19
「「…………」」
気不味い……
と言っても、あの人に感じる気不味さとはまた違う。お互いに、無かった事にする為の糸口を見付けられないだけ。
「っ……」
コトリと用意したお茶を目の前に差し出せば、跳ね上げるように顔が上げられて、やっと阿散井さんと目が合った。
「いや、だからな、」
「あー、ですから。それは本当にもう良いです。……反って、お見苦しくてすみません」
尸魂界って所がどんな所かは知らないし、ルキアちゃんとあの人の彼女さんくらいしか見た事は無いけれど、
ガキの貧相な……あの人がああ言うくらいなんだから、彼方の世界には美人さんや美女達がゴロゴロしていらっしゃるんだろう。
「…………は?見苦しいって何だよ」
「そのまんまの意味です」
だったら、本当に失礼なとは思うものの、阿散井さんだって副隊長さんでこの容姿だし。あの人と同じように、女性死神さん?とやらに嘸やおモテになるんだろうから、それこそ物の数では無いんだろう。
「良いですよね、美女を選び放題……」
「お前、絶対何か良くない誤解してねぇか?」
「してないです」
どころか、アナタ達死神がよーく解って来たところです。
「とにかく、万が一の時はお嫁に貰ってくれたらそれで良いです」
だからもう、頭から消去してくれたらそれで良いと、私なりにこの話を終わらせようと気を遣って云ったのに……
「俺を殺す気かっ」
丁重に断りを入れられた挙げ句、『それだけは勘弁してくれ』と蒼褪めて失礼な事を云うからムッとした。
「失礼ですっ!」
「そう言う意味じゃ無ぇよっ!!!」
死神って奴らは本当に失礼な奴らだと心底思った。
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