20
「お前、尸魂界に来る気は無ぇか?」
「……………はい?」
『今日は様子を観に来て下さったんですか?』
言い忘れていたと薬のお礼を告げれば、『いや、それは良いんだけどよ……』と伝えられたのがその台詞。
急ぎの用だと言ったその内容は、驚いた、なんてモノじゃない。
「尸魂界っ?……に、行けるんですか?私が?」
もう直ぐ夏休みなんだろって、そう言う問題じゃない気がする。
「まだ死にたくは無いんですが」
「いや、死なねぇから」
って、いやいや、間違いなく死にますよね!?
「いえ、あの、だったらどうやっ……じゃない、何で私が行くんですか……」
「……だよな」
呆れ目をする阿散井さん然り、何故にと問うた答えは簡単と言うかいい加減と言うか何と言うか……
『ちょっと研究対象になりがてら1週間くらい遊びに来い』?
「そんな近所じゃないんですから……」
「いや俺もそう思ったんだけどよ……」
文句が有るなら阿近さんに言ってくれって、
「今度は阿近さんて誰ですか……」
死神って人達はどうしてこう……、と思った私に罪は無い。
「じゃあ、ちょっと考えといてくれな」
多分、断れねぇ事になるから……
そう言い置いて襖の向こうに消えたのは阿散井さん。
「それって、考えといてじゃないんじゃあ……」
阿近さんがどんな方かは知らないが、はいかイエスの選択肢ってどうなんだと、渇いた笑いが溢れた。
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