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   14


会いたかったと、どうしても口に出して云えない代わりのように、私も子供みたいに抱き付いて離れなかった。

上向かせようとする手の動きを覚って抱き付く腕に力を籠めれば、それを許さない手のひらが頬を包んで、無理矢理合わせられた瞳に驚いた。


『悪ぃ』


今日は大人振ってやる余裕は無ぇ。


『っ…ん、……』


云うが早いか、奔流のように降り注ぐ口唇は止む事を知らず、呼吸を奪うようなキスに涙が滲んだ。

躯を辿る掌が熱い。
これ以上無い程に密着した躯を更にと引き寄せる腕の強さに目眩がした。

止まない口付けから逃げる口唇は、また直ぐにこの人のそれに捕らえられて呼吸を奪われる。
ヌルリとした感触が口腔を辿って、驚いて縮こまった舌を絡め取られた。


『もう少しだけ……』


好きにさせろと、弱い抵抗を抑え込む手に胸が震える。


『も………う、』


苦しいよ。


胸が痛い。
息も儘ならない。

罪悪感に胸が押し潰されそうになる。

それでも、


もう、少しだけで良い……


この腕に囚われていたいと願う勝手過ぎる思いに、心も躯もバラバラになってしまいそうだった……。







「………………」

「何で此方を見ねぇんだよ」


いえ、だってですね……。
もう色々と恥ずかし過ぎて死にそうです。

それに、


「今反省中なので、出来れば少し放置して下さると助かります……」


昨日、あんな事をしておいてと言われようが何だろうがっ


だからこの人には……と、何度自傷すれば私は学習するのかと泣きたくなった。


「反省ってなんだよ」

「っ……」


嬉しいのは俺だけかよ、なんて不機嫌そうに口唇を寄せて、耳元を辿るのは止めて下さいっ……。


「ちょっ……」


思い出すだけで躯から火を噴きそうだと、布団の下に埋めようとした躯を抱き込まれて絶句した。


「逃してなんてやらねぇよ」


余裕なんて無ぇって言ったろ……って、それが余裕にしか見えません……。


「………ホントに、慣れてて下さって助かります」

「だから慣れてねぇよ」


いや、慣れてるのなんて分かってた事ですけどね。

私だって、今回は死ぬ気でそうするつもりでいたんですけどねっ


「…………無理」

「お前、ヒトの話を聞いてねぇだろ」


出来る出来ないは経験の差だと、痛感した私だった。






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