両手で口元を抑えその目元がみるみる赤く染まっていく。
俺は堪らずに彼女の細い両肩を掴んだ。

「俺を……? す、好きの意味とは? なまえは総司と、キ、キスをしたと、聞いたが……」
「な、なにそれ……っ」
「したのか?」
「ちょ、もう、そんなの幼稚園の時だしほっぺたの話だよ!」

ジタバタと暴れんばかりのなまえの身体を思わず抱き締める。勢いがついた俺の体重が予期せぬ負荷となりなまえはベッドに背中から倒れ、俺は彼女の上にのしかかる格好になった。
唇が触れそうな距離で制止して見つめ合ってしまえば互いの頬がまるで火を噴きそうに発火した。
大きな瞳が俺をじっと見上げている。

「な、ならば、俺もその……キ、キスをしても、いいか」

答えを聞かぬままに目を瞠るなまえの桜色までの短い距離を一息に縮めた。
「ん……っ」と小さく声を漏らしたなまえの初めて触れた唇は甘く柔らかく震える程に俺の心を掻き乱す。
不器用にそっと唇を離し恐る恐る見つめれば潤んだ瞳をして吐息で呟いた。

「わたしも一が好き……。あと、まだ言ってなかった。優勝おめでとう」

泣いてしまいたいほど感極まった俺は、なまえの唇に幾度も己のそれを押し付け、いつまでもいつまでもその甘さに酔い痴れた。





2014/08/11


▼麗様

この度は20万打企画にご参加いただきましてありがとうございました!
大変大変長らくお待たせしましてすみませんでした!
麗さんにいただきましたリクエスト内容は『高校生、部活(斎藤さんは剣道、主人公は吹奏楽)、斎→主、告白有りでお願いします』となっておりました。
今回のお話は夏休みの関係で前回の執筆から長く長く間が開いたせいか非常に難儀してしまいまして、プロットがなかなか固まらず書き始めてからも4日という時間を要してしまいました。そして出来上がったものがこれ……(;´・ω・)それと言いますのも吹奏楽がまた私には未知の世界でありまして。いろいろおかしなところはあろうかと思いますがどうかひとつ┏○ペコッ
削った裏設定についてです。このヒロインさんが斎藤さんを好きになる経緯がとても解りにくいですよね(いつも書き上げてから気づく)
彼女は幼馴染みの二人を避けてきましたがその理由とは別に、いつからかほのかに一君を意識していました。一君の方はこのお話でも当サイトではデフォルトの天然さんキャラとなっておりますので女の子の気持ちなんて全くわかっていません。自分はずっと好きだったけどヒロインさんに嫌われてるのかもとまで思っちゃっています。だけど総司の放った小石が彼の心に大きな波紋を起こしたわけです。
……からの告白を決意!総司もヒロインさんが好きだったんですが彼はきっと「僕ならすぐにきっとまたいい子と出逢える。でも一君はなまえちゃんを逃したら一生浮かばれない」とでも思っていたんじゃないかと思います。キスのことは彼の小さな意趣返し?結果的には発破をかけることとなってしまいましたが。
最後に麗さんにお詫びなのですが、このお話は高校生の恋となっておりますので表現はキスまでで裏シーンは入れられませんでした。リクエスト内容訂正のご連絡後に微裏として承っておきながら大変申し訳ありませんでした。
当サイトは高校生を含む18歳未満のお嬢様の裏作品閲覧を制限させていただいている関係からその旨お汲み取りいただけますと幸いです
この度はリクエストをありがとうございました。

aoi




MATERIAL: SUBTLE PATTERNS / egg*station

AZURE