きみがすき | ナノ






01




恋次君が居たから、私は幸せだった。
どんな時も、恋次君がずっと傍に居てくれた。

だからいつ終わりが来たって大丈夫。

そんな幸せな勘違いをするくらい


私は恋次君の優しさに、包まれていたんだ。






いつものように遣り取りをする。淡々と書類をこなして行く。


これは此処に来てからの変わらない毎日で、気にするような事じゃない。

なかった、はずだ。


「紗也さん」

「はい」

「……何でも、無いっす」

「…………」


だから気にする事なんて何一つない、のに。

恋次君が、こうして云いたい事を飲み込んで行く。
私もそれが解っていて、敢えて見ない振りをする。


そうして……


「紗也さん……」

「阿散井副隊長?……っ」


また、だ……


「ちょっ……待……」


口付けられて躯を辿られる。
荒々しい手付きで躯を弄られて性急に拓かれて行く。

机に押し付けるように俯せにされて、無理矢理足を割られて抉じ開けられる。


「恋――…っ」


恋次君に馴らされた躯は、こんな犯されるような愛撫にも反応していまうのを止められない。


「……厭っ ぁ……っ」

「………紗也」

「………っ」


こんな所で……。

厭だと心が悲鳴を上げるのに、名前を呼ばれるそれだけで、私は否定の言葉を呑み込んでしまう。

恋次君は、朽木さんの処刑が決まった日から、変だ……。

当たり前だとは思うけれど、それは何処か、不安を感じる程だ。


四十六室の決定に、朽木隊長も沈黙を貫かれて居られて、その真意は計り知れない。

朽木さんを結果、捕らえに行った形になった恋次君は、きっと葛藤しているんだろう。


朽木さんの処刑が確定した日。


荒々しい扉を叩く音に玄関に向かえば、その日も会えないままだった恋次君が立っていた。
会えて嬉しいと思う間もなくその場に押し倒されて瞠目した。

こんな恋次君は初めてで、まだ朽木さんの話を知らされていなかった私は、訳が解らないまま一方的な熱に揺さぶられていた……。


どう、して……


何か遇ったなら言って欲しいとただ願う。

恋次君の事なら、全て受け入れられるのに……


無理矢理繋げられて、打ち付けるように。
まるで恋次君の不安を消す為だけのような行為は、私の不安もまた煽り続ける。


いつも十分に与えられる口付けもないまま、速まる律動に恋次君の限界を感じて手を伸ばした、刹那……


「恋、次く……」

「……キア」


果てる―――…


その瞬間に聴こえた音は、間違いなく終わりの旋律だった――…









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