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「……で、」
合コンて何だよと、あの人ばりの不機嫌な顔で問うて来るのは黒崎君で……
「何てタイミングの悪いの時に……」
「タイミングが悪ぃって何だよ」
………と言われても。
タイミングが悪いものは悪いのだ。
『よし!合コンのセッティングは任しとけっ』
黒崎君をギャフン(死語)と言わせてやれって……
『……もう、好きにして』
『了解っ』
これ以上 何を言っても無駄だと早々にこの場を立ち去る事に決めて、早速と携帯を弄り出す悪友に、もう聴こえて居ないんだろうけどと思いつつ、先に帰ると一声掛けて鞄を掴んだ。
この私の諦めの速さが、黒崎君との噂が無くならない要因の一つかも知れないとちょっとだけ思っては、また内心で詫びた……時に聴こえた音と声は私を凍り付かせてくれた。
コン と叩かれた教室の扉。
名前を呼ばれて、ギギギとぎこちなく振り返った其所には、今正に不名誉な話題の中心にされていた、
『今日は委員会が有るから、先に帰って……』
『なら余計に不味いだろ。今日は家まで送るから』
終わったら教室で待ってろよと言ってくれた黒崎君で……。
『もう合コンセッティングしちゃうからねっ 浮気者!』
『……は?浮気……?の前に合コンて何……』
『ギャ――ッ! 本当に何でも無いからっ!!!』
……訝しがる黒崎君の背を押して逃げ出したつもりだったのに、くそぅ……
「合コンて……」
「だから本当、忘れて下さい」
それで、あの人には余計な事を言わないでくれたら有難い。
何となくだけどと自分に言い訳をした……。
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