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「彼氏、作ろうかなぁ……」
そんな私の呟きに、
「何っ?別れたのっ!?」
と嬉々とした声が聴こえて、そんな大きな声を出してないよねと軽く脱力した。
地獄耳過ぎないか、悪友よ……。
「別れてないし。そもそも付き合ってないしっ」
「まぁまぁ照れるな照れるな。それってじゃあ浮気するってこと?」
「いや、何で私が浮気しなきゃいけないのよっ」
「違うの?最近良く一緒に居るから順調だと思ってたんだけど、だったらやっぱり黒崎君が浮気したってことかぁ」
「やっぱりって何っ!?や、違う!その前に違うからっ!」
全く、ウッカリ独り言も言えやしない。
黒崎君とは付き合って無いし。自慢じゃないけど、彼氏居ない歴なんて年の数だっ
「へー、ふぅん」と悪い顔になった悪友が何か良からぬ事を考える前にと訂正に入った。
「前々から言っ」
「黒崎君がねぇ〜」
「だから黒崎君は」
「やっぱりアノ噂は本当だったんだね」
「いやだから、違、」
「二股三股の次は浮気とか、良い御身分だねー」
「……………」
ごめん。黒崎君……。
私にはこの口を止める事は出来ません。
消え掛かっていたアノ噂が再燃しそうですと、まだ此処には来て居ない黒崎君に内心で謝罪した。
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