04
「もしかして、此所?」
「もしかしなくても此所だ」
結局。
すれ違う大多数の皆様に、漏れ無く変なヤツだと思われただろう私が行き着いたのは、『黒崎医院』と書かれた怪しげな病院の前だった。
「じゃあ、お世話になりました」
「だから待て」
ガシッと肩を捕まれてもこれだけは譲れない。
面倒事は沢山だ。
だって、此処はっ
あの黒崎君の家だよねっ?
「……一応訊くけど、何で此処」
「今度 襲われた時に助けが必要だろうが」
「…………」
「何だよ」
つい、吃驚した顔で訝しげな視線を向けてしまったら眉根を寄せられた。
「いや、一応は本当に心配してくれてたんだと………痛いっ」
「何が一応だ」
「暴力反対っ……て、ちょっとっ」
やっと放された手をまた取られる。
今度は腰まで絡め取られて身動きも取れない。
「お前には実力行使が一番………って、へぇ」
「何よ……」
免疫無くて悪かったな。
紅くなった顔が恥ずかしくて、文句もまともに出て来ない。
またマジマジと見詰められて居心地が悪いったら無い。
もう、莫迦にするならするでハッキリ言ってよねと睨み付ければ……
「お前、ホント面白ぇな」
そう言って、目付きの悪い死神が酷く優しく微笑うから……。
また文句を言いそびれてしまった。
prev /
next